面白いと思える人と出会えることは、そう多くない。
数年おきに、卒業・入学があってコミュニティの総体が一気に変わる学生とは違い、社会人になってからは特にそうだと思う。
最近、面白いと思える人と会った。
今回はそんな人とご一緒させていただいたライドの記録。
もったいぶる意味も無いので言うけれど、その人とはすーさんさんさ(@su_san5392)さん。「さん」までつけると「さ」がゲシュタルト崩壊しそうなので以下「すーさん」と書く。
すーさんは最近知り合ったというわけではなく、ツイッター上ではちょいちょい交流があった。つい先日、お会いできる機会に恵まれたので、その勢いでご一緒しましょうということに。
今日は、かさんとすーさんに遊んでもらってました! pic.twitter.com/S8sL054KuH
— 103 (@Tomy_viajar) August 27, 2022
すーさんを知らない人に説明しておくと、カメラを担いで走る系のサイクリストで、ツイッターの感じを見ていると自分と走りかたや自転車に求めているもののタイプが近そうだな、と勝手に親近感を抱いていた。ついでに言うとすっごいバイクもお持ちの方。その話はおいおい。
ルートは1日目が京都から若狭方面へ、2日目は若狭基幹林道を走ってあとは適当に繋いで近江今津まで。
お互いいくつかルートを作ったりはしていたけれど、難易度とか諸々考えこのルートに。お互いの脚力を分かっていない中でエクストリームなルートにすると、ライドがエクストリームの範疇を超える可能性があるので。
前置きはこのくらいにして、以下当日の話。
スタートは京都駅から。
すーさんが駆るのはKUARIS 。
知ってる人は知ってると思うけれど、和歌山のビルダーさんがつくるチタンのオーダーフレーム。そう、チタンのオーダーフレーム。
鉄のフレームでさえオーダーすればそこそこいい値段なのに、それをチタンでしてしまうという贅沢。趣味バイクの一つの完成形だと思う。
バイクチェックはとりあえずあとにして、秋の涼しい風が吹くようになった京都の町からスタート。
朝の京都を抜け、京北方面へ。
一発目の峠は芹生峠。斜度はきついけど雰囲気が良くて、京都近辺で走ったことがある峠では一番好きかもしれない。
三連休中日ということで、貴船周辺までは車通りがあったものの、それ以降は一台ともすれ違わなかった。良き。
Photo By すーさん
基本眺望が開けることはなく、杉木立のなかを走る。
誰かと走るときはこういうひっそりとした道が良い。
折角、時間を合わせて一緒に走るのだから、走りながら話せた方が良いに決まっているし、国道をひたすら走り続けるよりもその方が絶対楽しい。そう思いながら今回のルートも引いている。
Photo By すーさん
写真を撮ったり、撮られたりしながら。
カメラを持った二人が走るとこうなりがち。
お互いひいひい言いながら芹生峠を越えた。
跳び出し注意!!!!!!
下ったタイミングで休憩がてら、お互いのバイクチェック。
目敏い人はすでに気がついていそうだけど、凄いのはフレームだけでなくパーツも。
ヘッドパーツ・ハブはクリスキング。クランクはホワイトインダストリーズ。ホイールとハンドル・ステム・シートポストはENVEと隙のないアメリカンコンポーネンツ構成でありアメリカンパーツ攻勢。
なまめかしく光るはKINGの証。
巡航時のハブの滑らかさが光るとは本人談。
特徴的なラチェット音が杉木立に鳴り響いていた。
コンポはスラム。
ワンバイ構成。これで急坂を登るんだからすごい。
使ったことないから性能は分からないけれど、アメリカンパーツとの親和性は見て分かる。かっこいい。
何度見ても良いバイク。
私のはこちら。
すーさんが持ち上げた瞬間に笑ってしまうくらいには重量級。
正直怖くて重量を量っていない(量ってしまったら峠で心折れるか、財布の軽量化が止まらなくなるから怖い)。
それでも良くよく走るからいいバイク。
そんなこんなをしながらリスタート。
峠の上りではもちろん色んな話をしながら。
実を言うと、個人的にもチタンオーダーは結構気になっていて、そのへんの話やパーツ選定のこと、今まで走った道やらなんやらのこと。
気が付けば峠を越えていた。
話しながら走る峠は短いもの。
ここから先は北へ進路を取り直して、おにゅう峠へ。
勝手に厳しい峠と思い込んでいたけれど、アプローチのダラダラとした上りでそれなりの標高を稼げてしまうタイプの峠だった。このダラダラが結構ダラダラで若干辛かった記憶がある。これはタイヤが重いせいというのも多分にある。
Photo By すーさん
林道に入る頃にはすでに標高460mくらい。
おにゅう峠は820m程なのでここからあと360m。
こちらも最後はグググっと標高を稼ぐ峠で、終盤の羊腸の如き九十九折を上がると、遠くには山々が見えた。
おにゅう峠の登り切りは、展望スポットのもう少し先。
立派な峠の碑があった。
峠は靄で白く染まり、冷え込みもそれなり。
僕「あ、手袋忘れてました」
すーさん「貸しましょうか?」
僕「あーいや、大丈夫です。転けたら手が大根おろしになっちゃうんで、そこだけ気をつけます!」
〜数分後〜
ズコッ、ザザー。
…ええ。
まさかのフラグ回収。転けました。
オイルでもこぼれていたのか、道の真ん中だけブラックアイスバーンレベルで殺意の高い路面になっていて、それ気が付かずカーブを曲がろうとした瞬間地面が消えた。手のひらには大根おろしもとい紅葉おろし。痛かった。次からは絶対手袋忘れないようにしようと心に誓った。
オンロードで転けるのは内臓逝って以来ぶりぐらいなので、ちょっと、いやかなりへこんだ。もう、あんな目は嫌なんだ…。
ヘアピンカーブで速度をしっかり落としていたことで、幸い骨も内臓も問題なし。いくつかの擦過傷だけで済んだ。バイクも若干ハンガーが曲がったけれど、予備があるのでこちらも問題なし。
気を取り直してリスタート。
若干話が前後するけれど、こける前にはこんな景色も。
天気が良ければ若狭湾まで見えると聞いていたけれど、あいにくの曇天。
とはいえ、曇天の山道も悪いものではない。
曇天の海岸線ロードはなんだか好きになれないけれど、曇天の峠は雰囲気があって悪くないものだと思う。
Photo By すーさん
数分後にこける私。
この時はまだ何も知らない。
そのあとは若干ビビりながら下って小浜方面へ。
道中の絵を見ればわかる通り、そう、ここは鯖街道。
若狭湾で捕れたサバを都へ運んだ道。
サバという足の早い魚の名前が付けられるくらいの街道だったのだから、それなりに往来も盛んだったのだろうなと思ったりする。実際は分からないけれど。
夕日の中、田んぼを走るのっていいですよね。
目の前の山々を穿つ天ヶ城トンネルを抜ければ日本海。
夕日と逆光と内海。
新しいレンズでは、この柔らかい逆光が撮れることが分かったのは本当に嬉しいけど、それはまた別のお話。
あとは今日の宿のある阿納までゆるゆると。
日暮れ前には宿に到着。
さて、お宿の晩御飯はというと…
はい、出ました若狭の冬の味覚、フグ!
フグをちゃんと食べるのは初めて。
関東だとあまり馴染みがない魚。
ちなみにこの日出てきたフグ料理は、
・てっさ
・てっちり
・湯引き
・唐揚げ
フグ料理だけで4品も。
量もそれなりにあって(さっきのてっさは一人前!)、文字通りフグづくし。
実際食べてみて、結構あっさりしてるというか。
今まで食べた魚で近いものがあまり浮かばない。
けど、美味しいのは間違いない。
ちなみに、料理はさっきあげたフグ料理だけではなく、カニや他の魚のお刺身、ホタテの陶板蒸しまで。
腹ペコ成人男性2人で食べてもお腹いっぱい。
明日に向けてあとは寝るだけ。
続く。
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