『春休みツーリング四国編』4日目 中津明神山~R439 ~四万十川

むくり。

携帯のアラームを消し、辺りを見回すとまだ暗かった。時刻は午前4時半。
ここは、中津渓谷の先のキャンプ場にある炊事場。昨夜、屋根を叩いていた雨はやんでいた。

昨日の話はこちらから


思ったよりも冷え込みはきつくない。いつも通りシュラフの誘惑と格闘すること30分。何とか勝利し、朝ごはんの準備。ご飯と味噌汁という簡素なもの。

朝ごはんを食べながら、夜明けの時間を調べる。この日は結構ハードな一日。予定はこんな感じ。


最初に中津明神山に行き、その後は酷道として有名な国道439号線ヘ。ルートラボによると走行距離が127㎞、獲得標高2359mという僕にとっては割合ハード目な予定。

出発の準備をしていると、空が明るみ始めた。
真っ暗な山道はできれば走りたくないな、と思っていたのだけれど、これなら大丈夫そうだ。

さて、最初に向かう中津明神山、神楽坂つむりさんのブログを読んでから、ずっと行って見たかった場所だったのです。

これを読む限りなかなかにきついみたいですが、まあ、何とかなるでしょう。

つむりさんと同じく、中津明神山はピストンの予定なのでサイドバッグはキャンプ場に置いておいて身軽にアタック!

サイドバッグが無いだけで、羽が生えたように軽快に進む!
でも、よく考えたら羽が生えた分重量増えてないか、なんてどうでもいいことを思いながら、クランクを回していく。

ルートラボによるとスタートしたキャンプ場が標高384mで頂上が1526mで標高差は1142m。距離は約11.5kmで平均斜度が10%とのこと。うん、キツイネ!


吾川スカイパークまで登ると、いつの間に夜明けを迎えていた。
よし、今日は晴れだ。この瞬間、僕は勝利を確信した。山頂から見えるであろう絶景と天空の林道への期待を胸に、激坂と言って差し支えないような坂をこなしていく。

サイドバッグという約10㎏の重りが無いのと、つむりさんのブログで予習して置いたおかげでそこまできつくない。いや、きついのは確かなんだけど、いつもより軽快に進むのが楽しいから、きつさが前景化しない感じ。

どうせ飛ばしたって速くは走れないから、いつも通りイーブンペース。
淡々と、淡々と。

周りの木々が低くなってきて、風が強く吹き付け始めた。これは、頂上が近くなってきた気がするぞ、、、!

そうして無心でペダルを踏んで、ようやく頂上に到着すると、、、、


うおおおおおおお!!!!


ええ、まあそういうことです。
絶景、、、ですよね。(異論は認めないぞ!決して認めないぞ!!


2時間以上かけてここまで登ってきて、これはきつい。
天空の林道があると聞いてきたのだけれど、真っ白すぎてどこにあるのか全く分からない。



いやまあ、途中から何となく気が付いてはいたんですけどね。(もはやこのセリフ使いすぎて定番化してるな)

雲の中に入ったなーというのは途中で気が付いたけど、ほらラピュタ的なね、ありますよね、雲を突き抜けるとそこは― 的なサムシングが。そういうの期待していたんですけどね。普通になかった。


とりあえず、せっかくここまで来たんだし、一応天空の林道も走っておくかと、場所を調べてみるためにスマホを開けば、ちゃんと4Gのアンテナが立っていて感動。これ電波塔とかだったのかな。


調べた天空の林道の入り口に立ち、走り始めること5秒。これはダメなやつだ。

雨のため地面はぬかるみ、強風に煽られている上に視界は最悪。写真の通りガードレールなんてものは無い。状況が悪すぎる。もし落ちてもこんな場所誰も助けに来てくれるなんて可能性は限りなく低い。

悔しさで唇をかみしめながらダウンヒル開始。
どこかのライダーハウスで一緒になった旅人さんが言っていたけど「旅はまた来ようと思えるくらいがちょうどいい」

そして、このダウンヒル。つむりさんも書いていたけど割と地獄でした。
ヘアピンカーブの連続に苔むした道、こぶしより大きい穴、平気で道のど真ん中にレンガサイズの石が鎮座されていたりと、トラップがいっぱい。もちろん斜度が20%を超えてくる場所もあります。

個人的にはグレーチングが車の車輪の通る2カ所だけに置かれていて、そのほかは大きく口を開けている溝が一番怖かったです。

そんな道をガスって視界最悪&森林限界故の強風&気温マイナスで冷える体で下るわけです。うん、書いていて思うけど地獄だわ。

とにかくゆっくり。ブレーキをハイブリッドにした恩恵を感じながら、安全第一で下りました。

最近導入したTRPのHY-ROAD 
ワイヤーと油圧のハイブリッドタイプのディスクキャリパー


だいぶ下ってきた。さっきまであの雲の中にいたのか。


下界の天気は悪くない。
1200m下ってきてだいぶ気温も上がってきた。ここまで降りてこればもう大丈夫。
キャンプ場に置きっぱにした荷物を回収して、さて行きますか。(サイドバッグ重ッ、となった)

この後は酷道として名高い国道439号線をトレースしていくだけの簡単なお仕事。
「与作(ヨサク)」という愛称でいろいろな場所で紹介されていて、こっちも四国に行くなら行ってみたい道の一つでした。



中津渓谷を後にして針路は南西へ。





徳島側と比べると比較的「酷」ではないと言われる高知県側。写真のようにありふれた3桁国道といった場所も数多くありました。

そしてこういう区間の快走路っぷりがスゴイ!
下流に向かって走っていることもあってか、微妙に下り坂で踏めば30㎞/hが普通に出る。その上、車通りもほとんどないので自転車天国ッ、、、!って心の中でガッツポーズ。



ただ、もちろんこんな感じの狭隘路という箇所もあって、さすが酷道といった感じ。


あの辺りがカルスト、、、?

た~ぬ~き~

そして走っていて思うのは、「酷」さだけがこの道の良さではないということ。



基本ずっと道の隣には清流が流れ、周りには深い森。
時々現れる集落と、その間の道の秘境感。









ここにあるのは目を見張るような絶景や、SNSでバズるような景色ではないかもしれない。だけど、一つ一つ見ていけば、それらが物凄く綺麗なことに気が付かされる。そんな道。だからこんなに人気があるのかな、なんて思ってみたり。

そして、僕はそういう道が好き。

お昼ごはんはこの日唯一見たコンビニで。
四国の補給の無さはいろんな人から聞いていたけど、今まで海沿いを走っていたからそんなに実感していなかった。四国って山を走るか海を走るかで大きく違う印象を受ける場所なんだ、と今更ながらに思った。

そのあともまだまだ与作続きます。





シャッタースピード変えて遊んでみたり

地元の人と少し話をしたけど、川の水の色はこれでも濁っているとのこと。普段どれだけ綺麗なんだろう。



土佐大正までR439を走りその後はJR予土線沿いに走るR381へ。
というのも今日の宿は、充電と洗濯のためちゃんと宿。

あと、個人的にずっと野宿旅をしていると体力が完全回復せずに蓄積していく感覚があるので、体を完全回復させるという観点からも、このくらいで宿に泊まっておいた方が長旅のときは特にですが、よかったりします。



JR予土線。
一回は乗ってみたいな。年を取ったら地方のローカル線の旅とか面白いかもしれない。


沈下橋。
洪水の時に敢えて沈むように出来ているからそう呼ばれるらしい。
あんまり無いものなのかと思っていたら、結構R381沿いにはあって、珍しいものでもないんだなと驚いた。



四万十川を横目に見ながら走って行ると、左手に黄色の絨毯が!
あれは菜の花畑に違いない。そのままハンドルを左へ。
既に120㎞を超え獲得も2000mを超えて疲労もそれなりにあるけど、それでも好奇心には抗いがたい!








春の訪れってやつだ、、、!
こういう景色を見ると疲れも吹っ飛ぶ。(R381に戻る上りを走りながら、なんでこっち来たんだろうって悪態ついてたのはここだけの秘密です)

その後はスーパーと温泉に寄り宿へ。
そういうえばスーパーでキャッシュレス5%OFFの幟があったから「LINEPay使えますか?」って聞いたら「なんですか?それ」って聞き返されたのはビビった。



今日の宿はここ。ライダーズイン四万十。

 
写真を撮り忘れたので詳しい情報はこちらからでお願いします。

ライダーズハウスにしては若干高めだけれど、完全個室というか一部屋がログハウスのように一つの建物として独立しているので、プライバシーは守られる仕様。

共有スペースにはキッチンもあって僕は簡単に炒め物とラーメンを作りました。ランドリーも共有スペースにあったので、服もリセット完了。

電子機器を充電し、心地よい疲労感と、外ではない安心感に包まれて眠るように死んだ。

つづく。

実際走ったコース

走行距離126.8km  獲得標高2096m




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