『初秋山梨サイクリング』琴川ダム~和田峠~フルーツライン

久方ぶりの山梨!
実に昨年の11月ぶり。
今回はその記録。

予定のルートは以下の通り。


塩山から琴川ダムへと向かい、クリスタルラインを走り木賊峠、瑞垣湖を見て甲府へと戻ってくる予定。


というわけでスタートは塩山駅から。


スタートしてからすぐ果樹園の近くを走った。
葉っぱからしてブドウだろうか。
デリケートで虫が付きやすく、つくるのが大変と聞いたことがあるけど、実際はどうなのだろう。


昇る雲は夏のそれ。
とはいっても、気温も風もすっかり秋。
からりとした涼しい風が吹いていた。


後ろから見る愛車、好き。

以前、「いい自転車とは、よく乗る自転車」という言葉を見たことがあって、いいなあと思ったのだけど、この自転車はそういう意味では「いい自転車」だと思う。見た目も乗っている時も楽しい。一年以上乗ってきてだいぶシンクロしてきた。


今回、初投入のフレームバッグ。
asobitogear謹製、Cubicle(キュービクル)。

フレームサイズにぴったりということで購入したのだけど、バッグ自体の使い勝手も想像以上に良いものでした。当分はメインで使うこと決定。




塩山駅を出てから、時たま斜度が緩むことはあっても基本は登り。
淡々と、焦らず、じっくりと。
今日はまだ上る。


県道206号線が林道牧丘川上線へと名前を変える少し手前で振り返ると富士山が見えた。例年よりも早く初冠雪をした2021年の秋。この日に初冠雪の発表が出ていた。あそこはもう銀世界か。



鬱蒼とした森の中を往く。
塩山駅周辺は晴れていたが、このあたりから雲の中に突入したような曇り空だった。


渓流沿いの道、の割には斜度があった。
10%を超える場所もそこかしこ。
踏める体力もないので、のんびり上った。

無心で登り焼山峠に到着。
眺望は特になく、曇っていたので写真は無し。
そこから琴川ダムへ向かった。


琴川ダム展望広場。
国内で一番標高の高いところに作られた「多目的ダム」なんだそう。
焼山峠では曇っていたけれど、少し下ったおかげかここでは晴れ。山の上には雲がかかっているけど、多分さっきまであそこにいたんだろうな。



ホイールは今回もHED Ardennes。
これ、良いものだとと思う。


再び焼山峠まで戻り、林道荒川線で木賊峠方面へ向かった。



標高は1700mほど。
ここがこの日一番寒くて、気温は10℃ちょっと。
半袖の上にレインウエアを羽織ってちょうどいいくらいだった。
山の上ではもうすっかり秋だな。


林道水ヶ森線との分岐を超えるとそこからは林道終点までずっと下りだった。
下るとやはり天気が良くなり、木漏れ日が気持ちいい道へと変わった。



こういうの好き。


森の切れ間で見えた北方面の山々。
特徴的なあの山の名前は何だろう。



NITTOのクロモリステム。
軽量ステムの倍ぐらいは重いし、別に走行感はアルミと何ら変わりはないけど、それでもつけておきたくなるようなその佇まい。分かる人はがっちり握手しましょう。




川を越えれば林道荒川線はおしまい。
さあ、ここから再び木賊峠へ向けて、登りかえs……。


んあ。
通行止め。
林道情報ちゃんと確認したつもりだったのだけど「つもり」だったらしい。前日から工事の為、通行止めだったらしい。残念。どうやっても下る選択肢一択なので、仕方なく林道御岳線を下った。



下る途中で出会った燕岩岩脈。

黒富士を中心とする黒富士岩脈であり、昔イワツバメが多く巣をつくったことからこの名前が付いたそう。約50万年前の黒富士火山の活動末期に火砕流の割れ目にマグマが貫入したもので、岩質は角閃石英安山岩。非常に硬い岩で、何千年という年月のなかで土が落ち、岩脈が表れたんだとか。




板状節理や柱状節理が幾重にも重なっていて壮観。


山を一巻して、反対側の山に来ると、さっきの燕岩岩脈の大きさが分かる。
さっき見えていたのはほんの一部。


やはり壮観。


さらに進んだところの森の切れ間から見えた景色。
方角としては南西、韮崎方面あたり。


奥には南アルプス。
手前の山は何だろうか。


遠くには霞んだ街並みが望めた。


フロントビュー。
やっぱり好きだな、この自転車。


御岳線を下り、昇仙峡グリーンラインにぶつかるところまで降りると、朱塗りの立派な鳥居が目に入った。金櫻神社というらしい。予定があれば寄らないが、予定はさっきの通行止めでパーになっている。そう、寄らない理由がない。


崇神天皇の時代に疫病が蔓延したため、神祇を祀り悪疫退散を祈願するよう命じ、少彦名命を祀ったことが起源とのこと。その後は修験道の本尊、蔵王権現を祀り、神仏習合したかたちとなり山岳信仰とも縁が深い神社らしい。崇神天皇がいたかどうかは様々な説があるので、時代として正しいかどうかは別として、かなり古くからある神社。

それにしても、疫病禍というのは昨今気になるワード。
でも、こんなことになるまで正直、自分は「疫病禍なんて」と思っていた節がある。僕は大学で日本文学を少し齧ったりしているので、歴史というと日本史が一番身近なのだけど、例えば日本史でしばしば目にする他の厄災として、洪水・日照り・干ばつ・飢饉なんてものがある。

これらは、実感として、分かる。
毎年のように大雨による洪水はある。近年は特に。反対に水不足になる年もある。「ダムの貯水率が」とかニュースで見ているから、実感として分かる。飢饉も、昔ほどではないにしろ、ニュースで天候不順で米が不作なんて話は聞いた聞いたことがある。だから、ある程度、分かる。

だけど、「疫病」だけは実感がなかった。
どこか遠い時代の、違う世界の話のように感じていた。

確かにインフルエンザとか、その他の病気とかあるけど、「厄災」までの感覚はない。身近な人がそれで亡くなったりとか、大変な思いをしたとか、無い。だから、自分とは地続きではない話のように感じていた。

そんなの全部思い込みだったんだなあ、と。

これだけ医療が発達しても、それでも疫病禍はあるんだなと。そんな当たり前のことを最近になって思った。それと、「当時は神に祈り祀ることしかできなかった」みたいな見方があるけど、例えばこれから1000年後、「コロナウイルスに対して、あの頃はこうすることしかできなかった」とか、言われているかもしれないな、とも思った。

科学は進歩しているけど、きっと人類はそんなに進歩していない。
そんなことを考えてしまった。

駄文を長々と書いてしまったので、口直しに後は写真メインで。




樹齢700~800年とされる杉の巨木が何本も立っていた。
その姿は圧巻の一言。









266段もある階段を上った。
ビンディングシューズだったので苔むし濡れている階段は少し怖い。道路があるので、この階段を登らずとも拝殿へは行けるのだけど、ここを通ってこそだと思わせるような、「何か」があった。


階段を登りきると、鮮やかな朱塗りの拝殿が目に入る。
昭和30年に焼失し、現在は再建されたもの。

こちらのページに焼失前当時の写真や、なまなましく燃え盛る社殿の写真が載っていた。今となっては見られないが、当時の姿も見てみたかった。








境内から20分ほど歩いた場所に富士山と金峰山の遥拝所があるそうなので、せっかくなので寄ってみることにした。どうせこの後の予定はまだ未定。


20分と書かれていたが、遥拝所まで実際は10分ほどだった。
整備された砂利道をひたすら上った。



遥拝所からの富士。
良い眺め。
金峰山は撮り忘れてしまった。




拝殿まで戻り、再び先ほどの266段の階段を下った。
やっぱり怖かった




お昼をだいぶ回っていたけど、ここで昼食。
と、同時にこの後の予定を思案した。

①韮崎方面に下り、甘利山ヒルクライム
②甲府に下り、太良峠ヒルクライム
③甲府に下りフルーツラインで塩山方面へ

の3つを考え、残りの体力と相談した結果、ヒルクライムは無理と判断して③に決定。そのまま昇仙峡グリーンラインを下って甲府へ向かった。


昇仙峡グリーンラインを南下していると右手にはこんな景色が広がっていた。とにかく岩、岩、岩。グリーンラインではなく、下の渓谷沿いの道も今度走ってみたいな。



奇岩。

そのまま下り和田峠みはらし広場に到着。


良い景色!


甲府盆地を一望。
こう見ると本当に「盆」地だな。

その後はその「盆」のへりを走るフルーツラインへ。
フルーツラインは果樹園地帯を走る、東山広域農道のこと。

これがまた景色が良くって……


あああ!良い!

基本的にずっと右手に盆地を見つつ走れる景色の良いルート。
信号もほぼないので、ただただ景色と走りに集中できる。



適度なアップダウン、というか登りと下りしかない。
上の写真が今まで来た道を振り返った様子。下の写真がこれから向かう道。本当に登りと下りしかない。長崎の海岸線とか、宇和島から八幡浜・佐田岬の海岸線とか、三重の海岸線とかを思い出した。本当にあんな感じ。


いくつも細いわき道が伸びていて、いかにも農道。
上の写真も、下の写真もわき道で撮った写真。フルーツライン自体は多くは無いけど多少の交通量があり、ゆっくり写真を撮るのは少し気が引けたので、わき道で写真を撮った。



再び甲府盆地を望む。
今日全く来る予定の無かった道だけど、だからこそ、印象深かった。
予定調和で終わるのは安心感があっていいかもしれないけど、予定が崩れた時に見つけた景色は、それはそれで格別のものがあると思う。


フルーツ公園の手前で塩山方向へと下った。
この下りがまた最高だった。
あまりに気持ち良くて写真を撮るのを忘れたのだけど、盆地へと下っていくその景色や爽快感は本当に良かった。


塩山駅まで行き、その後は温泉へ。
塩山温泉の歴史は古く、600年前に発見されたとか。


入ったのは宏池荘さん。
公衆浴場とある通り、温泉の出てくる銭湯という感じだった。

別に温泉は入らなくてもいいのだけど、入ることによって日帰りのライドなのに日帰りっぽくなくなって、クオリティオブサイクリングが上がるので好き。自転車に乗るだけがサイクリングじゃない。

そのまま塩山駅から帰っても良かったのだけど、帰宅時間帯を避けたかったので、牛奥みはらしの丘へ寄ってから勝沼ぶどう郷駅まで走った。


牛奥みはらしの丘より。
夜景なんて撮り慣れていないし、三脚とか持ってきていなかったから、写真としては全然ダメなのだけど、良い眺めだった。



暗くてよく見えなかったから「熊か!?」って思って本気で肝を冷やした。
熊だったら死んでたな




というわけで勝沼ぶどう郷駅で今回はおしまい。

通行止めにより予定が思いっきり崩れてしまったけど、行く予定の無かった金櫻神社やフルーツラインといった場所を楽しめたので良きライドになった。予定が崩れた時に、どれだけ楽しめるかってやっぱり大事だと再確認した。


おしまい!

実際走ったルート

走行距離:90㎞ 獲得標高:2050m


訪問日:2021.9.7






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