BROOKS B17 革サドルの話

”champion standard”

BROOKS B17に燦然と輝く刻印です。

Kona Sutraにデフォルトで付いてきたBROOKS B17という革サドルを2年近く使ってみたので今回はその感想をつらつらと書いていこうかなと思います。

僕の使い方は100%ツーリングで雨だったり、風だったり、時には台風の中を走ったりしています。そんなもんなので、割合一般的なツーリングとして認められる環境で使ってきたつもりです。

それではメリットとデメリットに分けて書いていこうかなと思います。

〇メリット


はい、かっこいい。
見た目って大事ですよね。もうこれだけで100点満点、いやハナマルも追加であげたいくらいです。

サドルに限らず革製品って「革だぜ!」ってな感じでどうしても主張が強くなりがちな製品が多い中、シンプルで自転車に調和するデザインというのは、さすが英国紳士が作るだけのことはありますね。もちろん自転車がクロモリだからというのもあるとは思います。がちがちのカーボンロードとかじゃあきっとダメ。相性の問題。

そして、このかっこよさが使っているうちに増してくるのも革ならでは。
新品が一番ではなくって、使い込まれて少しやれて表情が出て来た革サドルって、ほんとにかっこいいし、その人の人柄なんかも出てきていたりして、そういうのが好きです。


次のメリット、それは自分のお尻にフィットするように革が伸びてくれること。
革サドルの一番大きいメリットだと僕は思ってます。
自分のお尻にあうサドルを探すのではなく、サドルが自分に合わせてくれる。これは唯一無二で、他のサドルじゃあ為し得ないメリットです。

ほんとにこれは大きいです。

正直この後に書くデメリットをほとんど消し去っているのはここだと思います。もっと言葉を重ねて説明したいんですが、「自分の形になっていく」以外の説明がうまくできないんです。こればっかりは使ってもらわないとなかなか伝わらないことかもしれません。

ただ、これって実は諸刃の剣ってことが、あんまり書かれていなかったりするので書いておくんですが、あんまりフィットしすぎると逆に痛みが出てきます。


何でかというと、当たると痛いところまでフィットして、そこに圧力がかかるようになるんで痛くなります。例えば穴あきサドルってそれを避けるための典型で、穴が開いている部分で体重を支えると痛いから、穴が開いているわけで、適度に「フィットしない」ことも痛みが出ないサドルの大きな指標だと思ってます。

デメリットに詳しく書きますが、革サドルって常に形が変わっていて、「ちょうどいい」でとどめておくことが出来ないので、気を付けないとフィットしすぎるのが注意です。

また、耐久性がある、というのも革製品ならでは。
へたったりしにくいし、まだまだ2年しか使っていませんが、うまく使えば一生もの。「まだまだ2年しか」、という表現がしっくりくるのが嬉しいポイントです。

〇デメリット

まずは重い。
もうこれは革を使っている以上避けて通れないことです。僕の使っているブルックスのB17は520g。軽量サドルだと200g以下、普通のサドルでも200g~300g台が多い中、この重さはやっぱり大きなデメリットです。もともとSutraという頑丈にふったツーリング用の重たい自転車についているので、僕としてはあんまりデメリットとして捉えていませんが、軽い自転車には使いたくないなあと思ってしまう重さです。

All-city Cosmic stallionに革サドルを付けていないのも重さがネックだからです。
もし200gいや300g台の革サドルがあったら付けようかなって思えるけど、500gはねえ。ちょっと。というのが正直なところ。


最初は痛い!というのもデメリットです。
ほんと、「なんじゃこりゃ!?」ってくらい痛かったのを覚えています。ハンモック構造で衝撃吸収とか言ってたりしますが、そういう次元じゃなかった。

スポーツ自転車を始めたばっかりで、サドルが低くてお尻に体重が乗りすぎていたというのも手伝って、それはもう拷問のようでした。なんで、そこで違うサドルにしなかったかというと見た目ですwww

ええ、分かってます。単純なんですよ。

ま、革は伸びてフィットするようになるというのも野球のグローブとかの経験で知っていたので3か月くらいは我慢しよう、それでフィットしなかったらやめようと思っていました。実際、1,2か月程度で革が伸びたのか、それとも僕が調教されたのかは不明ですが、痛みはほぼなくなりました。


つぎに、さっきも書いたけど、「ちょうどいい」が保てないというのも革ならでは。どんどん伸びていってしまうので、気が付くとフィットしすぎていたりします。これは調整ボルトがあるので、その都度調整すればOKなんですが、手間がかかるし、ボルトを回すレンチをもっていかないといけないのがデメリット。

1Dayライド~1週間ツーリングくらいじゃあ全然調整しなくても問題ないけど、一か月くらいのツーリングだと、やっぱり形がかなり変わってきちゃうので、調整ボルトを回す用のレンチを持って行った方が良いです。

革の特性上水にぬれると柔らかくなります。革製品を加工するときにぬらしたりすることもあると聞いたことがありますし、野球のグローブだと、新品を湯もみして柔らかくしたりします。つまり、雨に降られると、形が変わりやすくなるってことです。サドルカバーをかけて濡れないようにする手もありますが、かけても普通に濡れます。


正直あれは、個人的には濡らさないためではなく雨ジミを作らないためのものだと思ってます。雨にそのままぬらすと水玉のシミなるのでそれを防ぐためのものという感覚です。
なんで、雨に降られそうな旅をするなら、革の張り具合を調整できるようにレンチを持っていくことをオススメします。

濡れるということに関連してよく言われるのが、革を濡らして大丈夫なのかっていうことですが、結論から言うと僕は大丈夫だと思っています。手入れをすれば、という注釈付きですが。(ちなみに公式的には出来るだけ濡らさないようにしてくれ、ということらしいですが)

これは僕の高校まで野球をやっていた経験から言うのですが、野球って雨でも練習も試合もしたりしますし、その時のグローブってそれだけでだめになったりしません。もしそんな簡単にダメになったら、学生に野球はできません。硬式用のグローブなんて平気で5万とかします。

なんども土砂降りの中で練習をしたこともありますが、基本的には問題ありません。くどいようですが、その後しっかり手入れしてあげれば、です。

「じゃあツーリング中に手入れ道具持っていくのか!?」とか言われそうですが、僕は持って行っていませんし、今までのツーリングの経験だと、持っていかなくても問題ありませんでした。まあ、やった方が良いとは思いますが、そこまで神経質にならなくていいかなと。家に帰って来てからで十分だと思います。今のところそれで問題ありません。気になる人は雨に濡れたらボルトを緩めておくことをお勧めします。そうすることで革が伸びてしまうことを防げます。僕はそれすらもやっていませんが。

ただ、これは僕の持論なのですがそこまで神経質な人って革サドルに向いていないと思います。自転車の傷も味のうち、と楽しめる人じゃないと「経年変化」「経年劣化」にしか見えないと思います。


さっきから何度も言っている「手入れ」。
これもデメリットといえば、デメリットです。めんどくさいし。僕はそういう手をかけてあげるというのも含めて革製品が好きなので問題ないのですが、「あーそういうのめんどいわ」って人はデメリットでしょう。

手入れ、というと身構えてしまう人もいるかもしれませんが、軽く汚れ落としして、うすくオイルを塗って、乾いた布とブラシで磨くだけ。たったそれだけです。オイルはブルックス純正のものではなく、グローブ用のオイルが残っているのでそれを使っています。

手入れで気を付けるのはオイルの塗りすぎでしょうか。重くなるし、柔らかくなりすぎます。中学生の頃、たくさんオイル塗ればいいと思っていて、グローブにオイルを塗りたくっていたら、めちゃめちゃ重くなり、最終的には、柔らかくなりすぎて革が裂けてきてしまって悲しい思いをしたことがあります。

オイルを塗ると光沢が出て手入れした気分になれますが、やりすぎは禁物。むしろ光沢を出すのはその後の磨きの作業で、と思っていた方がちょうど良かったりします。

なので、オイルは薄く延ばして、しっかり磨き上げてあげることが大事。

手入れは大体3か月に一回くらいの頻度でやっています。3か月経ったから手入れというわけでは無くって、ツーリングから帰って来たときとか、革が乾燥している感じになったらやるようにしています。あとは気分です。

毎週のようにグローブを手入れしていた高校時代から考えたらだいぶ少ない頻度なので、僕にとっては全く負担になりません。これが「負担だわ」と思う人は向いてないと思います。

〇まとめ

以上、つらつらとBrooksの革サドルについて書いてきましたが、正直誰にでもおすすめできるものでもないです。また、ここに書いた雨対策や手入れのやり方なんかは完全に我流なので、もちろん正解ではありませんし、推奨されているものでもありません。あくまで僕の革サドルへのスタンスと言ったところです。悪しからず。

最後の一つ、なんでこんな記事を書いたかというと、All-city Cosmic Stallionという新しい自転車を購入して、絶賛サドル沼ハマり中だからです。いやーいままで全然革サドルのこと評価してなかったんですけど、新しく買ったサドルのどれにも微妙に違和感があるのを感じると、革サドルってすごいなって思います。今更ですが。

というわけで、もう少しサドル沼の旅は続きそうです。最終的にはCosmic Stallionの方も革サドルになっているかもしれません。というわけで、革サドルはいいぞってお話でした。

おしまい




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