『冬北海道ツーリング 4日目』 藻琴峠

北海道旅4日目。
毎日同じ宿同じ部屋。
この辺りからは旅先の宿という感覚は薄れ、親戚の家くらいの感じになっていた。
毎朝のルーティーンどおり、天気を見る。
屈斜路湖北畔辺りが晴れ。
「よし、ここでこのルートを使おう」
冬の北海道で一番走りたかった藻琴峠を越えるルート。
それをこの日に使うことを決めた。

なんて、ちょっと気持ちが入ったように書いているけれど、まあ、冬の藻琴峠の写真をツイッターで見て冬の北海道を走りたいと思ったわけで、そういう個人的な思い入れのある場所なので許してほしい。


弟子屈の市街地から藻琴峠へは国道391号線を走る。
交通量は朝だからか、国道の割には多いわけではなかった。
路面も雪は無く、路肩の雪も少なかったから車からは追い抜いてもらいやすかったとは思う。繰り返し書いているけど、冬の北海道では車に抜いてもらいやすいか、というのはとても大事。
それは車のためにも、自分のためにも。


とはいえ、冬に走って楽しい道ではないのでほぼ「無」の状態で走り抜けた。
体を温めるにはちょうど良かった、かな。
川湯温泉を素通りし、その先の道道102号線左折すると藻琴峠に至る道になる。

分岐を過ぎ振り返ると朝日に照らされた素晴らしい道。

藻琴峠へはこの国道からの分岐から10㎞強で530mほど登る。
北海道の峠らしく、斜度は厳しくない。
交通量は皆無なのかと思いきや、登山客だろうか、時たま車に追い抜かれることがあった。




路面は北海道らしいパウダースノー。
本当にさらさら。




藻琴山展望駐車場の周辺は一旦傾斜がなだらかになる。
ここからは、屈斜路湖方面が綺麗に見られた。
やや逆光で綺麗に映っていないのが残念。




そして、この辺から、文字通り「雲行き」が怪しい感じになってきた。
明らかにグレーの雲。
荒れそうというほどではないけれど、ばっちりの晴れではなさそうだな、と。





あれに見えるが藻琴山。
このあたりから天気は晴れから曇りに転じた。




トンネルを抜けると藻琴峠に至る。
トンネルを抜けても、やはり天気は残念なものだった。


晴れだったなら硫黄山や屈斜路湖がこのカーブからはっきりと見えたのだろう。


峠には車が何台も止まっており、ここまでそこまで多くの車と会わなかったことを考えるとやや意外な気もした。どうも、ここから藻琴山へ登る人がそれなりにいるようだった。




曇天の冬の峠。
さっきから残念などと言っておいてなんだけど、案外こういうのもありだと思ったりもする。実際に見た人しか分からないであろう峠の雰囲気。「天気が悪かった、最悪」などと形容して見向きもしないのはあまりに勿体なさすぎるものがあった。

曇ったり晴れたり。案外早いスピードで雲が流れる。
山の天候はやはり怖い。


天気予報的な話をここで挟んでおくと、ここ藻琴峠が晴れるのは、川湯側もそれからオホーツク側も晴れる時に限られるのだろうと思う。そういう立地なのだろう、と。それと、いつもサイクリングするときはSCWで天気を確認していたけれど、冬の北海道では普段に比べると精度は劣るな、というのが実感値。反対に結構正確だったのが気象庁の予報。ちなみにこの日はSCWだと雲がなさそうだったけど気象庁だとオホーツク方面は一日曇りの予報だった。

もちろんあくまで印象論なので、何が正しいかは分からないけれど、信頼できる判断材料は多ければ多いほど良いんじゃないかな、と思った。


下る途中から写真を一枚。
峠を越えてしまうと、さっきまでそこにいたことが信じられない感覚に陥ることがある。この峠もそういう峠だった。


振り返り仰ぎ見る藻琴山。
もちろん薄曇りの向こう側ではあるけれど、それでも白く染められた山は、綺麗だと思うには十分すぎた。




藻琴峠を越えると東藻琴という町に至る。
やはりここら辺も曇り。
時間によって薄曇り~やや晴れ。
川湯側が晴れていたことを考えると、山一つ越えただけでここまで明確に天気が変わるのも面白いなあと思った。




ここからは裏道遊び。
探せば真っ白な道も。
そういう道を走りたくて2.1インチのスパイクタイヤで来たのだから。





冬の北海道はあまりに静かで驚いた。
この日は特に。
しんしんと雪が降るしきる豪雪地帯の静けさというわけではないけれど、それでも都会で生活する僕にとっては驚くほど静かだった。

風を切る音。
ペダルを回す音。
自分の吐息。
それ以外の音は無い世界。
なんと贅沢な空間だと思う。
その一方で、なんと恐ろしい場所なんだ、とも思った。






実はこの旅の中で撮れた写真ではかなり好きな一枚。
空の白さと道の白さがの境界がぼんやりとまじりあって、その中で自転車が一台。
曇りでしか撮れない。


浜小清水駅周辺にたどり着く少し手前タイミングで雪が降りだした。
風もそれなりにある日だったから、たちまち見通しが悪くなる。
幸いなことに身の危険を感じるレベルではなかった。
でも、気を付けないと危ないなと改めて思い直した。

「楽しい!!!」だけじゃない。
それが冬の北海道。
当たり前だけど忘れてはいけない。

浜小清水駅付近の見通しわろし。

浜小清水駅でこの日のライドは終了。

駅に併設されているビジターセンターで可愛いロンTを購入した。
モンベルのウィックロンのロンTにプリントしてあるやつだから、機能的にはばっちり。個人的にはいつも「モンベルさん、ロンTのデザイン増やして~!」って思ってるから、何種類もあって迷いに迷ってしまった。うん、また行こう。


小一時間経つと空はさっきの雪など嘘みたいに晴れていた。
冬の天候は絶対に侮っては行けない。




夕暮れの釧網本線は様々な人を乗せて今日も走る。

5日目に続く。


実際走ったルート

走行距離:78㎞ 獲得標高:1012m









コメント