『春休みツーリング紀伊半島編』5日目 熊野川~本宮大社~熊野市

むくり。今日もテント。

川沿いのキャンプ場だからか、テントがものすごく結露していた。
やれやれ、こうなるんだったら、テント開けて寝るべきだったか。

昨日の話はこちらからどうぞ。





外に出ると自転車が朝露でしっとりを超えるレベルで濡れていた。これならテント開けてても同じだったかもしれないし、むしろ開けてたら中のものも全部ぐっしょりしてかも。ま、結果オーライということで。

革サドルは昨夜カバーをかけておいたからセーフ。
前に、カバーかけ忘れて、朝起きたら雨でずぶぬれになっていたことがあってから、たとえ雲一つない夜だろうと必ずサドルカバーをかけてから寝るようにしている。失敗を重ねて僕らは学んでいく、はず。(失敗する前に気が付かないポンコツ

朝ごはんは昨日の残りのソーセージを炒めて、食パンと一緒にもぐもぐ。ソーセージは油いらないし焦げ付かないから好き。

お米の方が腹持ちはいい気がするけど(気がする程度だけど)、手軽さと時間のかからなさは断然パンの方が上。

食パン3枚で売られていたりするから、結構使いやすいかもしれないと思い始めた。普段の朝ごはんなら食パン3枚って絶対多いけど、ツーリング中のカロリー消費量的にはそのくらいがちょうどいい。

朝ごはんパン化するにあたってホットサンドメーカーとか買おうかしら、と思案している今日この頃です。(もしオススメのやつとかあったらこっそり教えて下さい)

さて、今日のルートはこんな感じ。


熊野川沿いを遡上して、熊野本宮大社へ。その後は丸山千枚田とか寄って熊野市駅のあたりまでという、海岸線をひたすら走ってた今までとは違って山セクションな一日。

それではスタート!

といっても昨日と最初は同じ道。なんでかっていうと、橋が無いから。


つまりこういうこと。(雑解説)
めちゃくちゃ遠回り!!


これがその橋。ここに来るまで4㎞。
ここからテント場の対岸のところまでいかないといけないので結果8㎞の遠回り。
橋って偉大。



その後はR311にそって熊野本宮へ。

それにしても、川沿いって走りやすい。海岸線と比べても圧倒的にアップダウンが無い。たぶん山間部の川沿いよりも、海沿いの方が獲得標高が増える気がする。

あ、でも千葉県は当てはまらないかも。まず平らだもん。
大学一年生の最初、「今日は海岸線だから平坦だろ」って思って血の涙を流したことがあったような、、、。

和歌山って「勝浦」とか「白浜」とか千葉と同じ地名あるし、クジラが有名とかいろいろ共通点あるけど、走ってみた感じ千葉県民の僕としては「似ているところもあるけど、違うところもいっぱいないか?」って印象。まずこんなアップダウンないもん。

確かに房総半島も南の方に行けば、多少アップダウンなくもないけど、こんな激しくないし。きつさでいったら全然違う。千葉はもっとイージー。あと、山が高い、深い。千葉は山低いし、もっと簡単に集落とか町とか見つかる気がする。もちろん場所にもよるんだろうけど。

ただ、カーブを曲がった先とか、ふっと見上げた町の様子とか、何でもない景色が似てたりするの気もして、厳密にどこが、と聞かれると答えるのが難しいけど、雰囲気とか纏っている空気だったりそういうとこ。


そんなことを考えていると、熊野本宮大社にとうちゃく!






熊野本宮大社の本殿は撮影禁止なので、気になる人は是非自分の目で見ることをオススメします。朱塗りの那智や速玉と違って、木の色そのままの色の本殿は独特の雰囲気でした。

ちょっとここで愚痴。
いや、まあ、あんまこういうの言いたくないんだけど、写真撮影禁止って書いてあるのに、携帯でパシャパシャしているじいさんばあさんがいて、うーんなんだかなあって思ってしまった。カメラ禁止って書いてあるのを見て写真撮るのやめてる外国人とかもいたから余計にね。ぜってーそういう年寄りにならないように気をつけよう。




ついでに宝物殿にも寄ってきました。
本宮の歴史について、例えば明治時代に洪水で流されて今の場所に移転したことについても知れたし、邪馬台国論争でよく言われている三角縁神獣鏡とか見られたし、曼荼羅なんかも見れたりして満足。こちらも撮影禁止なので、気になる人は自分の目で見てみてください。

これで熊野三山をすべて回ったけど、それぞれに特徴があってなかなかに興味深かったです。そもそも行こうと思った理由は一年の時に熊野観心十界曼荼羅と熊野比丘尼について7000字くらいのレポートを書いたことがあって、気になっていたからです。この熊野観心十界曼荼羅と熊野比丘尼について説明し始めると99%の人がブラウザバックするか寝るかのどっちかだと思うのでやめときますね。(僕もその授業寝てたくらいだし



面白かったのが本宮大社にあったこのサイクルラック。
たぶんこれ「千木」がモデルになってる。


↑こういうやつ。

特に説明書きとかなかったから、最初気が付かなかったけど、よく見たら変な形してんなってなってようやく気が付いた。なかなか遊び心あって本宮大社面白い。ただ説明書きの一つや二つくらい書いといてよ!そういうとこだぞ!!(謎の上から)


その後は大斎原(おおゆのはら)へ。
これは読めない。

さっき言った明治の洪水で流される前に、熊野本宮大社があったのがこの大斎原らしい。石祠が数基残っているだけで、後は何にもなくって、神様の力がなんだとかいうけど、神社って人間が作ったものであって(こう書くと怒られるかもしれないけど)、やっぱり災害には敵わないんだな、なんて思ったり。

さ、そろそろ行きますかってことで、さっき来たR311を走り、昨日一夜を過ごしたキャンプ場を対岸に見ながら、さらに山奥へ。

三重県さんハジメマシテ

そろそろ腹が減ってきたけど、なかなかお店が無い。
こういうところは見逃して「次の見つけた店でいっかー」とかやると痛い目を見るので、腹が減った時の井之頭五郎さん並の集中力でお店を探しながら走っていると、道の駅にレストランマークがあるのを発見。そのまま流れるようにピットイン。


久々に肉が食いたい気分だったので、ショウガ焼き丼!
味はもう見ればわかる旨いやつ。ごちそうさまでした。


さて、それではツエノ峰へ。なんでもパラグライダー場から絶景が見られるらしい。
「未舗装路」って書いてあるのが見えたけど、たぶん大丈夫。きっと大丈夫。


場所はここ。
アプローチは田平子峠から、さらに分岐している道を行けば着けます。田平子峠までいけば「ツエノ峰はこちら」といった看板があるのでまず迷わないかと。

サクッと書いてますが、アプローチするのに一つ峠を攻略してそこからさらに登るのです。


「後ろおもー」とかなんとか言いながら攻略してここからダートスタート。
ここからは先はピストンなんで、適当な草むらにサイドバッグを隠して軽量化したうえでアタック開始!





まあ、きっつついのなんの。
斜度が物凄くってサイコンを見る余裕もなく。ちらっと見えた画面には20%って表示されていたとか、いなかったとか。路面も結構な大きめの石があるところもあったりしてなかなかになかなか。

途中軽トラのおっちゃんとすれ違って、「どこ行くの?」と聞かれたので「パラグライダー場まで行きます」って答えたら「登り切った先にあるから注意しな」って教えてもらった。ありがとう!おっちゃん!



おっちゃんの言った通り、登り切って一回下ってまた登るとだいぶ景色が開けて来た。これは期待できるやつかも、、、!?


後ろを振り返ればこんな感じ。

登り返しを攻略してようやくパラグライダー場に到着!



ぜっけーかな!!

物凄い高度感。
さっきまでいたところがあんな遠くに。

雲海の名所としても有名らしい。こんなとこから雲海見えたらさぞかし気持ちいだろうな。


これ、今回の旅のなかでお気に入りの一枚。


足元注意。


これから行く丸山千枚田は多分あの辺り。


ベンチなんかもあったので補給食食べたりなんかしてゆったりした後は、また今来た道をダウンヒル。

そういやさっきのおっちゃんが通り抜けられる的なことを言っていたので先が気にはなったけど、サイドバック置いてきているので、素直に戻ります。




そんなに飛ばすような技術も度胸も無いのでゆっくりゆっくり。

こういう時に650bとかでぶっといタイヤ履かせた方が下手な僕には楽しめそうって思ってしまう。




なんとか無事に下って、サイドバッグを回収。おもー。

赤城城という藤堂高虎が築いた城が近くにあるらしかったけど、さすがに疲れてしまってパス。

お次は丸山千枚田へ。



もう春。

ツエノ峰からはそこまで離れていないのと、下り基調だったお陰でサクッと丸山千枚田に到着。










圧巻の数。
実に1340枚もあるんだとか。

山の斜面に急に田んぼが出てくるからびっくりしたけど、そうでもしないと田んぼが確保できなかったのかもしれない。

石川の輪島に行ったときに寄った白米千枚田は、海に向かって広がっていくのもすごいなと思ったけど、山に広がっていくのもこれもまたスゴイ。

そして、ふと目線を挙げれば、、、


あれがさっきいたツエノ峰!(画面中央の白っぽくなってるとこ)
山の上の方にいた気がしていたけど、まだまだ上には上があったのね。

実は熊野本宮大社でお守り買ってました。


一応証拠写真。


後ろを振り返れば、山が聳えていて、よくこんなところにこんな数を、と思わざるを得ない。





うしてそこにそのサイズの石が?

これだけの数の棚田を維持管理していくのは、全然詳しくない僕でも並大抵のことではないことくらい簡単に想像がつくし、大きな機械とかも入れられないだろうから、ものすごく労力がかかっているのも何となく想像できる。おそらく、残したいって思っている人がいるから残っているわけで、そう思う人がいなくなったら簡単にこの風景は消滅してしまうんだろうと思う。

そんなことに考えを巡らせた後は、再び海を目指して走って行きます。






と言いつつの再びの峠。
トンネル使って回避できるけど、敢えてこうしたのには理由があって。





この風伝峠なるところに行ってみたかったから。
風伝峠は熊野古道にある峠の一つで世界遺産に指定されていたりします。
正直言うと風伝峠じゃなくてもよくて、熊野古道ってどんな感じかちょっと覗いてみたかったというのが本音です。

今回は自転車なんで歩いたりはしませんでしたが、いつかは歩いてみたいし、上の写真がその道なんですが、往時を偲ばせる雰囲気に浸っているのも楽しかったりします。




さて、もう後は海へと獲得した標高を吐き出すだけ、と思っていたらけどあんまり下りばっかりじゃなくって、下り基調の緩やかなアップダウンといった感じ。素直に下らせてくれ。

そんな中でも、まあまあいい感じで下っていると、一軒の果物直販所に「せとか」の文字が。

「ちょっと待ったー!!!」

いそいで急ブレーキをかけて、その直販所へ。

今回、宇和島・有田といった柑橘王国を旅する中で、相当柑橘に詳しくなったわけですが、どうしても今回の旅の中で食べたい品種があって、それが「せとか」でした。

せとかは「柑橘の大トロ」と言われたりすることもあって、贈答用にも使われたりする品種らしく、お値段も高め。柑橘王国から出てしまったらおいそれほいほいと食べられる品種ではないともあって、この旅で食べたかったわけです。あと、この旅の道中の松山で家族にお土産でせとかを送っていて、家族みんなは食べているのに、自分だけ食べていないという状況も悔しかったので、というのもあったりします。


というわけで、買いました。せとか。

ちなみに値段が8個入って、、、

なんと218円!!!

ええええええ安すぎませんか。1つじゃなくて8個で、です。
もちろん訳あり品でお店の人に「早めに食べてくださいね」って言われたけど、言われたけどそれにしても安すぎませんか?(2回目)

「おとといはウサギを見て、きのうは鹿をみて、きょうはあなた。」というのは僕の好きな小説の中に出てくる一節ですが、「おとといは甘夏を買って、きのうは不知火を買って、きょうはせとか」な僕のバッグの中にはせとか8個も入れる余裕など当然なくって、その直販所でいくつか食べていくことに。(こいつほんとにミカンばっかり買ってんな)

いやもうこれが衝撃でしたね。うまくって。
甘いしジューシーだし、とにかくうまい。こんだけうまい果物食べたことあったっけってくらいに美味しい。
まだ残っていた不知火がちょっとかわいそうになるくらいうまかったです。今のところ柑橘で好きな品種、ダントツ一位です。


その後は海まで下って、花の窟(はなのいわや)神社へ。
イザナミが葬られているという言い伝えがある場所です。(ちなみに『日本書紀』ではここですが、古事記では、出雲と伯耆の間の比婆の山に葬ったと書かれています)


僕がここに興味を持ったのは大学で古事記の授業を受けたのもあるし、オカルト芸術論とかいう存在そのものがオカルトな授業で出てきたからってのもあります。


本殿とかは無くって、どでかい岩がどんとあります。

この岩の存在感がスゴイ。これだけの存在感だと、確かにお墓にしたり崇拝したくなる気持ちも分かる気がします。



隣に稲荷神社があったので、こちらにもお参り。

物凄い存在感に圧倒された後は、温泉へ。近くの温泉はお休みだったので、少し上ったところへ。分かっていたけど、この辺りは海沿いに少しの平地ですぐに山。少し上ったところ、と思っていたけど普通に登らされた。きつい。

温泉から出ると辺りはもうすっかり暗くなっていて、お腹もすいてきたので晩御飯探し。何となく洋食が食べたい気分だったので、それ系で探すと一軒ヒット。


この店構え。
分かる、これは入るからうまいやつだ。


このメニュー。
分かる、食べる前からうまいやつ!

ただ、困ったことにメニューどれもこれも美味しそうで何を食べるか迷ってしまった。
トンカツ食べたいなー。でもハンバーグも捨てがたい。いや待てよ、エビフライもある。いやー迷うなー。



結果、全部になりましたwwwwwwww

いやーだって仕方ないじゃないですか。どれも食べたかったし、メニューにトンカツもハンバーグもエビフライも乗っているメニューがあったらそれ頼むしかないじゃないですか。

味はもう、そりゃうまかったです。安心安定の日本風洋食ど真ん中。これ大学の近くにあったら、ちょくちょく行きたい感じ。


お腹も満たされたところで、就寝場所へ。
最初は道の駅で寝ようかと思ったけど、すぐそばに国道が通っていて眠りにくそうだったので、堤防が良い感じにかげになっている海岸へ。

不知火とせとかを食べて就寝。

つづく

実際走ったコース

走行距離81km 獲得標高1274m






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