『春休みツーリング紀伊半島編』4日目 潮岬~熊野川

起きた。
今日は、テントだ。
今いるのは本州最南端の潮岬にあるキャンプ場。

もう旅に出てからだいぶ日にちが経っている。一応目覚ましを設定してはいるものの、ほぼ同時くらいに目が勝手に覚めるようになっていた。

まだシュラフの温みが恋しくってもぞもぞしているうちに、空が明るみ始めていた。テントの中でもそれをはっきり感じるくらいにはなっていた。仕方ねえなあ、そろそろシュラフから出るかあ、と体を起こしテントを開けると、、、


!!!!!

これはッ!!

気が付くと、あれだけ恋しかったシュラフから光の速さで抜け出し、まだ冷えたままの上着を着込んで、カメラ片手に海の方へと駆け出していた。


おお、真っ赤だ。

良かった。間に合った。まだ、太陽は顔を覗かせてない。辺りを見渡すと、カメラをもって日の出を待っている人が何人かいたので、その人たちと一緒に日の出を待った。





美しいとかそんなんじゃない。全然違う。そんな言葉じゃない。足りないとかじゃなくって、根本的に違う。もっと深いところ。なんていえばいいだろう。筆舌尽くしがたい、と言ってしまえばそれまでだけど、そんな簡単に終わらせたくない。

こんなスゴイ景色を見たら自然と涙が、、、ってなるかなと思ったけど、違った。
ずっと笑ってた。一人で。本当に感動する景色を見ると僕って笑うんだ。初めて知った。

本当にいいものを見た。この日の朝日は、絶対一生忘れない。うまく言えないけどそんな気がする。


寒くなってきたので、いったんテントに戻ってきた。(やっぱシュラフが恋しくなった

お腹も減ってきたので朝飯。

この日の朝ごはんはこちら!!


デデン!!

こいつで作るはシラス丼!
和歌山といえばシラスが有名らしいし、半額のシールが眩しく光ってたし、シラス丼って美味しいし簡単じゃん、というわけです。いかに美味しいご飯を簡単に作るかが、自転車キャンプツーリングのQOLを大きく左右するスキルだと思いますね、はい。

えーここでそれは「おかずなご」であって「シラス」じゃなくね?っていうツッコミが聞こえてきそうですが聞きません、聞こえません。違うの大きさだけっしょ。そんな細かいとこ気にすんなって。


どん!

というわけで、シラス丼です。
炊きたてご飯の上にのっけただけの簡単ご飯ですが、美味いのなんの。
さすがは「黒潮の美味」。


あとは味噌汁。昨日のマグロを少し残していたので、それをぶち込んで。
インスタント味噌汁って毎日食べていると絶対飽きるので、飽きない工夫。これ大事。

昨日のマグロを食べた話はこちらから。

ご飯を食べ終わると、いつもと変わらない晴天が広がっていて、なんだかキツネにつままれた気分。さっき見た朝日がものすごく非日常だったのに、今はもうよく見る日常の風景。朝日が幻か何かかなって思うほど、いつも通りの感じで、その落差が不思議。


この日のルート予定は、基本海岸線。途中、那智に行って新宮行ってって感じ。

さ、それでは行ってみよー!


昨日、荷物をもって訪れようと思っていた本州最南端の碑。
うん、やっぱり荷物がある方がしっくりくる。ここまで荷物積んできたんだぞってしっかり記録に残せたので満足。

あれほど疲れていた昨日とは打って変わって、とまではいかないけど、昨日全力でダラダラしたおかげで、まあまあ体力は回復していた。ただ、温泉は行っておけばよかったって本気で後悔した。髪はごわごわだし何だか体はべたべたしているし。端的に言って気持ちが悪い。

今日は絶対温泉入るぞ~~~!!





潮岬を抜け串本を過ぎ、サクッと橋杭岩に到着。

波の浸食によって固い岩だけが残ってこんな風になったとかなんとか。

弘法大師が立てたとかいう伝説も残っているらしい。伝説が科学によって実話じゃないって分かるのってなんだかおもしろい。

それにしても空海って色々話が残っているなって思う。能登の見附島とか高知の室戸岬とかの伝説もそうだけど、「弘法の湯」とかって全国にあるし、「弘法も筆の誤り」とか「弘法筆を選ばず」とかことわざにもなってるし。

学校の授業だと、「天台宗の最澄、真言宗の空海」ってペアみたいに覚えるけど、最澄の伝説とかってあんまり聞かないもんなあ。現代では覚えやすいようにペアとして教わるけど、実際は全然違うんじゃないの、なんて思ってみたり。




この日も気持ちいい海沿い。


那智からは、海岸線に別れを告げて、山へ。向かうは熊野三山の一角、熊野那智大社。

久々の山。これまで細かいアップダウンはこなしてきたけど、ずっと登りなのは、1日目に千葉山以来。重い。後ろのサイドバッグが単純に重い。重力ってやつを感じるぜぇ。




こういう雰囲気好き。
今回は自転車で来たけど、いつかは歩いてみたりするのも面白そう。


しばらく登ると、見えてきたのが、那智大滝。
適当な場所に自転車を置いて那智大滝へ。

(有料駐車場の人に「ここって自転車おけますか?」って聞いたら、「んー置けるけど、お金かかるから、自転車だけならそこらへん置いとけばいいんじゃない?」って言われたのはここだけの秘密)





落差がスゴイ!
高さ、水量共に日本一らしい。とにかく迫力がスゴイ。あとちょっと水しぶきが飛んできてた。

今思ったけど、滝を撮るセンスないな、自分。
なんかこう、全然迫力を感じない。頑張ろう。







こういう雰囲気が好きパート2。

滝を後にした後は、もう少し登って那智大社ヘ。

どのあたりに自転車止めようかなーと思っていると、お店の前に立っていたおばちゃんに、「ここ止めてきなよー」って言われたので、そのまま素直に止めることに。

田舎の観光地って大体、売店の前に客を呼び込むおばさん立ってる気がするのは僕だけ?


売店と売店の間にあるこの階段が那智大社への入り口。






とにかく階段。ひたすら階段。467段もあるらしい。2穴タイプとは言え、ビンディングシューズにはちょっとナーバス。












朱塗りが眩しい。

時代を感じるというのは、たいてい色褪せたりして時間の経過を感じるものに言ったりするけど、こういう綺麗になっているものも、昔と変わらない色だったりするのであれば、逆に歴史を感じると言えるのかも。



那智大社の隣にある、青岸渡寺。
こっちは打って変わってな木の色。

中に入って見学していると、お坊さんが、外国人観光客と英語で話していた。スゴイ。グローバル。きっと海外から来る人も多いんだろう。


その後は、三重の塔へ。
ザ・那智な景色。


ゆっくりした後、また467段を下る。こわ。



さっきの売店まで戻って、昼ご飯。
和歌山ラーメンとめはり寿司という、和歌山ご当地飯コンビを注文してみました。

和歌山ラーメンは正直言うと、とくに特徴は無い普通のラーメンでちょっと残念。もう少し本格的なお店とかに行けば分かるのかもしれないけど、売店だし。

めはり寿司は、高菜でくるんであるおにぎりみたいな感じ。中にも高菜が入っていて、素朴な味わいでした。こっちは結構おいしかったので、まあプラマイゼロってとこかな。


デザートに黒飴ソフトなるものを。

那智は黒飴で有名らしく、至る所に黒飴の看板が立っていて気になっていた。肝心の味なんだけど、普通のソフトクリームに少し香ばしさが足されたような、そんな感じでした。とくに黒飴感は、なかったかなあ。

さて、その後はもう少し登って那智山見晴台まで行こうかとも思ってたんだけど、もう満足したので、さっき登って来た道をダウンヒル。ヒャッハー下りは速いぜ!楽だぜ!重力ってやつを感じるぜ!


そのまま今度は、こちらも熊野三山の一つ、熊野速玉大社ヘ。








観光客で賑わって那智大社と比べると速玉大社はこじんまりとして、閑散としていたので、のんびり散策。

熊野行幸の名前を見ていると、平安末期院政期の人たちの名前がずらり。
そういえば、平清盛も熊野詣に行っている間に、源氏に挙兵されたりしたんだっけか。

瀬をはやみ 岩にせかるる 滝川の 
われても末に 逢はむとぞ思ふ

崇徳院

百人一首で有名なやつですね。あの崇徳院もここに来てたのか、なんて妄想するだけで楽しい。

そろそろ行こうかな、と思っているところにミカン屋さんが目に入ったので、ちょっと見てみると、とにかく安い。

何を食べようかなと物色して、選ばれたのは不知火でした。
なんでかっていうと、昨日買った(←こいつ毎日ミカン買ってんな)甘夏は手だけで剥けないし、中の薄皮も剥かないといけないしで、補給食としては食べにくかったので、手で剥けて薄皮ごと食べられる品種が欲しかったんですよね。

ちなみにデコポンの正式名称は不知火です。
なんで名前二つあんの?って感じですが、糖度が13%以上、クエン酸が1%以下でかつJAから出荷されたものをデコポンと呼ぶんだそうです。(この時初めてお店の人に教えてもらって知った)

というか、神社の敷地内にミカン売ってるってさすがは和歌山。多分御利益ある(?)

さて、その後はスーパーで買い出しをした後、熊野川沿いに走って温泉(今日は絶対入るぞ)&就寝場所へ。



近くにこの一軒しか入浴施設が無さそうで、ここがやってなかったらどうしようとか思ったけど、やっててほんとに安心した。こんな山中でフラグ回収とか泣けるもん。

いつもの倍近くかけて入浴したら半分のぼせた。
のぼせたので昼にアイス食べたのを忘れて、またアイス。うまうま。

もうあとは、就寝場所へ向かうだけなんだけど、この日は2つ選択肢があって、道の駅か無料キャンプ場。
道の駅の方が今いる場所から近いし、その上明日の行程もやりやすい。だけども、結局キャンプ場向かいました。

これは単純に疲労回復度の違いで、道の駅泊ってどうしても夜中にトイレに人が来たりしてなかなか熟睡するのが難しかったりします。それに比べてキャンプ場は人も少ないし(特にこの時期は)、テントの中で寝られるので熟睡度が段違いで上。たとえ多少ここから遠くても、明日遠回りになるとしても、お釣が来るほどの疲労回復はできるだろう、と踏んでのキャンプ場選択です。



ま、無料キャンプ場があったら僕はそっち一択ですね。


今日も日が落ちる前にテント設営できました!エライ!


辺りが暗くなるのが早くって、ああ、昨日までと違って山間部に来たんだなあって感じる。

お腹も減ってきたので、晩御飯!晩御飯!

さて、今日の晩御飯は、、、


パスタ!!

高知県で買った米1㎏を今朝のシラス丼でようやく消費しきったので、麺類解禁です。(11日間もかかった)

棒状の普通のパスタでもいいけど、こっちのパスタは早ゆでなので時短になるし、コッヘルでも茹でやすいし、味が良く絡むのでオススメです。混ぜるだけのペペロンチーノの素をぶち込んで、それだけじゃあ物足りないからと、サラダチキンも一緒に混ぜて終わり。

ちょっとリッチな気分に浸りたかったので、バターも一緒に入れたら幸せになれました。


1回戦だけではパスタが余ったので2回戦!
こっちはソーセージをパスタと一緒に茹でて時短に。こっちの味もよいよい。もちろんバターも入ってますよ。これは幸せの味がするッ!(我ながら安上がりすぎるwww)

早ゆでパスタですが、お湯を切って混ぜているうちにもどんどん柔らかくなってしまったので、茹で時間を気持ち短めに切り上げるのが吉。

デザートに甘夏と不知火1つづつ食べて、満腹。ご馳走様でした。
パスタは、「パスタの素+肉系の何か」で美味しくすることが出来ることが分かったので、これからも積極的に使っていこうかな。簡単だし時間もかからないし。

腹も満たされたところで、本日の星空チャレンジ!


昨日よりは上手くなった、、、かな?
日々練習ということで。

つづく。


実際走ったコース

走行距離93km 獲得標高711m

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