『真夏の高知・愛媛旅』 3日目 宿毛~津島~宇和島


朝日が既に高々と上がる夏の午前7時半。
川沿いだからか、風はまだ涼しく、暑いのは日差しだけ。
3日目の朝はそんな感じだった。



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二級河川の松田川沿いを走る。
宿毛の町を抜け、次第に田んぼが増え始めた。

青々とした田園を行く


この朝の時間は「山紫」と言い始めた人のことをよく考える。

「山紫」。たしかにそうだ「紫」だなあ、と。一つ一つの葉は“緑色”かもしれないけれど、でも、この時間の山は紫なんだよなあ、と。”見えてるもの”と”本当のもの”の色は違うし、”本当のもの”なんかに惑わされたくないなあ、なんてふらふら考えながら上流へ進んだ。



坂本ダム



県道4号線 宿毛津島線を走る



2車線快走路を暫く進むと、急に1車線しかない狭路になった。

いわゆる「未改良区間」である。
しかし、その雰囲気はなかなかにどうして。
生活利用者からしたら見通しの良い2車線のほうがいいに決まっている。だけれど、味わいのある道が好きな自分は、「こういう道も残りますように」とエゴ丸出しに思ってしまう。


出井甌穴



愛媛に入ったあたりから辺りが開けた。
まるで爽やかな高原のよう。
標高300mもないのだけど。



高原のような道がしばらく登ってから下りへと転じた。
登り切りと県境が一致していないタイプの道だった。



そのまま下ると津島町に出る。
ここからは海沿いを北上する。

津島でちょいと休憩。
塩パンの塩味とアップルジャムが美味しかった。


ここは、愛媛を旅したことのある人なら一度は悩むであろう、「海岸線どこまでトレースするか問題」が浮上する区間である。

入り組んだリアス海岸は、ひたすらに海岸線が長い。さらに狭路や見通しの良くない道が続くのでスピードは出せない。その上、景色がいいもんだから全然進まない区間、というのが3年半前に宇和島から佐田岬まで走ったときの感想。

今回の感想も全く同じものだった。






写真を見ていると、「漁船や養殖棚の並ぶ内海、そして遠くの低山」ばかりで、景色のコピペ感があるかもしれない。けれど、実際走っている時はそんな風に思うことはなくて、似たような景色だけど、ちょっとずつ山の見える角度だったり海の感じが変わったりしていて、全く飽きることがない。



海岸線だけと思っていると、微妙に登らされることもあるのがこの区間。
それもまた、飽きない理由の一つ。





海がとにかく綺麗だった。




「ごみ”捨て去るなや”→ごみすてさんなや」だろうか。
「ごみすて”さんな”や(~しなさんなの類型)」だろうか。
気になる。









宇和島の目の前に浮かぶ九島へ向かう。


目を引くのが「車による島内一周はできません」の看板。
なにこれ気になる。




島を時計回りにしばらく進む。
「車両通行不可」の看板の先に進むとガードレールも何もない狭路に出た。
県道というよりも私道の様相。
下手したら落ちるぞこれ。


本当に狭かったのはこの先。
写真撮り忘れるくらいには怖かった。
沈下橋を走るときに似た恐怖感、といえば伝わるだろうか。

ちなみに「車両通行不可」の先にも民家は存在していて、つまりその先にも車があった。多分だけどあの看板は法的拘束性のあるものではなくて、地元民以外が入ってこないようにするための防護柵みたいなもんなんだろうなあと思った。



そこそこの広さのある区間も。




サイクリングロードに毛が生えたような狭さの区間も。





南の海から台風が近づいている、ということを知らせるかのように雲が増えてきた。
そろそろ潮時だろうか。

先述の通り、宇和島から先は3年半前に走っている。
曇天の下、無理して走る必要はない。

と思うと同時に「あれはもう3年半前か」とも思った。3年半という期間は短いようでいて、高校生1年生が初めての大学生の夏休みを謳歌し終えるくらいの時の流れだし、大学1年生だったら3年生で就活に追われ始めるくらいになる時間の経過である。自分は大学2年生の終わりだったのが社会人の2年生になっている。

よく、「本は、読んだ時の自分の知識や気持ちで感じ方が変わる」なんていうけれど、旅も似たようなもんじゃないかと思う。今回と前回、3年半どんなふうに変わっただろうか。なんてことをふらふらと考えたりした。




宇和島に到着したころには空が灰色に覆われてしまったので、宇和島駅にて撤収。
これにて真夏の高知・愛媛旅はおしまい。



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何度か四国に来たことはあった中で、未到だった四国最南西部のこのエリア。アクセスがひたすらに悪いとばかりに思っていたけれど、前泊と特急を使えばそこまででもないな、というのが今回の気づき。山も海も走って楽しいこのエリア。走りたい道はまだまだある。また来ようと思いながら帰路に就いた。

おしまい

走行距離:102㎞ 獲得標高:668m


コメント

  1. いつもセンス溢れる行程と綺麗な写真をみて感動しています。晴れた空や水の青が白飛びしたりせず綺麗に写っているのが印象的です。私もFUJIFILMユーザーでXT-30を使っているのですが、どうしても富士フイルムの青の良さを引き出しきれません。偏光フィルターなどを使っていらっしゃるのか、はたまたカメラ側で調整しているのか教えていただけませんか?

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    1. コメントありがとうございます。
      そのように言っていただけて、ブログ主として嬉しい限りです。

      空や水の色についてですが、偏光フィルターなどは一切使っておらず、基本的にはカメラ側での調整をしています。私個人の感覚ですが、フィルムシミュレーションの中で最も青色が綺麗なのはASTIAだと感じていますので、海や空などを撮るときは基本ASTIAで撮ります(今回のブログの写真も全てASTIAです)。

      また、ホワイトバランスはオートホワイトバランスよりも「晴れ」のほうが綺麗な青色になる印象があるので、晴れの日は基本「晴れ」を使うようにしています。

      ずらずらと書いてしまいましたが、参考になれば幸いです。

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  2. ありがとうございます。大変勉強になります。自転車乗りでFUJIユーザーをあまり見ないものですから、これからも楽しみに拝読します。

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