『栃木峠巡りライド』 滝ヶ原峠・細尾峠・粕尾峠・琴平峠

事の発端は、とある日。
「Tomyさん、一緒に走りませんか」
というDMが来た。

Twitterのフォロワーさんのイナさんという方からだった。
すぐに「こちらこそよろしくお願いします」と返信した。理由は単純で、面白くなりそうと思ったから。体重とフットワークは軽い方が良いというのが持論だったりするので。

イナさんを知らない方に説明しておくと、関東甲信越を中心にライドされている方で、平日に「労働は罪」と言いながら絶景写真をTLに投下するワルイヒト憧れのサイクリスト。

\労働は罪!/

よし。

今回向かったのは日光方面。
これは僕が希望した。
個人的な気分で、峠を感じたかったので。
というのも、この半年、つまり今年に入ってから僕は千葉県を出てサイクリングをしていない。県内の最高峰が408m(愛宕山)でダントツで低い千葉県。県内に峠らしき場所はほぼないと言ってもいい。となれば、峠に行きたいと思うのは当然の帰結である。イナさんも峠がお好きな方だったので、このタイミングを逃す手はない。

というわけで引いたルートがこんな感じ。


板荷駅を出発し、滝ヶ原峠→細尾峠→粕尾峠→林道大荷場木浦沢線→琴平峠。

登りも下りもいっぱい。
他にもいくつかルートを作っておいたのだけど、天気や希望度的にこれになった。





当日。
8時半ごろに板荷駅に集合。
書き忘れたけど、イナさんは初めまして。
そもそも、SNS関係で知り合った方とお会いするのも初めて。
ちょっと、いや、結構緊張した。
簡単に挨拶をしながら輪行解除して、走り始めた。

天気はというと、小雨降る梅雨空。
どのくらいのペースで走られる方なのかも分からなかったので、先行してもらった。

雨の中、緊張しながら走っていたけど、数キロ走って、ペース上は問題がないことが分かった。サラッと書いたけど、複数人でライドする際には、これは結構重要なことで。おいていく方も、おいていかれる方も気を遣うし、なかなか楽しいライドになりにくいと思う。

滝ケ原峠への道は、最初は川沿いの道をダラダラと登っていく道だった。
体を温めるのにはちょうどいい。

photo by イナさん

体が温まってくるのと同時に、雨は弱くなり、交通量は減り、斜度は上がり、口数は増えた。
峠を「はあはあ」言いながら登るのは一人の時だけで十分。こういう時は思いっきり会話と楽しむべきだと思う。


「うええええ!?そうなんですか????」
何て言いながら、わいわいがやがや。
あと、この会話見て分かると思うけど、イナさん、かなり乗っている人なのです。


走ってない場所、どこ?

そんなこんなで滝ヶ原峠のピークに到着。



最後の方は斜度が10%を超えるような峠だった。
こういう坂を上ると、僕としてはやはり46‐30tのクランク万歳と思う。

景色は、地味とは聞いていたけど、個人的には大満足。
このくらい山が見える場所、千葉にはほぼないので。


イナさんも写真を撮る方。
しかも同じオリンパス。
「ピピッ」という合焦した時の音が全く同じで、お互い時々混乱したりしてた。

あと、この先もいくつかイナさんの写真があるけれど、やっぱりいいカメラ・レンズはいいもんだなと。最近発売されたPEN E-P7に、PROレンズのf4通しの12‐100mm。僕のカメラは2015年発売で、レンズはキットレンズの便利ズーム。分かっていたけれど、やっぱり眠たいな絵になるなということがよく分かった。

カメラを持って走る系のサイクリストの方と走ったことが無かったので、違いとか感じてみたいと思っていたけれど、違いを感じる毎に、物欲が……。

これは困った(嬉しい悲鳴?)。


閑話休題。
峠を越えると、さらにいい景色が待っていた。




遠くに奥日光の山々。
景色と言い、この構図と言い、好き。

登りよりも下っていく方が見やすいし、今からそっちに向かって下っていくぞ、という感じがするので、鹿沼側からの方が良いなと思った。斜度はきついけど。

清滝へと下った後は、細尾峠へと向かった。
細尾峠はいわゆる旧道。
日足トンネルが下を通っているので交通量はほぼゼロ。
この日はオフロードバイク一台にあっただけだった。


イナさん「良い道の基準として、まず人がいないってのがあると思うんですよ」
Tomy「ありますね」
イナさん「車も、バイクも、なんなら自転車もいなくていいと思うんですよ」
Tomy「そうですね」
イナさん「そういう意味では旧道いいですよね」
Tomy「そうなんですよ!!」
イナさん「旧道とか探し始めますもんね」
Tomy「めっちゃ分かります!!!」


わかりみがマリアナ海溝レベル。

photo by イナさん


そうこうしているうちに、細尾峠にも到着。
斜度は旧国道らしく、緩やかで6%前後。
このくらいだと、会話をしながら走っても息が上がらないし、ゆるゆる登るには丁度いい。ただ、交通量が少ないからか、落枝が多かった。


photo by イナさん








photo by イナさん

photo by イナさん

自分の自転車をカッコよく撮ってもらえるの、めちゃくちゃ嬉しいもんですね。



細尾峠で眺望があったのはここくらい。
確かに地味峠。
細尾峠は眺望の良さではなく、九十九折や旧道の雰囲気の良さを味わう峠だと思う。僕はそういうの結構好きだったり。




静寂な峠


細尾峠を越えるとちょうど昼時だったので、近くのカフェにIN。
カフェとは言ってもしっかりランチメニューがあるお店でしっかりと腹ごしらえができるお店だった。




ごちそうさまでした。
さ、後半戦も頑張るぞ。




国道122号線を使って足尾まで南下。
この辺りは大学一年生の夏、初めて一人で走った時に通ったルートと同じ。

日光駅からいろは坂を上り、122号線とサイクリングロードを通って家まで帰るだけのルートを一泊二日で走った。正直、経験も知識もない状態で作ったルートなので、楽しめるものだったかと言われるとだいぶ怪しいし、もう一回同じ道を通るかと言われれば、それはNOだけど、楽しい記憶だったかと聞かれれば、胸を張って首を縦に振れる。

2Lペットボトルを付けていたり、バッグ類が何もないのに時間の流れを感じる。この時はまだリュックに全部入れていた。


そんなことを思い出していた。
それから数年後にこうなるとは思ってなかった。



足尾で国道から左に折れ、粕尾峠へ。
道幅はそこそこ広め。
路面の荒れている部分もなくはなかったけど、落枝の多かった細尾峠に比べれば走りやすかった。





登り切り付近には木が伐採されている場所もあって、眺望も◎





良き良き。
写真を撮ってたら、他の峠よりも多くのアブにたかられたので、そこだけは注意が必要かも。

そこからはつかぬ間のダウンヒル。
粕尾峠のある県道15号線を下る途中で右に折れて、林道大荷場木浦沢線へ。


photo by イナさん


途中二か所、土石が道に流れている箇所があった。
「これで通行止めじゃないって栃木県、なかなか強気ですね」なんて話をしていたら、翌日付で通行止めになっていた。まあ、そうなるでしょうね。

粕尾峠からの登り返しなので、登り切りまでの距離としては4㎞ほど。
短いようで、微妙に長いけど、やっぱり短いくらいの距離感。

登り切り付近では眺望が開けた。




これこれ。
求めていたのはこれよ。
千葉県内では決してみられない、この高度感。

いやまあ、千葉県が悪いわけじゃないんだけど、要はバランス。海を走ったら峠に行きたくなるし、峠を走ったら、海が見たくなる。そういうこと。

奥には関東平野まで見えた。


望遠側で撮った圧縮効果のある写真が好き。








こういう道にたまらなく、「良さ」を感じてしまう。
梅雨空の下、雨が降る日に敢えて行こうとは思わないけど、行ってみたらいいなって思うこと結構あると思う。



信頼のシャマル。
「ふれたりしないし、良いホイール」とのことです。
説得力しかない。



しつこいけど、こういう道が本当に好き。

そして、イナさんもそういう道がお好きな方で。
イナさんの普段のツイートみて、たぶんそういう方だろうな、と思っていたのだけど、イナさんも僕のことをそう思ってくださっていたらしく、今回声をかけて下さったんだとか。そうです。僕はこういう道が大好きです。いやーだって、こういう道、めちゃくちゃいいじゃないですか!!!!



葛生まで下って、そのまま帰ってもいいなと思ったのだけど、栃木駅まで行った方が帰りやすいので、琴平峠を越えることに。


峠道からは、幾つかの場所から葛生の町を望むことができた。
正直、ルートを引いた時点では輪行的な観点でしか入れてなかった峠なので、「どうせ地味峠だろ」とか思っていたけど、思わぬサプライズ。







photo by イナさん


琴平峠を越えたら後は、微妙な下りを飛ばすだけ。
栃木駅までかっ飛ばして、この日のライドは終了。



梅雨空の中、コンディション的にはイマイチだったけど、月並みな感想を言うと、すごく楽しいライドだった。比喩ではなく、「あっという間」だった。話の合う方で、かつ、ペースも同じくらいとなるとかなり限られてくる。そういう方とご一緒させて頂けたのは、本当にSNSがあってよかったなあ、と思った。実際のコミュニティで出会うのって、かなりの低確率だと思うので。

イナさん、ありがとうございました。
また必ず、どこかでご一緒しましょう。

おしまい。

実際走ったルート
走行距離113㎞ 獲得標高2066m


訪問日:2021.7.6



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