『秋の福島・新潟ツーリング』2日目 只見線トレース

むくり。
起きた。

旅館の朝は少し冷えていた。
自分の家の匂いじゃない、自分の布団の匂いじゃない、この感じは久々。
それもそうで、よく考えたら(よく考えなくても)宿泊込みのライドはこれが2021年ではじめて。前回の宿に泊まったのは去年の11月。

コロナだけで無く、就活なんかもあったりして、全然外に出てなかったし、出たとしても楽しめなかった期間が長かったけど、結構な機会損失をしたもんだなあ、と、そんなことを寝ぼけ眼で考えていた。

そんな失ったものを見ても仕方無い、という考え方もあるだろうけど、失ったものを見て、これから失わないように出来るのであれば、それは価値のあることだと思う。

というわけで、せっかく来た福島なのだから今日も楽しんで行きましょ。


この日は昨日と打って変わって快晴の秋の空。
晴れてよかった。

この日は、会津若松から西へ西へとJR只見線沿いにひたすら進んで、魚沼まで行く予定。風も西へと吹いていたので、追い風サイクリング。快調に飛ばした。



撮る人撮られる人。



関東だともう既に刈り取りが終わっている場所も結構あったけど、ここ会津若松だとまだ、たわわに実っている稲が、秋の日差しに光っていた。






信仰の森と、働く車。




時代が止まってる?

photo by イナさん

秋風を存分に背中に受けて、適度なアップダウンのある道を快調に走り、第一只見橋梁が良く見える、道の駅尾瀬街道みしま宿に到着。


ここから先はグッと交通量が減った。






右側に只見線。
左側に只見川。
ほとんどずっと並走しながらのサイクリングだった。


縦構図。

さらに進めば山が深く。



時々川を渡る。



昼食は道の駅奥会津で。
朝ごはんはビュッフェ形式でしっかりと食べていてそこまで空腹というわけでもなかったので、簡単にざるそばのみ。


午後も気持ちの良い秋風を背中に受けながら(←これ重要)、追い風サイクリング。
天気は良かったけど、午後は完全に西日で逆光。西向きに走っていると西日が眩しいくらいだった。





スノーシェッドはいくつも越えた。





西日が眩しい。



写真左の尖っている山は会津のマッターホルンこと会津蒲生岳。
特徴的でわかりやすい。

photo by イナさん

photo by イナさん


只見駅。
会津川口駅からここ只見駅までは、10年前の2021年7月末の豪雨の影響で未だに不通となっている。10年前というと3.11のイメージが強かったこともあってか、豪雨災害があったとは知らなかった。廃線という選択肢もあっただろうけど、全線復旧に向けて工事が進んでいるらしく、2022年の復旧を目指しているとのこと。

ここは色をギリギリまで削ぎ取られた冬に訪れたいと思った。

photo by イナさん

これは疲れた足をムニムニする私。 


只見からさらに西に進むと只見ダムに出た。
奥に見える田子倉ダムのデカさがすごい。





一面のススキ。
秋の情景に欠かせないと思う。


ここからは田子倉湖、六十里越峠に向けて登坂。
そこそこの距離を走っているので疲れは多少あるけれど、夕暮れも近いのであんまりのんびり出来ない。


田子倉ダムを望みながら走る。
本当にでかい。




「あまりゆっくりできない」とか言いつつ、ちゃんと景色のいい場所では写真は撮っとく派。急ぎすぎるのはまた、それはそれでもったいなさすぎるので。


さらに登れば田子倉ダムに到着。
只見ダム方面を望めば、今日走ってきた山間部。






新潟県との県境に聳える峻険な山々。


photo by イナさん

この辺りはスノーシェッドの連続区間だった。
冬はどんな景色になっているんだろうか。



photo by イナさん

六十里越峠開通記念碑があるあたりから田子倉湖を望む。
そこそこ急いで登ったつもりだったけど、太陽は山々に隠れてしまっていた。まあ、これはこれでよし。






どちらを向いても山が深い。
六十里越えという名前は、その険しさゆえに一里が十里に感じるので、実際は六里だけど六十里に感じるからというところから来た、という説もあるらしい。その由来の真偽のほどは分からないけど、この山深いところに道を作るのは容易ではなかっただろうし、ここを越えていくのも容易ではなかっただろうな、と思った。


秋の空。
夕暮れの足音がする。

photo by イナさん




トンネルの中で県境を跨いだ。
イナさんが気が付いたので写真に収めておくことが出来たけど、一人なら気が付かなかった。こういうとき複数人ライドっていいな、と思う。視点が増えるし、そのおかげで視野が広がるし、逆説的に自分は何を見ているかも分かる。あと、どうでもいいけど、このフォント好き。


トンネルを越えた先にはちゃんと看板があった。
ここからは新潟県。


トンネルに差し込む夕暮れ。


山を下る途中で夕暮れを迎えた。
ここから先は浦佐を目指してひたすら踏むだけ。
イナさんは今日、帰る予定だったので遅くなるわけにもいかないし、そもそも遅くなると自分も今日泊まる宿に迷惑がかかってしまう。ので、下り基調の道を30km/h以上で走り続けた。

結果としていいペースで進めたけれど、頑張りすぎて最後の方はハンガーノックになった。イナさんは同じペースでずっと踏み続けられていて、昼以降まともに何も食べていなかった自分と、ちゃんと下る前にパンを食べていたイナさんの経験値の差を感じたり。

そんなこんなで最後までご迷惑をかけつつ、イナさんとは浦佐駅でお別れ。 

2日間ありがとございました!

さて、自分はといえば少し先の宿へ。






どれもこれもめちゃくちゃ美味しかったです。
ごちそうさまでした。

その後は温泉に入った。
この日は一般客は自分しかいないようで、どこも貸し切りのようだった。
自分ひとりで使える嬉しさを感じつつ、自分のためだけにこんな大きな浴槽を掃除して湯を張ってくれていたのだと思うと、ちょっぴり申し訳なさも感じた。

一日の行程を全て終え、あとは寝るだけ。
旅館の柔らかい布団に入りながら、ふと思った。
サイクリストとして一番大切なのは何だろうか、と。
久々の「旅」と呼べるようなものだったからかもしれないし、この2日間があまりに充実していたからかもしれない。とにかく、ふと、そう思ったのである。

速く走れること。長く走れること。登りが早いこと。下りの技術。いやいやパワーウエイトレシオでしょという意見もあるかもしれない。

けど、個人的には「面白い、ワクワクするようなルートを引けること」だと思う。

僕は、サイクリングは移動を、そのプロセスを楽しむものだと思っていて、だからこそ、「どこを、どんな道を走ったのか」が大事だと思う。その道が面白くてワクワク出来るようなルートであれば、きっとそのサイクリングは楽しくなる。そう思ったときに、今回面白くてワクワク出来るルートを作って下さったイナさんには本当に感謝しているし、ここだけの話、没になったルートもとても魅惑的で刺激的なルートだった。

自分も面白くてワクワク出来るルートをたくさん見つけて、作っていけるようになりたい。そんなことを考えていたら夢の中へ誘われていた。

続く。


実際走ったルート。
走行距離:153㎞ 獲得標高:1366m



―追伸
サイクリストに一番大切なもの、「ちゃんと早起き出来ること」と思う日もありますね。布団が恋しくなってきたこの季節は特に。




訪問日:2021.9.28

コメント

  1. 素敵な記録を読ませていただき、ありがとうございます
    写真の端々から、急ぎ足でやってくる東北の秋を思い出し懐かしくなりました

    返信削除
    返信
    1. こちらこそありがとうございます。東北の秋は初めてで、全くの素人ですが、良い場所だなと思いました。東北の秋は冬が見え隠れしているからかもしれないですね。

      削除
  2. 今回も更新ありがとうございます、
    秋の福島いいですね…来年辺り行きたいなぁ

    返信削除
    返信
    1. コメントありがとうございます。自分が言うのもおこがましいですが、良い場所でした。是非、行ってみて下さい

      削除

コメントを投稿