『夏休み北海道旅』5日目 羽幌~稚内

むくり。
おきた。

朝を迎えたここは、コロナで営業していなかったキャンプ場の駐車場。
当然、こういう場所で野宿するときは早めに撤収するに限る。

オハヨウゴザイマス!

サクッと朝ごはんを作っていきますか。


昨日の残り物をぶち込んだ適当鍋。
ホタテとキノコとベーコンから良い出汁が出る出る。朝ごはんには贅沢すぎるほど。
味付けはコンソメのみ。それ以外は逆に素材の邪魔。
コンソメ×出汁=最高。

腹ごしらえが済んだら出立の準備。

昨日の話はこちらから

さて、今日のルートはこんな感じ。


今いる羽幌から、海岸線沿いにオロロンラインをひたすら北上して稚内を目指していく。

それではしゅっつぱーつ!


朝は雲が広がっていたけれど、視線の先に見える晴れを信じて走る。


ほら、晴れて来た!
やったぜ!



自転車には会わないけどバイクはめっちゃいる。
ほんとにめっちゃいた。

結局北海道旅を通して、自転車乗りすごく少なかったし、いろんなところで「今年は自転車乗りが少ない」という話を聞いた。勝手な推測だけど、大学の自転車サークル合宿が無かったからじゃないかな。きっと大学のサークルでしか乗らない人とか、大学を卒業すると同時に自転車も卒業する人が多いんだろうな、と思う。僕はどうかな。続けるかな。そんなことを考えながら進んでいく。





はい、快晴!!
最高-----!!!



海はどこまでも穏やか。
数日前に荒れていた様子からは想像できないほど。
不思議なもので、海も穏やかだと自分の心も穏やかになる。


昨日から引き続きのやや向かい風。
淡々とこなしていると、11時ごろに天塩に到着。



どらソフトなるものがあったので興味本位で食べてみたけど、このどら焼きのよりやや硬めの生地と、小豆とアイスの組み合わせ、個人的は大好きでした。

ここから国道に別れを告げ、まだまだ海岸線を進んでいく。


お前はstop

オトンルイ風力発電所!!

風力発電が見えてから意外と遠くて、見えてるはずなの全然近づかなかったりして疲れたり。

風力発電って大抵山の上とかに並んでるところは見たことあるけど(東伊豆とか佐多岬とかとか)、海岸線の平地に並んでいるのは初めて見たかも。さすがは北海道だ…!




こうやって自転車並べてみると分かるけど、やっぱりデカいね。


海側に目を向ければ利尻富士。
雲がかかっててその全容は見えないけれど、すそ野の広がり方だけでも「富士」感があるのスゴイ。

さて、その先はサロベツ原野と呼ばれる場所をひたすら進んでいく。




オトンルイ風力発電所の辺りでは、やや雲がかかってたけどまた雲が切れてきた。

左側に目を向ければ、ほら、この通り。




利尻島ー!

これは紛れもなく利尻「富士」だわ。

今回は日程とか天候とかがうまく噛み合わなくって行けなかったけど、いつか行ってみたいなあ。




昨日も昨日で最高だったけど、今日も今日で、とにかくどんどん何もなくなっていって、最果てに向かっていくこの感じ、最高すぎる以外の何物でもない。

ひたすら広がるサロベツ原野と、その先に見える丘陵。
左手には穏やかな海が広がり、その奥には利尻富士。
当然こんな道、気持ちいいに決まってる。


いや、ほんと最高。

さて、このあたりで一つ問題が。

そう、昼ご飯がまだ。
そして走っても走っても走っても走っても、次の町が見えるどころか、進んでいる感覚すらない。





分かります、これ?
この写真は割と間を開けて撮ってるはずなのに、景色がほぼ変わらないんですよ。

左手に見える利尻島だけが僕を進んでいることを教えてくれているけれど、それ以外はほんと進んでいる感覚ゼロ。オフラインの時にChromeでできる、あの恐竜ゲームのようにひたすら終わりのない道を走っているかのような、そんな気さえしてくる。

んでもって、そこに追い打ちをかけるように空腹が襲ってくる。

とにかく何もない。「この辺りでちょっと昼飯」なんて入れるお店はおろか、民家すらない。本当に何もない。全く何もない。

前に大学でレポートを書く時に、こんな言葉を紹介されたことがある。「Omit needless words.(不必要な語は省略せよ)」。しかしながら、もう一度言う。必要なことだから。


\ホントになんもない‼/


ホントに何にもないんだよ。

次の町を調べてみると「抜海」とあったので、期待して抜海についたところで昼飯が食べられないと知った僕の失望はマリアナ海溝よりも深かったとか深くなかったとか。

つまりここまで来たら次の町は、そう今日の目的地、稚内以外にない。


あの山を越えれば稚内。あの山を越えればお昼ごはん。あの山を越えれば稚内。あの山を越えればお昼ごはん。あの山を越えれb....。


その山からみた利尻島。
素晴らしいシルエット。

これツイートしてるの15時25分なんですよね。

当然ランチの時間なんて終わっていて、営業時間外のお店にいくつかぶつかり、「ここまでお昼ごはんだけを楽しみに空腹で頑張って、コンビニ飯か....!?」という考えが頭によぎりながら、なんとか見つけた駅ナカのお店でようやく昼ご飯。時刻は16時を過ぎていた。(お昼とは?


こういうときは肉に限る。
というわけで、ジンギスカン。
肉の旨味と、ジンギスカン特有のタレが疲れた体と空腹に染み渡る。
うまうま~。

空腹は一番の調味料。間違いない。



腹が満たされたあとは、稚内港北防波堤ドームへ。

こう、「ずららららららららら」って並んでるの見ると何だか興奮しますよね。しませんか、そうですか。

そして、本当はここで野宿しようかと思ってたけど(できるという話を聞いていたので)、「野宿禁止」の張り紙が。こうやってはっきりダメと書いてあるところでは、基本的には野宿しないのが僕のポリシー。

というわけでプランB。
稚内森林公園キャンプ場なる無料キャンプ場があるらしいので行ってみると、通行止めの看板。Twitterで調べてみると、どうやら数日前の大雨で、キャンプ場までの道が土砂崩れで通れなくなってるらしいということが判明した。

じゃあプランC、とはいかなくて、そもそもそんなもの考えてない。

こういう時は、一旦考えるのをやめてみるのも悪くない。(現実逃避しているだけではというツッコミは無しで)

問題をいったん棚上げして、温泉へ。



さて、ここで質問です。
今日の寝床候補が2つともダメで、たどり着いた銭湯がライダーハウス併設で、しかもそのライダーハウスが1500円で泊まれるとしたら、皆さんどうしますか。


つまるところ、そういうことです。

この「みどりの湯」さん、結構有名らしく、僕がここに着いた時にも結構人がいたのに、そのあとも人がどんどん増えていったのは驚き。結局宿泊者は30人近くになっていた。

北海道のライダーハウスと言えば、少し変わっているところが多いという話はよく聞くけど、ここも例に漏れず独特のルールがあって、9時に全員集合して昭和を感じるミラーボールの下、自己紹介。そしてその後に、松山千春の「大空と大地の中で」をみんなで肩を組んで歌う、というもの。

自分の自転車への愛を自己紹介で語った後、みんなで合唱した。最初は少し恥ずかしがって小さい声で歌っていたけど、大の大人が大きな声で、力強く歌うので僕もつられて少しづつ大きな声で力強く歌った。

“果てしない大空と広い大地のその中で
いつの日か 幸せを
自分の腕でつかむよう

歩き出そう 明日の日に
振り返るには まだ若い
ふきすさぶ 北風に
とばされぬよう とばぬよう

こごえた両手に 息をふきかけて
しばれた体をあたためて

生きる事が つらいとか
苦しいだとか いう前に
野に育つ花ならば 力の限り生きてやれ

こごえた両手に 息をふきかけて
しばれた体をあたためて

生きる事が つらいとか
苦しいだとか いう前に
野に育つ花ならば 力の限り生きてやれ

こごえた両手に 息をふきかけて
しばれた体をあたためて

果てしない大空と広い大地のその中で
いつの日か幸せを 自分の腕でつかむよう
自分の腕でつかむよう”


力強く歌い終わった後、ほんのちょっと、ほんのちょっとだけだけれど、北海道の旅人の端くれになれたような、そんな気がした。

僕の頭上にはミラーボールがキラキラ輝いていた。

つづく。

実際走ったコース

走行距離:135㎞ 獲得標高:540m

訪問日:2020.8.9

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