『GW三遠南信新緑ライド』 恵那~平谷峠~天竜二俣

世はゴールデンウィーク。
一端の社会人となった自分の束の間の休息。
「10日間も休みなんてやることない」とぼやいていた同期もいたけれど、僕にとっては“ほんの束の間”である。
適当に過ごしていたらあっという間に終わってしまう。

GWは時間の流れが速い。
相対性理論でもそう証明されている。

折角ならどこかに、出来れば近くじゃない場所に行きたい。
とはいえ、前述のとおり世はゴールデンウィーク。
混む。人気観光地は間違いなく混む。

「人混みは苦手、出来るだけ人の少ない道や場所が好き」というのはこのブログでも散々書いてきたことなので、もう説明しなくても察してもらえるかもしれないし、もしこのブログを初めて読む人がいたとしたら、そういう人だと認識してくれたら嬉しい。いくらゴールデンウィークだからと言っても人混みは避けたい。

となると、ひっそりとしていて、そしてあまり行ったことが無くて楽しそうな場所がいい。そう考えた結果、三遠南信へと向かうことにした。

三遠南信は確かにいい場所である(そうじゃなかったらお出かけ先として選ばない)けれど、世間一般的にそれこそ阿蘇や北海道のように「いくぞー!」と選ばれるような場所でないのも確か。そういうところも含めて良い。

それと、今回の旅ではgatさんも誘った。
誰かと話したい気分だったので。



さて、この記事はそんなGWの旅路の一日目の話。
gatさんとは明日合流なので今日は一人旅。

この日の予定ルートは以下の通り。



スタートは恵那駅から。


恵那駅は、ホームの連絡通路が木造だった。
良い雰囲気。


恵那駅からはもちろん、中央西線から始まるサイクリングも実は初めて。
どうやったって関東からは行きにくい路線ではあるけれど、関西からなら話は別。

もっと言えば岐阜はほとんど走っていない未開拓エリア。
走ったことのある場所は乗鞍から平湯そして安房と登り返したその区間だけ。
だからこそこの地をスタートに選んだ、というのもある。
知らない土地はいつだってワクワクする。


国道257号線は交通量が多そうだったので明知鉄道沿いの県道を走った。


岩村は「女城主の里」として有名らしく武家屋敷や街並みが綺麗に整備されていた。今回はまだまだ峠越えがあるのでスルーしたが、GWじゃないタイミングに街を見る目的で再訪しよう。


岩村を過ぎたあたりで見えた山。
この時期にこれだけ冠雪している山って何だろう。
方角的に御嶽とかだろうか。


岩村を過ぎたタイミングで国道418号線で南東方面へ。


上村川と並行に進む区間に入ると道幅が狭くなり、昔からある道だからだろうか、道や家の感じが新しく作られた国道のそれとは異なっているように感じた。



こういうことに気が付くのはサイクリングか徒歩の時。
何となくこの道の曲がり方と道幅と家の感じからして新しく作られた道ではなく、昔からの道なんじゃないか、みたいな。とはいえ、それを証明する手立てはなく、それが古くからあるかを調べる方法を現状知らないのはどうにかならないかなと思案したりすることもある。

あとは、このサイクリングロード、廃線跡だなとかも気が付くことがあったりなかったり。



隘路を征く。
ここまでだとあまり交通量はないだろう、と高をくくっていたが、GWということだからなのかそれなりに交通量があった。


並行する上村川の流れはあまりにも綺麗で、吸い込まれそうなくらい透き通る緑色だった。






ずっと森の中、というわけでもなく途中民家もチラホラとあった。










川は本当に、本当に綺麗だった。


平谷村の中心まで来たところで昼食。
「ひらや」と読むこの地名を見て「ああ東日本に戻ってきたなあ」と感じた。西日本では「谷」を「たに」と読むのが一般的で、「や」と読むのは東日本の傾向(渋谷、四谷、世田谷などなど)という日本語学的知識は割と有名だけれど、こんなところで生きるとは思わなかった(とはいえ四国の「祖谷渓」などもあるからあくまで傾向)。


定食屋に入るとNHK首都圏ニュースが流れていて、やっぱり東日本なのだなあ、と。

糸魚川静岡構造線がどう、という地学的なものが東西を分けるという考えもあるのだろうけれど、糸静線よりも西のここでも谷を「や」と読み首都圏ニュースが流れる様子を見て、地学的な要素はあくまで要素でしかなく、県境やそれ以外の要素も大きいだろうし、それらと言葉の関連を考えるのも面白いなと思った。(とはいえこれを真面目にやろうと思うとかなり面倒で大変だったりするのだけど)

がっつり食べたい気分だったのでソースカツ丼大盛りを。


エネルギーを補給した後で平谷峠向かいリスタート。


平谷から平谷峠まで標高差は200mほど。
サクッと登って平谷峠に到着。



峠付近の木の切れ間からはナイスビュー。
でも、もっとすごいのがこれ。


峠を越え売木方面に下る最初のカーブから見える景色。



まさしく「高原道路!」という感じ。
もちろんひっそりとした峠は好きなのだけれど、たまにはこんな開放感のある高原道路的峠道を越えていきたくなることがあって、最近そういう峠を越えていなかったなと思ったのでここへ来た。今日のルートはここを通るために引いたと言っても過言ではない。


わざわざここに来た、その価値はあったと思う。

素晴らしい平谷峠を越え、R418を下る途中、売木村で左折して県道417号線へ。
この道もおそらく古くからある道のように感じた。



途中、桜が咲いていた。




こういうのが三叉路とかにあると、何となく、ね。

R151と一瞬交わり、県道74号線でさらに南下。


ここからは愛知県。
愛知というとどうしても名古屋のイメージが強く「都会」という印象があったので、そうか愛知にもこういう場所があるのかというのと、この辺りの位置関係が頭に入っていないので長野からすぐ愛知というのが新鮮で二重に驚いた。





東三河と呼ばれる区間を走る。
適度なアップダウンの道。
というかアップorダウンしかなかったように思う。
濃尾平野とは全く違うなあ、と。



豊根村で一旦県道428号線に合流。
大入川も透き通っていた。


再び県道74号線で山の中へ。





途中、薄暗い区間も。





夏も近づく八十八夜の数日後。
この日、というよりもこの旅ではこういうお茶畑をよく見た。
あまりに美味しそうだったので急須買おうか検討中。




東栄町に入ってからは東栄駅まで下り。

この日の残りの行程には選択肢が2つあって、まず1つが飯田線の東栄駅から輪行して明日のスタート地点である西鹿島駅に向かうというもの。もう1つは自走するというもの。

飯田線は乗ったことが無かったのし、ローカル線に乗るのは好きなので前者は前者でありだし、とはいえ走った線が中途半端に途中で途切れてしまうのはあまり好きではないので(航路を除き旅路が一筆書きとなっている方が何となく好き)、西鹿島まで走るのもありと言えばあり。

少し悩んだけれど時間的に余裕があったので飯田線を越え静岡県に突入。
最悪体力的にきつければ引き返して飯田線で帰ることもできる算段。

ここからは県道9号線を南下。
相川を越えたところで静岡県にIN。
ここが浜松市というのに驚いたけれど、後で調べたら浜松市はとても大きくて驚いた。兵越峠まで浜松だとは。


熊、という地名に少しどきりとした。
名は体を表す、というけど表わしてほしくないときもある。
この日は体を表してなかった。
良かった。


頭上に飯田線。
こんな場所を走る電車、乗ってみたい。




藤棚に並ぶ藤も嫌いじゃないけれど、山の中で見る藤の方が雰囲気があって好き。



遠州というえば遠州灘が先に思いつくけれど、山もなかなかどうして。
山深き遠州も悪くないと思った。


日が傾いてきたタイミングでたどり着いたレンガ積みのトンネル。
雰囲気がありすぎて怖かった。

時々「幽霊よりも人や熊の方が怖い」という人がいる。
確かに、幽霊よりも実体のある熊や恐ろしい人の方が危険というのは分からないでもないが、そういうことを声高に主張する人は、こういう場所で人であれ熊であれ、幽霊であっても出たらビビるんじゃないか、などと思うことがある。僕は何であれ、ハリウッド映画よろしく一瞬の間の後「アー!!!!」と言いながら全力でビビる自信だけはある。



夕暮れの足音迫る山道。
ここまでこればあとは下り。
一瞬で下るにはもったいない道だったので写真を撮りながら。







道の駅くんま水車の里あたりも、以前からありそうな雰囲気の道だった。
この日はこういう道が多かったなと書いていても思う。




最後は川沿いの緩い坂を下って行って西鹿島駅に到着。


ナイトランは何とかぎりぎり避けられた、という感じだった。
日が長くなってサイクリングが楽しい季節になってきたなあとしみじみ思った。

西鹿島からは今日の宿である快活がある上島まで輪行で移動。


適当なラーメン屋さんに入ったらはいったら地元では有名店らしく、久々に心から美味しいと思えるラーメンだった。

そんな満足感に身を委ねながら、快活で就寝。
あくる日のgatさんとのライドに備えた。

続く。

実際走ったルート。

走行距離:133㎞ 獲得標高:2437m










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