『春休みツーリング紀伊半島編』3日目 白浜~串本・樫野崎・潮岬

むくり、起きた。

天井がある。と、同時に違和感もある。
もはやテントの方が違和感が無い。
ここは道の駅のとある場所。(道の駅の人に大丈夫だよ~って言われたけど、たぶん結構グレーゾーンな場所で寝てた。)

道の駅の天井も壁もあるところを使わせていただいたので、ぐっすり寝られた。昨日の夜は横殴りの雨が降っていたので、壁もあるのはありがたい限り。

昨日の様子はこっちからどうぞ。
 
ササっと撤収。この日のルート予定はこんな感じ。


海岸線をトレースして、本州最南端を目指す感じ。
なんでか分かんないけど「~端」ってテンション上がるんですよね。元気がむくむく湧いてきたってことでスタート!



何だかちょっと変な雲。


虹も出てるし。


すこし走っていると、雲が晴れて来た。
この日の昇り方は、さては天気が良くなるあれだな?







やっぱりいい天気だー!

この日も海は綺麗。
毎日こうも海が綺麗だと、心も綺麗になるような、ならないような。






とにかく、海岸線。ひたすら、海岸線。


なんで、こう、そういう名前を付けるかな。
恋人と見に来たい、かな、、、?(え?恋人いるんですかって?そんなことわかりきったこと聞くんじゃねえ


さっきから、一つ気になることが、、、。

それは

全然進んでなくね!?!?

ってこと。

この日は、昨日もそこそこ走ったし、洗濯とかしようと思っていたので短めの予定だったのだけれど、地図を見ても全然すすんでいない。

さっきからの海岸線の写真で分かるようにアップダウンもあるし、道自体がグネグネしていて、地図で見る直線距離は大したことないのに、前に進まないという、海岸線あるある現象が発生していたのです。

出発地点から串本までの、たかだか44㎞の距離がなかなか縮まらないことに焦りを感じながら、ペダルを踏んで、とにかく前へ前へ。





なかなか進まないのは、風が強かったってのもあって。
写真見れば分かるように白波がずっと立つほどの風が吹いていて、海岸線なもんで遮るものが無いからもろに風。

完全な向かい風じゃなかったことが唯一の救いだったけど、舞うような風でありとあらゆる方向から煽られ続けて、じりじりと体力が奪われて行っていました。

あと、上の写真の左の方に見えているのが潮岬だったと思う。
ようやく見えてきた~ってのが嬉しかったけど、見えてからの方が、逆に遅々として進まない歩みにいらだっていたような。

なんとか、串本についたころには結構疲れてしまっていました。(たった40㎞ちょっとなのに!)

そこで考えたのが、紀伊大島をカットすること。

ルートを引いた時から結構時間がたっていたので、なんで紀伊半島にルートを引いたのか忘れていたんですよね。調べてみると樫野崎灯台というのがあるらしい。なんでも日本最初の石造灯台なんだそう。それに有名なエルトゥールル号事件があったりしたらしい。

日本史が好きな僕なら、普段であれば迷いなく行くところなんだけれども、この日は違くって、これでも迷っていました。書いている今でもなんでこんなに疲れていたのか全く心当たりが無いんですが、とにかくこの時は何にもしたくない気分だったのです。

とりあえずコンビニ行って、好きな菓子パン食べて、どうしようかしばし逡巡して、ちょっと気持ちが前向きになったので、行ってみることに。

最終的な決め手は、なかなかこんな場所に来ることって無いから勿体無いという気持ちでした。もっと言えば、もしかしたら、もう二度とここに来ないかもしれない、もしそうなったとき、紀伊大島に行かなかったら後悔するだろうな、と思ったからです。

旅をしていると、もう二度とここを訪れることは無いかもしれない、一生でこの一度しか通らない道かもしれない、と思うことが時々あって、そういうときって、決まってなんだかふわふわした不思議な気持ちになるんです。それはきっと、ものすごく貴重なことだけど、ものすごく寂しいことでもあって。

自分の持っている時間は有限で、いつ終わりが来るか分からない。

「だから1秒1秒大事に使おう」とかいう安易な発想は大ッ嫌いだけど、終わりがあって、それがいつか分からないからこそ、後悔しないようにしていきたいな、とは思ったり。

たぶん、前に大落車して集中治療室に運び込まれたあの時から、ずっとそういう感覚がどこかにずっとあって、旅によって研ぎ澄まされたりして、顔の覗かせたりしてるんだと思う。

もちろん、人生一回こっきりになってもいいようにこのブログを書いていたりするんだけど。(全然よくないけど!もう一回、いや一回とは言わず何回も行きたいけど!!)

という真面目なお話でした。

では話戻って、紀伊大島へGO!


ループ橋!

写真で見ていると周りに遮るものが無くって気持ちよさそうだけど、この時は風がとにかく強く強くて。
橋の終わり近づいた瞬間、左からものすごい突風が来て、ズズッて自転車が車道側に持っていかれてほんとに焦った。

車来てたら、、、やばかったな、、、。

風に気を付けながら、樫野崎灯台を目指して針路は東へ。
想像してたとおりのアップダウンというかアップアップアップアップダウンくらいの割合の道のりを疲れた体でこなしていって、とーちゃーく!






これが、日本最初の石造灯台!

灯台の右手にある旧官舎で展示品を見られるようだったので入ってみることに。

入ると、管理人らしきお爺さんがいろいろと説明してくれました。

例えば、この灯台は1869年(明治2年)にお雇い外国人のブラントンによって作られたこと、この官舎の木でできた壁にイギリス人はさらに上から木目を描いていたということ(そのころのヨーロッパの流行りだったらしいんだけど、面白いことするなあと思った)とかとか。他にもいろいろ昭和天皇の行幸の時のこととか説明をしてもらえました。



この辺りの昔使われていたものの説明も一つ一つしていただけました。

どれもこれも貴重なお話だったので、気になる人は、是非。

そういえば、お雇い外国人ブラントンの部屋に入った時の背広をかけるフックの高さとかほんとに高くってびっくりしたなあ。さすがは英国紳士。日本人とは骨格から違うなあ。



有名なエルトゥールル号の悲劇の場所でもある樫野崎。


この断崖をよじ登って助けを求めて来たというのは、にわかには信じられないけど、でもそれが歴史の事実。


安全な航海を。
Bon voyage!


樫野崎灯台を後にして、くしもと大橋まで戻ってきました。




今再びのループ橋。
さっき横滑りしたので気を付けながら。


なんとか、潮岬まで戻ってきたタイミングで、お腹が減ってきたのでそのまま道の駅にイン。



串本といえばマグロ、マグロといえば串本、と言うのかは知りませんが、マグロが有名らしいので、マグロカツを注文。


マグロカツってあんまり食べたことなかったけど、うまうまでした。
さっぱりとしているので、さっぱりとポン酢でも良し、逆にタルタルソースもよし。個人的には両方付けちゃうのが一番でした。

お腹が満たされたので、串本の町へ。今日のミッションである洗濯を済ますためです。洗濯している間にお風呂でも入るかと思って探すと、定休日&午後4時から。おい、まじか。(この時はまだ12:30くらいだったと思う)

一旦キャンプ場に荷物を置いてくるという選択肢も、書いている今ならありますが、この時はさっきも書いたように何もやりたくない気分だったので、無し。キャンプ場は日本最南端で有名な潮岬キャンプ場だったんですが、串本からだと微妙に距離があったんで、それを見て戦意喪失していました。

いろいろ考えた結果、待つのもめんどいし、もう風呂なくてよくねえか?ってなったので、洗濯が終わってからはそのまま潮岬キャンプ場ヘ。(書いていて思うけど、ほんとに何もやりたくなかったんだな)

キャンプ場につくと、そのまま荷物をデポって、潮岬灯台へ。
ヒャッハー!かるーいぜ!!



こっちも明治3年となかなかの古さ。
なんでも中に入れる珍しいタイプの灯台らしいので楽しみに行くと、、、

コロナウイルス感染拡大の防ぐため灯台参観業務を休止します。

oh...
まじか。(この時はまだ3/16)
いやまあ仕方ないけど、仕方ないけどね。


写真一枚だけ撮って退散。

ぶつけようのない悲しみを胸に抱きながら、本州最南端の碑へ。



なんでか二つあったので両方でパシャリ。(なんで?)

いやしかし、サイドバックの無い状態で来ると、なんか間抜けというか、ここまでの道のりの重みを感じないなって思ってしまったので、明日、サイドバック付けてまた来ようと決意しました。(この日にもう一回来るという元気はもう無い)

本州最南端から望む海

さて、キャンプ場に戻ってからはとりあえずテント設営。
さっきから書いているように風が強くってテントが飛ばされそう、というか半分飛んでいったりしたので、ペグダウン。ほとんどいつもペグなんて打たないけど、この時ばかりはそうも言ってられず。

久々にペグダウンなんてしたから、「ペグってほんと便利だなお前!お前だけでテント飛んでいかなくなるじゃん!」って一人で感動していた。



設営完了したら、あとは徹底的にだらだらするだけ。
いやはや疲れた。






気が付くと、だいぶ日が傾いてきていました。
日本最南端からの夕日。

それでは、晩御飯準備しますか。
今日の晩御飯は、、、



トンボシビブロック。

マグロだろというのは見た目ですぐわかったけど、トンボシビって何だろう、部位かなそれとも名前かなと思って調べたら、ビンナガのことを関西ではそう呼ぶみたいですね。初めて知りました。

これをどうするかというと、、、

ぶった切って、熱々のご飯に乗せて、かきこむ!(実はこれをやるために昼ご飯を刺身にしなかったのです)


ということで、



ご飯を炊いて、、、


どんッ!!!

はい、旨い。
間違いない。
誰が何と言おうと間違いない。異論は認めない。

見た目があれなのは、ビクトリノックスのマルチツールの短いナイフで切っているからですが、そんなの些細な問題!
ほんとに気が付いたら胃袋へ消えていました。間違いなくこの旅で食べたご飯の中で5本の指に入る旨さでした。


全部はさすがに多かったので、味噌汁の中にも少し入れました。
こっちも見た目があれですが、おいしかったです。


デザートは甘夏でビタミン補給。

空を見上げると、満点の星空。
星空撮影ってほとんどやったことなくって、やってみたくなったのでチャレンジ!


うーん、これはまだまだ研鑽がいるやつだな。

そんなことをしていると強烈に眠気が襲ってきたのでシュラフに包まり就寝。

つづく。


実際走ったコース

走行距離78.6km 獲得標高1018m



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