『ROCKGEIST Nigel Handlebar Bagが良かった話』

今年のはじめ、良いフロントバッグを手に入れることが出来ました。
今回はその話。

個人的にフロントバッグはマストアイテム。
アクセスの良さ、取り付けの楽さ、積載量が丁度いいので。
確かに、前面投影面積ましましで空気抵抗は間違いなく大きくなるけど、それを補って余りあるメリットがあるのは間違いない、と思っています。


〇レビューの前に



バッグの詳しい説明の前に、僕がフロントバッグに求める性能はというと、

・アクセスの楽さ

・積載量(ミラーレスが入る)

・防水性

の三つ。

・アクセス性

アクセスの楽さは一番大事。
一番アクセスしやすい場所にあるのに、開けるのに手間取ってしまうのは個人的にはNG。だからバイクバッキングギアでよくある横開きのロールタイプは、アクセスしやすいアクセサリーポケット的なのを併用しない限り使いたくないな、と思ってます。

あとはよくあるのがジッパータイプだけど、開口部が小さいうえに、自分としては開け閉めしにくいのが多いので選びにくいし、防水性を高めようと止水ジッパーなんか使っていると、さらに開けにくいのでアウト。

・積載量

積載量も結構大事。
というのも、落車をして背中側の臓器をやらかしてからというもの、カメラを背負って走るのが怖くなってしまったので、フロントバッグに入れて運用しています。

というわけで、ミラーレスのカメラが入らないものはNG。コンパクトで補給食やその他小物を入れておくようなフロントバッグも結構あったりするけど、あれは僕の求めるものじゃない、ということです。

話が前後しますが、アクセスの楽さというのは、カメラを入れるからというのもあって、写真撮りたいというタイミングで「さっと開けてさっと撮れる」というのを重視しているからです。

撮りたい絵は待ってくれない。
それに、開けるのが面倒で「ま、いっか~」って写真を撮ることをやめてしまうのを出来るだけ減らしたいというのもあったりします。景色との出会いは一期一会。

・防水性

防水性はカメラを入れるので当然。
ちなみに今まで使っていた、outershellのハンドルバーバッグはここが致命的にダメでした。


というのも、まず蓋の部分がしっかりとしていないから、蓋の脇から雨が入り込んでしまう上に、フロントのタイヤが巻き上げる水がかなりの水圧をかけるらしく、ここからも水が入り込んでしまったりしました。しかもX-pacという防水素材を内側に使っているので、水が抜けなくて中が水たまり状態。


さらに言うと表地が保水しやすくしかも乾きにくいのです。
つまり、ずっと濡れたまま。
使っている時にも感じていたのですが、他のバッグも一緒に洗って乾かしたときにも明らかに乾くのに時間がかかりました。ちなみに表地はPUコーティングコーデュラナイロンです。

もし、outershellのこのバッグを買うのであれば、表地がこのPUコーティングコーデュラナイロンではなく、X-pacを使っているモデルをお勧めします。フレームバッグは表地もX-pacのタイプを使っていますが、こっちの方が全然乾きが早いので。

防水性がないなら速乾性がある素材の方が良い、というのは間違いないと思います。


見た目以上の収納力(ミラレースカメラとコンデジ両方入るくらい)、多くのポケットで小物を分けやすい、ドローコードで簡単に開け閉めできるとか、いろいろいいところもあったのですが、長旅などで雨に降られることが確実に予想されるときには使いたくなくなっていました。

というわけで、次のバッグでは防水性は必ず、と思ってたのです。

余談ですが、もう一個使っていたフロントバッグの紹介もしておきます。
使っていたのはBrooks Isle of Skye HANDLEBAR BAG というもの。 


形としては、ツーリング勢御用達ブランドのORTLIEBのバッグと同じ。
アタッチメントも同じで、リクセン&カウルのもの。
ワンタッチで着け外しができるのが楽だし、開け閉めも簡単で、防水性もそこそこ。長い時間雨の中走っていると、フロントホイールの巻き上げた水で浸水してしまうけれど、よっぽどじゃないと入ってきませんでした。

デメリットは、形を保つために中にプラの心材が入っているので、見たより入らないというのと、カメラが取り出しにくい、見た目のバランスがあんまり良くないところ。あとは、アタッチメント式すべてに言えることですが、そのフロントバッグを使わないときにアタッチメント自体を取り外すのがめんどくさいというのもあったり。





・レビュー



さて、そろそろ本題。
今回購入したのは、ROCKGEISTというメーカーの「Nigel Handlebar Bag」


ROCKGEISTというメーカーは、日本だとあまり知名度がないと思います。

PORCELAIN ROCKETというとサークルズなど幾つかの自転車店が取り扱っていたので、ピンと来る人はいると思うのですが、そこを買収したアメリカのハンドメイドバイクバッグメーカーといえば伝わるでしょうか。


タグにPORCELAIN ROCKET seriesと書いてある通り、今回自分が購入したNigelはポーセリンロケット時代から作っていたもの。その技術をそのままROCKGEISTが受け継いだ形です。

それでは、バッグの特徴を一つづつ。

・構造

まず構造。
中にも外にもポケットは無く完全に一つの部屋。

小分けしたい人は使いずらいかもしれないけど、このくらいの大きさのバッグなら僕は許容範囲。もっと大きいバッグとかなら小分けできた方が良いかな、と思うけれど、このサイズ感だとそこまで小物を見つけるのも(そこまで)大変じゃないと思います。

あとは、メインでカメラを入れているのも大きいかも。補給食とか、鍵とか、その他諸々の小物とかをたくさん入れる人にはあまり向かなさそうです。

ポケットつくるということは、その分縫い目が増えるので、当然、防水性を高めるのは難しくなります。この辺りの利便性と防水性はトレードオフかなーという気がします。僕としては防水性優先だったし、先述の通りこの大きさなら許容範囲内なので問題なし。


開け閉めはドローコードで。


先端部にはプラ板が付いていて、ロールのしやすさに貢献しています。

ドローコードに付いた布の部分を引っ張って、上部をロールしてプラスチック製のフックに引っ掛けるだけ。

ロールすること自体は引っ掛けてからでも出来るので、走りながら片手でフックに引っ掛けてから、手でグイっと丸めてやってロールして閉じることも可能です。さすがに交通量の多い場所ではやりませんが。アクセス性はあらゆるフロントバッグの中でもかなりいい線行ってると思います。


裏はこんな感じ。
写真中央に見える結び目がロールトップ用のドローコードの末端で、ここをほどけばドローコードの交換も可能。紐が伸び切ってしまったときとか万一切れてしまっても交換可能になっているのはありがたいなあと思います。



再びフロントビュー。
よく見ると、前面におにぎり型の生地が、表地にプラスして一枚当てられているのが分かります。


こちらは中からの写真。
透かして見る方が分かりやすいでしょうか。

これがバッグの型崩れを防いで、フックの掛けやすさに貢献しています。これが無かったら、「ふにゃ」っとなってしまって、荷物が少ない時に引っ掛けるのがかなり難しくなってしまったんじゃないかなと思います。細かいけど、こういうところまでしっかりしていて「いいな~」って思ってます。




中の様子はこんな感じ。
前述のとおり仕切りなどはなく、完全に1気室。
底には、台形で厚手のウレタンフォームが入っています。
厚さは1cmくらい。
これがいい仕事をしていて、マチを確保して型崩れを防止しています。


取り出すとこんな感じ。
ミラーレスなんかを入れているので、ベコベコに跡がついて汚いですね…。

ただ、反対に、ここがプラ板とかじゃなくて良かったです。プラ板だったらカメラもプラ板自体も傷つくし、段差とかをこえる時に中身が当たって、ガチャガチャうるさくなるので。


その他、1つ注意書きをしておくと、フロントバッグではよくある肩掛けになる機能はこのバッグにはありません。自転車から降りてショルダーバッグとして使いたい人には向いてないことは明記しておきます。

・取り付け


取り付けはハンドル2カ所とトップチューブの合計3カ所。

ハンドルバーへの取り付けはvoileのNano Strap。


これがまた秀逸。
取り付け・取り外しがすごく簡単なうえに、しっかりときつく締め付けることも簡単。ベルト穴に通しているので当然緩んでくることは絶対にないです。

ラダーロックに通すタイプ(輪行袋のアレ)とかあるけれど、比べ物にならないくらい固定力も楽さも上だと思います。

バッグ自体の幅がそこまでものすごく大きいわけでもない上に、ベルトにウレタンのスペーサーが入っているので上ハンを握るのも問題なくできます。僕のハンドルは385㎜なので、おそらくほとんどの人が問題なく上ハンを握れるんじゃないでしょうか。この辺りも細かいけど、結構重要だったりすると思います。

逆にイマイチだったのが、ヘッドチューブへの固定。


これが、カムロックタイプのものでベルトを固定するのタイプだったのですが、ここは、outershellのハンドルバーバッグのドローコードとコードロックで固定する方が断然よかったです。


とはいっても簡単に交換することができたので、とっとと交換してしまいました。
この辺りは簡単に交換できるので、デメリットとして言うほどでもないくらいです。


・大きさ

容量は4.5Ⅼです。
ロード用のフロントバッグとしてはやや大きめ。
outershellのハンドルバーバッグと比べると一回り大きいくらいです。
コンパクトなものを探している人には向かないサイズ感で、反対に、ちょっと大きめの物(一眼、ミラーレスとか)を入れたい人や、ツーリングなどでそこそこの容量が欲しい人にはちょうど良かったりすると思います。

ハンドル幅385㎜


やや大きめと言っても385㎜幅のハンドルで使っても問題なく使えているので、おそらく幅的にはほとんどのハンドルで問題ないと思います。


ただ、タイヤとのクリアランスは要注意。僕の場合はハンドルが高めのグラベルロードなので問題ないですが、ハンドルを低くしている人や背が低い人は擦るかもな、というサイズ感。メーカー公表では6.5インチ(16.51cm)のクリアランスが必要とのことです。

擦りそうな人は、DAVOSあたりのフロントバッグサポーターを併用するといいんじゃないでしょうか。

・防水性

最後に防水性。
前述した通りこれはマスト。
使われているのはPUコーティングされた420Dの生地で、この生地の防水性は、同じ生地を使っているポーセリンロケットのパニアバッグで雨の中を散々走ったから知ってます。完璧。全く浸水しないタイプの生地です。

昨年の北海道。
雨も散々走ったけどパニアバッグは浸水しなかった。


写真の通りロールトップタイプなので、もちろんそこから入ってくることはありません。
まだ本降りの中では使ったことは無いのですが、試しに1分間シャワーをかけて防水テストをしてみたところ、ロール部分の入り口付近には多少入ってくるものの、中に入れていたタオルは全く濡れていませんでした。

あと、バッグの評価とは少しずれるかもしれませんが、MADE IN USAです。


なんとなく、品質が高そうな気がします。(僕だけ?)
実際、左右のズレや破綻は無く、溶着部も問題ないので品質面では問題ないと思います。




〇購入方法



ROCK GEISTは2021年9月現在、国内代理店は無いので、本国の直販で購入する必要があります。自分もこの直販サイトで買いました。


海外の直販サイトとはいっても、Country/Region の欄に JAPAN とありますし、Prefecture もちゃんと47都道府県をプルダウンから選べるようになっているので、そこまでハードルは高くないと思います。支払いもクレジットのほか、Paypalもあるので普通の海外通販とかと変わりはないかと思います。ちなみに送料は24$ほどでした。

実を言うと、僕が購入した時はこのページに不具合があって、JAPANを選択すると購入ページまで進めなかったのですが、その旨を英語でメールで送ると、その日のうちに返信してくれました。その際、「前に日本に送ったことがある」との話が書かれていたので、その点は安心できますし、その対応の速さから、かなり誠実なメーカーという印象です。




〇まとめ



というわけで、ROCKGEIST Nigel Handlebar Bagをレビューしてきました。
個人的な要望を(アクセス性、容量、防水性)を満たしている、個人的には使い勝手のいいハンドルバッグ、というのNigelへの感想です。


バッグはハンドルバッグに限らず、「何を」「どのように」運ぶかが一番大事だと思っています。

当然、「何を」「どのように」は人それぞれでしょうし、その数だけ「最適解のバッグ」が存在します。なので、Nigelを買っておけば、万人が幸せになれるとか、間違いないとかそういうことは絶対あり得ないと思います。

例えば、小ぶりで走行抵抗が少ないものや、ポケットが多いバッグで小分けしたいと考えている人、あるいはワンタッチで着脱ができて、自転車から降りた後はサブバッグとしての運用を考えている人には、Nigelは全くオススメできません。


反対に、アクセス性・そこそこの容量・防水性を優先して考えている人には、自信をもっておすすめできるバッグだと思います。

皆さんのフロントバッグ選びの参考になれば、幸いです。

おしまい!


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