良き秋晴れの日、甘利山へと行ってきた。
最近、歩きを含んだライドってあんまりしてないな、と思ったから。あくまでサイクリングが主だけど、少し歩きたい、という欲求に甘利山はちょうど良かった。
甘利山は韮山駅から西へと進んだ場所にある山で、山梨100名山の一つ。
始発駅で韮崎へと向かった。
始発電車に乗っていると日が昇るのが遅くなったなあ、と思う。
季節は巡る。
何もしてなくても。
乗り換えを数回。八王子から松本まで直通電車が通っているの、ありがたいなあと思う反面、家が八王子だったらなあと思うこともしばしば。
韮崎駅で輪行解除。
韮崎駅から西へと登り、ローソンへ。
この日は山の中を走るので補給地点がほぼない。というかこの日の大部分で一切ない。ので、この日の昼食と補給食、それと朝ごはんが足りなかったので追加で食べて、しっかり補給してからリスタート。
ローソンからは八ヶ岳がはっきりと見えた。
甘利山へのヒルクライムルートはいくつかあるけれど、今回は県道613号線を選択。おそらく一番一般的で走りやすいルート。どうやらヒルクライムレースもあるそう。車通りは少ないけれど、それでも登山客と思しき車が何台か追い抜いていった。斜度はそこそこきつく、終始10%を超えていた。
前日に雨が降ったのか、道はまだ濡れていた。
今回はフラペ。
淡々と、時々写真を撮りながら登った。
ここまではいつもと同じ。
でも、今日は違った。
甘利山にてツキノワグマに50mほどの至近距離で遭遇。幸いそのまま逃げてくれたが、心臓が縮み上がって寿命が5年短くなった音がした pic.twitter.com/LgzXaCNO9I
— Tomy (@Tomy_viajar) September 23, 2021
初めて、熊にあった。
あまり人通りの多くない道を好んで走ることもあって、いつかは会うかもしれないと思っていたけど、そのいつかが「この日」だった。
カーブを曲がった50m先に「ノッソノッソ」と道を下ってくるツキノワグマがいた。熊鈴をつけていたれど、登りだったこともあり、あまり音が鳴っていなかったからか、熊も気が付かなかったようだった。見た最初は「熊ってほんとにノッソノッソ歩くんだな」と思った。大きさは思ったよりも大きくなくて、大型犬、秋田犬とかそのくらいだったと思う。出会ってお互い相手を認識して、数秒見つめ合った。しっかりと正面から向き合ったので、胸の白い輪もはっきり綺麗に見えた。
数秒見つめ合った後、向こうが山の斜面へと逃げていった。
その瞬間、フウっと全身から力が抜けた。
逃げてくれてよかった、と思った。
向こうが「殺るしかない」と思ったら終わりだっただろうな、とも。
その後は、怖くなったのでベルを鳴らし続け、急に叫んだりしながら登った。周りから見れば明らかな変人だが、クマに襲われるよりはまし。と思ったけどさすがに叫ぶのは怪しすぎると思い直して「あーさっきのクマ怖かったわー!!!」とすごい大声で独り言を言いながら登った。そっちの方が変人か。
そんなこともあって、結局まったく休憩をせずに甘利山駐車場まで登った。距離は12㎞ほどで獲得標高は1200m以上、平均斜度も10%に迫るような強度の高いヒルクライムだったけど、まったく疲れは感じなかった。恐怖は疲労に勝ると知った。
サドルバッグはRawLow Mountain Worksのもの。
リュックになるギミックが付いているので、これを背負っていざ山頂へ。
山頂まではよく整備された道だった。
だいたい15分くらいで山頂に到着。
山頂からの景色は以下の通り。
一枚目が富士山、二枚目が甲府盆地、三枚目が韮崎方面。
気持ちの良い秋晴れで良き景色。
今日はもう少し歩く予定。
さらに奥の奥甘利山に向かった。
手前の左、木が無い部分が甘利山山頂。
さらに15分ほど歩いて奥甘利山山頂に到着。
1843m
山頂からの景色はというと…
うん。
まあまあ。
そんなに甘利山と変わらない。
景色目当てなら、甘利山だけで十分かな。
ちょうどお昼だったのでここで食べていくことにした。
コンビニで買った昼ご飯だったけど、バーナーとか持って簡単に作ってみるのもいいかな、と思った。いつも面倒になってしまってやめてしまうのだけど。
サロモンのトレランシューズ。
こういうサイクリングと軽い歩きを混ぜたことをやるかな、と思って買ったのだけど、今の今までもっぱら家の近所で日々のランニング用に使われていたかわいそうな靴。ごめん。
のんびり昼食を食べた後、下山して駐車場へ向かった。
景色自体は奥甘利山よりも、途中の道のほうがいい。
再びの甘利山。
帰りは花を撮りながら戻った。
南側に見えるのは、去年走った櫛形山。
「櫛の形」、に見えなくもないかな。
ご丁寧にクマよけのベルが設置してあった。
丁度トリカブトの花が見頃だった。
花はきれいだが、強力な毒があることで有名な植物。熊に襲われたらこれを持って飛び込もうか。
甘利山山頂からさらに下った場所に東屋があり、その少し先からは甲府盆地を望むことができた。ビンディングシューズで歩くときはこっちだけ見て帰るのも良さげ。駐車場からは徒歩5分。
駐車場に戻り、再びのサイクリング。
小武川林道を走って北上。
ここを左折。
鳳凰三山方面の小武川支線林道へ向かった。
この道がどこまで行けるか分からなかったので、午後3時を目処に引き返すと決めて入った。日が傾くのが早くなった秋。経験も知識も無い人間で、かつ単独なので、日のあるうちに山からは出ておきたい。
緊張感が走る。
ここでもクソデカ独り言を発する点Tと化した。
「あーさっきの熊こわかったー!!」
道自体は非常にきれいなフラットダート。
慣れてる人ならロードでもいけそう。
車が出入りしていて、工事現場もあり、そういう車両も走っているようだったから、それも大きそう。
何より雰囲気が良い。
辺り一帯が苔生していて、幻想的な光景を生み出していた。
どんどこ沢
ちょうどここで午後3時を迎えた。
予定していた終点まであと数キロだったが、一瞬悩んで諦めた。
体力的に厳しかったのと、写真では明るいけど、割と日が傾いてきているのを感じたから。それと、「あと少しだから」と、冷静だった時の判断をひっくり返して進んだとしても、ろくなことが無いだろうな、と思ったから。
空気圧をさらに下げて、今きた道を引き返した。
思い切って空気圧を下げられるチューブレス。
チューブレスにしてから、ダートを楽しむ余裕が大きくなったと思う。
もっと早く導入すればよかった。
写真で斜度があまりないように見えるけど、実際は10%以上はある。けど、綺麗なダートなので気持ち良くスピードに乗って走れる。爽快な下りだった。
小武川本線にもどりさらにダウンヒル。
予定では御座石鉱泉方面へ行くつもりだったけど、体力が無くなったのでそのまま小武川沿いの小武川林道を下って釜無川方面へと向かった。
小武川林道にも距離は短いけれど砂利道がある。
こちらもかなり締まったダート。
山を抜けると金色の田んぼが広がっていた。
美味しそう。
そのまま二車線道路を走り甲府へと向かった。
前を見れば、富士山。
振り返れば八ヶ岳。
気持ちが良すぎる。
夕暮れの富士。
これを見ながらこの日のサイクリングはおしまい。
気持ちの良い秋晴れの中、サイクリングと軽いハイキングを混ぜてたことができて大満足。自転車に乗りっぱなしも悪くは無いけど、こういうのも悪くないなと思った。小武川支線はまたチャレンジしようかな。
おしまい。
更新お疲れ様です。甘利山初めて聞く山でしたが、とても雰囲気のいいところですね。
返信削除(写真がきれいだからかもしれませんね)
自分も走ってみたくなりました、ありがとうございました。
コメントありがとうございます。良いところです。是非行ってみてください(熊にはお気を付けて)。
削除いつも綺麗な写真と丁寧な記事楽しみにしてます。
返信削除無事で何よりでした、急に出会うとビックリしますよね。
私もつい先日甲府の方行きましたけど、韮崎の周りも楽しそうですね!
まだまだ知らない道だらけですw
小武川支線林道も行ってみたくなりました。
ありがとうございます。初めてということもあってかなりビックリしてしまいました。本当に何もなくて良かったです。
削除自分も知らない道ばかりなので、積極的に色々と探索していこうと思っています。