むくり。
思っていたより眺めが悪いような。
ここは、弟子屈の道の駅だ。
さて、と。
今日はどこへ行こう。
比喩とそういうのじゃなくて、シンプルにどこに行くか決まってない。
一応プランはあってこんな感じ。
プラン①は昨日迷ったウトロ方面に行くルート。もう一つが、そのまま南下して霧多布方面へ向かうルート。この図を見てもらえばすぐわかるかと思いますが、道東をどう回るかに直結するわけです。
予定としては道東を回った後、もう一度今いる弟子屈に戻ってくるつもりなので、時計回りにするか、反時計回りにするかの違いということです。時計回りのほうが海が近くてよく見えるかな、程度であんまり変わらないといえば変わりません。
となると、決め手はお天道様の様子です。
どんな景色だろうと、それが見えなければ意味が無いわけで。
天気予報はウトロは曇り、釧路は晴れ。
というわけで今日は霧多布へ向かいます。
昨日の話はこちらから。
最初に向かうは900高原という場所。
よく知らないけど、いい景色が見られるらしいので。
というか、今回の旅、行くあては基本的に確定的情報無くって、ぜんぶ「らしい」です。下調べは最低限。写真はなるべく見ない。僕にはそのくらいがちょうどいいんですよね。
もちろんSNSなんかですごい写真を見て「行ってみたい!」ってなることもあるし、やっぱり写真で見たよりも感動するもんなんだけど、それをやりすぎると、味気なくなっちゃう。結局はバランス。
ツーリングマップルとかで「絶景!」とか書かれてて、どんな絶景かな?とか考えてる時間も大切にしたいタイプの人間なのです。
話は戻って、弟子屈市街地からやや南下してヒルクライム開始。
これは…!いい景色が待ってる気がする…!!!
うおおお…!
これは。
北海道らしい広大な牧場に、遠くの山々。
朝日の柔らかい日差しが差し込んできていて、全部が鮮やか。
雰囲気としては阿蘇に近い気がする。とはいっても緑の季節の阿蘇は行ったことが無いので実際はどうか分からない。(そういや阿蘇も行きたいなあ)
ダウンヒルさえも、最高。
うしー。
900草原をあとにして、南東方面にハンドルを向けていきます。
これまでほとんどが国道だったけど、今日は道道。
この道道っての、よくないですか。県道じゃない感じ。「道道」という言い方があるのは当たり前だけど「北海道」にしかないわけで、その響きにいまさら遠くまで来たことを実感しませんか。
釧路湿原らしいところ。
シラルトロ湖というらしい。
よく考えると、なかなか住んでいる近くに湿原ってない。
関東はむかし、湿地が多かった的な話を聞いたことがあるけれど、今は全部人の手が入っていて、よく分からなくっているし。
シラルトロ湖の隣にある塘路湖(とうろこ)の湖畔についたので、サルボ展望台へ。
山道を登っていざ。
何というか、自然と道路のコントラストを強く感じる。
真ん中を走る国道391号線の違和感が凄い。自然をぶった切っている感じと言えば伝わるだろうか。もちろん「自然破壊がうんぬん」とかそういう話がしたいんじゃない。だけど、文明とはこういうものだ、というのを強く強く感じた。もともと自然と文明って相容れないものなのかもしれない、そんな気がした。
そんなことばかり話していてもしょうがないので、ここで一つよかったことを。
それがこのどアップ写っている靴。
フィジークのX2 TERRA ERGOLACE。
アスファルトの上ではもちろん、山道でも普通にスニーカー感覚で歩ける。ビブラムソール様様。もちろん、つるつるの赤土の上とか、岩の上でとかは厳しい。そもそもそういうところ歩くなら、ビンディングシューズを諦めてそれ用の靴を使えばいい。でもそれ以外なら割と行けるな、という印象。
お城散策やら、こういうちょっとした軽いハイキングくらいなら何の心配もなく行けるのは、好奇心旺盛マンにはありがたい限り。
塘路湖を後にして、東へ東へ。
天気はこの先雲が広がる予報だし距離もまだまだある。急がなくては。
と、ここで昼食。
ちゃんとした昼食屋さんが無くて(そもそも近くに畑ばっかりで人家とかなさそうだった)ので、カフェ的なところへ。
注文したのがピザトースト。
で、出てきたのがこれ。これって僕の知ってるピザトーストじゃないだけど…。
とおもいながら、がぶりと一口。
世界が変わった。めちゃくちゃ美味しい。
全部が美味しい。そもそもこのジャガイモが旨い。そこにベーコンとチーズと、あとコショウが良い仕事してる。ペッパーパワーがスゴイ。多分人生で食べたピザトーストで一番おいしかった。
デザートにアイス。
こっちも当然のように美味しかったです。
さ、霧多布方面へ。
東へ東へ。
畑の中をひたすら進んでいく。
さてはて東に進み続けると、厚岸に到着。
ずっと人家が無い畑地帯を走っていたから、おお!町だ!と思ってしまった。
そしてここからは一本道。ここまで迷わなくてよかったし、ここから迷うこともない。ほっとしながら、行きたかった道、北太平洋シーサイドラインを行く。
北太平洋シーサイドライン。
道道としては123号線。
北海道をバイクで走り倒していた父から、気持ちいい道と聞かされていたけど、その道はいかに。
…走っても、走っても林の中なんですが。
聞いてたのとちげーぞ、おい。
何度も地図を確認しても道を間違っている様子はない。
おかしいな。こんなはずじゃない。
そう思いながら、海岸線特有(とはいっても北海道にはあんまりない)のアップダウンをこなしながら、進んでいくと、、、
!!!
急に開けた。
ホントに急だった。
いきなりバーンって感じで。
右側には太平洋。太平洋を見るのはいつぶりだったけか。そうか、一日目以来か。日本海を眺め、最北端まで行き、オホーツク海を眺めた後に、北海道を縦断してきたんだ。ずいぶんと遠くまで来たもんだ。今更ながらに自分の移動距離に驚く。自転車はスゴイ乗り物だと、本当にそう思う。全部人力なんだよ。
写真だと解放感があんまり伝わらないな、と思う。
解放感が伝わる写真が撮れなかったこと、ほんとに悔しい。
物凄い解放感があったと記すしか、伝える方法が無い。もし気になった人がいたら自分の目で確かめてほしいです。(職務放棄)
少し進んでいくと、涙岬展望台駐車場というのがあった。
ナニコレ気になる。というわけで凸。
こういう時の勘はよく当たる。旅の時は特に。
ほら。やっぱり。
一面の草原。
その解放感に忘れそうになるけど、木が一本も立っていない。
よく考えると不思議な景色だ。
これ(↓)が涙岬というらしい。
そんでもってこっち(↓)が立岩
いや、名前が分かったからどうってことは無いんだけどね。
足元に目を向ければ、こんな感じで花々が咲いていました。
自分には植物の知識が無いからあれなんだけど、これを目当てに楽しんでよさそうなレベル。
ここめちゃくちゃいい場所だったのだけど、夏場には虫、特にアブが多いので行く人は虫対策を万全にした方が良いかと思われ。
さて、涙岬もそこそこに、道道123号線、別海厚岸線を引き続き進んで霧多布へ。
と、琵琶瀬展望台なる場所があったので、寄ってみた。
だいぶ雲が広がってしまったので、景色的に見るとあんまりよくは無いんだけど、見れば見るほど、不思議な景色だと思う。
ちょうどここ、霧多布湿原を望んでいるような形になるのだけど、こんな感じの湿原にぽつぽつ家がある景色って、あんまりなんじゃなかろうか。少なくとも僕は記憶にない。すこし物語の世界っぽい。
僕はこうやって見たことない景色を見たくて旅をしている。
ここまでこれば、霧多布岬キャンプ場はすぐ。
買い出し、入浴を済ませ、キャンプ場へ。
到着するとすでにキャンプ場にはたくさんの人がいた(三密とは)ので、とりあえずとっととテント設営。その後は、少し散策。
湯沸岬(とうぶつみさき)灯台というらしい。
いい夕暮れだ。
あしたの天気は、どうなんだろうな。
暗くなってきたので、そろそろ晩御飯の準備。
今回はcarry the
sun(ソーラーパフの後継のやつ)しかランタンを持ってきてないので暗くなると、面倒。いやまあ、ヘッドライトもあるんだけど、あんまり充電食いたくないじゃん?
というわけで、どどんとパスタ。
まあお手軽だから。
いつも通り茹でやすいサラダ用のやつ。
今回はコンソメと、このベビーチーズをぶち込んだんだけど、案外悪くなかったです。
その後は、数日前に買ったけど使ってなかった、たらこパスタの素で味付け。ウインナーもベビーチーズも入ってよく分かんないことになってるけど、まあ旅の途中の料理なんてそこそこ味が整ってればなんでもいい。空腹はなんとやらってやつですよ。
腹が満たされたところで、テントに入って後は就寝するだけ、なんだけど、その前に親にライン。生存確認報告。
「今日は霧多布まできた」と送ると、母から「二十歳の誕生日を迎えた地」との返信がきた。
自分の母にも二十歳の時があったんだな、と今更ながらに気が付いた。
bump of
chickenが「出会う前の君に 僕は絶対出会えないから」って歌ってるように、当たり前だけど自分が生まれる前の母を僕は知らない。だけど、僕の知らない母の時間はあるし、二十歳だった母がいたはずなんだ。
だからなんだ、ということは無いんだけど、自分の年齢よりも若い母がいたということは、なんだか忘れない方が良いような、そんな気がした。
というか、母は2月生まれなんですが、2月に北海道にいるなんて、しかも霧多布にいるなんて我が母ながら、何してんだって感じですね。(ほんとに何してたんだ)
つづく。
実際走ったルート
走行距離:141㎞ 獲得標高:1023m |
訪問日:2020.8.13
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