起きると、そこには自分の家にはない電灯がぶら下がっていた。
そうか宿か。
寝ぼけなまこで、電球をぼんやり眺めてた。
冷え込みは、まあ多少。
布団が好きになれる季節だった。
布団が恋しくなるともいえる季節だ。
ぬくぬくしたい。
朝風呂は3秒くらい考えて、めんどくさくなって布団の中でゆっくりした。そういう気温だった。今回は宿の予約時に朝ごはん付きにしてたので、7時になったタイミングで食堂の方に向かった。
まさしく旅館の朝ごはん。
味も旅館の朝ごはんという感じだった。
さて、今日のルートはこんな感じ。
雄国沼へと至る金沢峠へと向かい、その後は桧原湖を経由して磐梯熱海へ。
ご飯を食べ終えると、準備をして宿を出た。
宿を出て外を見ると、うっすらというレベルではない朝靄がかかっていた。視界不良。今日の天気が心配になるような靄のかかり方だった。
東山温泉温泉から北へ数キロ進み、金沢峠への入り口に到着。ここから先はほとんど車に会わなかった。
金沢峠は9.5kmで820mほど登る。
それなりに長いし、それなりに登る。
金沢峠を登る途中、日が差してきた。
今日の予報は曇り予報。
いや今日の予報も曇り予報。
前回の記事で書いた通り、3日間とも曇り予報だった。
でも、その予報を覆す当たりくじを引いたことをここで確信した。
木立の中を走る。
この辺りは紅葉というよりも黄葉。
道の真ん中が苔生している道が好き。いや、そうじゃなくて、苔生すような場所にある道は楽しいことが多いだけかもしれない。苔生していれば何でも楽しいわけではないけど、この道は楽しい道だった。
木立を抜け、伐採跡だろうか、開けた場所に出た。
それと同時に振り返ると、白くベールがかかっていた。
雲海だった。
雲海は今まで一度も見たことが無かった。初めての雲海。びっくりするよりも、雲海って本当にみられるんだ、という気持ちのほうが強かった。
確かに「すげー」と思ったけど、他の景色と大きく変わるほど、あるいは魅せられてしまうほどの感動は無かった。また見たいかと言われれば、見たいけれど、雲海を狙ってどこかへ行くかと言われれば、それは首を横に振る。あくまで旅先のスパイスで十分。
下の方は黄色が多かった木の葉も、高度を上げるにつれて赤の割合も比例して増えてきた。さらに高度を上げると、落葉が増えた。
Y2が撮ってくれた写真。
自分が映っている写真というのも良いもの。
撮られるのは、慣れないけど。
登りきりまで来ると稜線沿いに走ることになる。
右に会津盆地方面。左は雄国沼。
ここに来るまで、さっきの軽トラ一台だけだったと思う。いい道の定義は色々あるだろうけど、この景色の良さと、この人のいない良さは自分の基準を考えても花丸5個ぐらいつけたくなる。
峠も静謐で落ち着いた、静かな風が吹き抜けていた。
少し歩いた場所に展望台があるので向かった。
景色は、いまいち。
別に登っても登らなくても良かった、と思う。ここまでの景色が良すぎて飽和状態だったからかもしれない。自転車で登るなら別にどっちでも、という印象だった。
これから下る道。
楽しくないわけがない。
しばし休憩後、喜多方方面へ下った。
11/1では北側のルートが通行止めという看板があったけど、丁度雄国沼のトイレを見に来ていた職員と思しき人が「工事は終わってるから通れるはずだよ」と教えてくれた。実際下ったけど工事は終わって問題なく通れた。
気持ち良すぎて写真は無し。
金沢峠を下ると「雄国ビューライン」に出た。
どことなく利根沼田望郷ラインに似ているような。
Y2にお願いしてちょっと走ってもらった。
自転車が入ると、やはりいい。何でもかんでも自転車という一緒に写真を撮るのは違うしあまり好きじゃないけど、ここは自転車があったほうがいい。しかも走っている姿なら尚更いい。
時刻は昼飯時。
「喜多方の近くに行くのだから、喜多方ラーメンを食べよう」というのは計画段階で決めていたけれど、計画していたお店はここから距離が遠く、思っていたよりも時間が押していたので、近くの喜多方ラーメンのメニューがある食堂へ向かった。
実を言うと喜多方ラーメンを食べた今でも、喜多方ラーメンが何たるかは分かっていない。とにかくオーソドックスなラーメンという印象。味というよりも、喜多方に行って喜多方ラーメンを食べた、という事実の方が大きい気もする。ご当地グルメは案外そういうものなのかも知れない。
金沢峠で獲得した標高はほぼ吐き出したのでここからは再び桧原湖へ向けて登り。R459で向かうのが一般的かもしれないけれど、敢えて萱峠、蘭峠を経由する道を選んだ。そっちの方が楽しい。加えてこの辺の価値観が一致している人との旅は楽しい。
地味な峠だったかもしれないが、こっちの道を選んで良かったと今でも思う。
この道は米沢街道とほぼ平行しているよう。昔は民家があったかもしれないと思われる場所もいくつかあったけれど、ほとんど民家はなかった。人の流れが明確に変わったのだな、と思った。旧街道はなんだかんだ結構残っていて今でも使われているイメージが何となくあったけれど、それはきっと思い込みなんだろう、とも思った。
こちらの道も、ほとんど車の往来は無かった。
桧原湖へは1つのピークを越えていくのではなく、いくつかの細かいピークを越えていく道だった。最後のピークを越え、桧原湖へと下った。
桧原湖。
イナさんとのライドのときに書いた秋元湖と同様、1888年の磐梯山の噴火により河川が堰き止められ出来た湖。ここに沈んだ町もあるのだろう。故郷が無くなる気持ちは分からないけれど、その気持ちが分からないことは幸せな事だということは分かる気がした。
桧原湖をぐるりと半周。
もはや当たり前すぎて書いていないけど、紅葉は素晴らしかった。
その後はR459、R115と経由して、母成グリーンラインこと県道24号線を走った。
元々は三河小田川線というダート林道を走る予定だったけど、時間的にナイトグラベルになることが確定していて、二人で相談して「さすがにそれは嫌だね」となったので母成グリーンラインを選択した。
R115からは遠くに安達太良山が見えた。
沼尻で右折し県道24号線へ。
峠を越えたあたりで暗くなっていたので、林道を回避する判断は間違っていなかったと思う。斜度が下がり街の灯りが見えたときは少しホッとした。
磐梯熱海駅の近くの食堂で晩御飯を食べたあとは宿へ。磐梯熱海という名前がついている通り温泉街だった。
部屋の外にはクリスマスソングが流れるホテルで我々は何故、男二人で宿に泊まっているのか pic.twitter.com/xlAPLG3TGa
— Tomy (@Tomy_viajar) November 1, 2021
もうクリスマスか。
ハロウィンは終わったし。
温泉に入り適当に時間を過ごして、あとは就寝。
ダート林道を走ることはできなかったけど、それでも金沢峠や旧米沢街道沿い等楽しい道を走れてよかった。昨日の満足度が高すぎて、期待値が高くなっていたけれど、それでもそれに勝るとも劣らない良きルートだった。明日は最終日楽しくなるといいな、などと考えながら寝た。
続く。
実際走ったルート
走行距離:108㎞ 獲得標高:2324m |
更新ありがとうございます。毎度きれいな写真で眼福です。あぁ、やはり秋の会津は素晴らしい。。。
返信削除コメントありがとうございます。
削除初めてでしたが、会津の秋は写真の数倍素晴らしかったです。