GILLES BERTHOUD 革サドルの話

ジルベルソーの革サドルはいいぞ。
この記事で言いたいのはそれだけです。


革サドルの良さは前にも書いたことがあります。
この記事に書いた「お尻にフィットしていく」「サドルを育てる感覚」という革サドルだけが持つメリットが大好きなのは、今も変わっていません。

この時はブルックスの革サドル。
もちろんこれも良いものだったけれど、ジルベルソーの方が個人的にはもっと好き。次買うならジルベルソー。不確かなことが多い世の中だけど、これは迷いなく即答できる。


◆ジルベルソーとは



フランスは南ブルゴーニュのサイクリング用品ブランド。


日本語表記だと「ジルベルソー」と「ジルベルトゥ」に揺れています。自分は先に「ジルベルソー」読みで覚えてしまったので「ジルベルソー」表記ですが、多分どっちでもいいはず。

ラインナップは革サドルがメインっぽいけど、ランドナーとかのフレンチバイクにばっちり似合いそうなバッグもあったり、バックミラーやフェンダーなんかもあるみたいです。バックミラーはめちゃくちゃにかっこいいので、実はこれ結構欲しいパーツ。バックミラーの値段と考えるとちょっとびっくりしてしまうほど高いのですが、こういう「1㎜も早く走ることに貢献しないパーツ」にこだわるの、粋な感じがして自分は結構好きです。

ちなみに革サドルのラインナップは
  • レーシング
  • ツーリング
  • シティー
に分かれていて、今回自分が買ったのはレーシングモデルのガリビエ。分かる人はすでにピンときていそうだけど、名前はもちろんアルプス山脈のガリビエ峠から。ちなみにチタンレールモデルはアルプス山脈の峠の名が、ステンレスレールモデルはピレネー山脈の峠から名前が付けられているそう。


つまり今回買ったのはチタンモデルです。
お値段高いけど、その分ロマンもいっぱい詰まっています。
以下、そんなジルベルソーのガリビエの感想をば。


◆メリット①:軽さ



何がどうって、説明するよりもまずはこの写真を。


実測330g!
はい!軽い!!!!!

ブルックスやセラアナトミカのスタンダードモデルが500g前後と考えると、革サドルでは頭一つ抜けた軽さ(ちなみに800gぐらいある革サドルもあります)。さすがに普通のサドルから比べたら軽量サドルとは言えないけれど、革サドルでは最軽量クラスと言ってよいと思います。

革製品なので個体差があるらしく、365gがメーカー公表値。ちょっと軽めの個体を引いたらしいけれど、メーカー公表値でも十分に軽い。


前述の通りレールはチタン製。
その分かなり軽くなっているし(ステンレスレールモデルと70g差)、ベース部分が金属じゃなくて樹脂製なのも軽量化に一役買っていそうです。

あんまり軽いと「革の質が悪いんじゃないの?」と疑われそうですが、そんなことは無いと思います。1年半くらい使いましたが(雨天でも使用してます)、どう考えてもブルックスよりも硬いし、へたらない

その分お尻にフィットするまでにかかる期間はちょっと長めな印象はありますが、丁度フィットした「美味しい期間」は間違いなくブルックスより長いはず(ブルックスは雨でもなんでも使っていたら6年目にしてちょっとへたりがみえてきた)。

ちなみに革の厚みもブルックスよりもジルベルソーのほうが厚いです。あと、グローブ破けたり革紐切れたりスパイクの革底割ったりした野球部時代の経験から培った「何となくこの革へたらなさそう」という感じは、間違いなくジルベルソーの方が上。

個人的な感想ですが、革に対する不安は今のところ一切ありません


◆メリット②:ユーザーフレンドリーさ



軽さ以外にも良いところがあって、まずはこれ。


パカッと革の部分だけ外れます。
メンテ楽だし、実はスペアパーツとして、レールの部分も革の部分も売っています
つまり、ジルベルソーが無くならない限り革がへたっても交換可能ですし、万一レールが破損しても交換可能というわけです。


革とレール両方をスペアパーツで出すのってビジネスという側面から考えると難しいのかもしれないとも思うわけで(新しいサドルを買ってもらった方がメーカーとしては儲かるわけで)、敢えて両方ラインナップするこの姿勢は、個人的に好感が持てます。事実、スペアとしてレールしか売っていない革サドルメーカーもあるわけですし。(そんなにレールって壊れるのか…?


革の部分を外すのは、T20という普通の携帯工具には入っていないやつなので、そこだけ注意。普通に携帯工具に入っているのだと、いたずらされる可能性があるのでここはこれでいいんじゃないでしょうか(まあいたずらする人なんて、そうそういないと思うけど…)。

それから革の張りをアーレンキーで調整で出来るってのも好感ポイント。
ブルックスの調整工具が特殊規格ってのは、個人的にどうにも好きになれないところだったりします。長距離旅では張り具合の調整が必要になってくるわけですが、わざわざサドルの調整のためだけに専用工具を持っていく必要があるのは、どうにも好きになれません。
その点ジルベルソーなら手持ち工具で調整可能なので、ユーザーフレンドリーさはあるなと思うわけです。

3mmアーレンキーで調整可能



◆メリット③:見た目



今更書くことかよ、という感じもするので最後にしました。

かっこいいですね。
こう、なんというか、しみじみ「かっこいいなあ」と思える佇まいの良さと品の良さがあるような気がします。主張が激しいわけではないけれど、存在感はしっかりあるような。


モダンなスチールバイクにもマッチするデザインで、ホリゾンタルのクラシカルなバイク以外でもすんなりと似合うと思います。

この細身なデザインのおかげで、漕ぎやすさも◎。そういう意味でも「レーシングモデル」なんだろうなと思います。


その他、お尻にフィットするとか革サドル全般に言えるメリットに関しては、前にブルックスの記事で書いたのでここでは割愛します。

一応書いておくなら、個人的にこのサドルにはレ―パンは要らないと思っていますし、お尻が痛くなることはありません。


◆デメリット



値段。高い。
2023年5月現在、34,980円です。
グラムカッター的な思考で考えるなら、約350gのサドルにこれだけの値段とすると、コストパフォーマンスはかなり悪いでしょう。ブルックスと比べても倍くらいします。

でも、「1万円のサドル3つ買ったけど、どれもお尻に合わなかったら…?」と考えるとあら不思議。そこまで高く感じないんじゃないでしょうか。自分はこの思考法でこのサドルを買ったことを正当化していますし、冗談ではなく、サドル沼に沈むくらいならこっちのほうが安上がりだと思っています。

また、ブルックスと比べても、上述したように作りの良さが数段上なので、倍の値段は払っても全然良いと思えます。


革サドル全般のデメリット(メンテが面倒とか、水濡れ云々とか、最初は硬いとか、伸びちゃうとか)はまとめてブルックスの方に書いてあるので、興味あればそっちを見てください。ジルベルソーはブルックスと比べて、ちょい硬め(馴染むまでに時間がかかる)、伸びにくいぐらいで後は基本同じなので、「そこまで神経質にならなくてもいいんじゃないか」という自分の考えは変わっていません。

その他のデメリットは…何だろう。
ちょっと思いつかないですね。
何かあればコメント欄にでもどうぞ。


◆まとめ


次のサドルも間違いなくジルベルソーの革サドルでしょう。
そのくらい気に入っています。

サイクリングの中の「快適性」という要素を考えると、サドルが占めるってものすごく大きいと思います。そういう意味では、多少の重量は目をつぶってサドルは自分のお尻に合うものを、と自分は考えますし、その考えにベストマッチだったのがこのジルベルソーの革サドルだったと思います。

今後、好奇心で他のサドルを買うことはあるかもしれませんが、多分「正妻」的なポジションは、よっぽどのことが無い限りジルベルソー。そのくらい自分にとってお気に入りのサドルです。

ジルベルソーの革サドルはいいぞ!

おしまい。



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