『紀伊半島横断ライド』1日目 松阪〜高見峠〜上北山村

その日、一通のDMが来た。

”ご無沙汰してます。
12/2〜12/4で、かさんと紀伊半島方面を走る予定です。ルートは選定中です。
もしご都合よければ(全日程参加でなくても構いませんので)一緒に走りませんか。”

イナさんからだった。

イナさんについては…もう説明しなくてもいいだろうか。イナさんを知らない人はこの辺の記事を読んで欲しい。


一言で説明するなら、毎度毎度楽しいライドに連れて行ってくれる、平日からTLに絶景写真を無差別投下する恐ろしい楽しい人、だろうか。

かさんについては、ライドでご一緒するのは今回が初めて。
といっても、以前からTwitterで交流があるし、一緒にお食事をさせてもらったり、京都観光に繰り出したりと、正直「初めて感」はほぼない(と僕は勝手に思っている)。写真がとてもお上手なうえにカメラに詳しいので、毎回のようにいろいろと聞いたりしている。詳しく知りたい人はかさんのTwitterを見るか、ブログを見れば僕の言いたいことは大体分かると思う。


SNSとは便利なもので、こうして面白い人と簡単に繋がることができる。その上、こうして簡単に日程を調整して一緒にライドをすることもできる。SNSが無い時代なら、どれもこれも多分叶わなかったことなのではないか、とスマホが当たり前の時代の若者は思うことがある。(もちろん使い方を間違えれば危ないものになり得るのだろうけれど)



話は当日。
金曜日は有休をとって、12月2日。
松阪駅に向かった。

前より、ステッカー増えたような…?

さて、今回は、イナさん主催のライドだ。
それが何を意味するかと言えば、「僕は金魚のフンでいい」ということ、だ。具体的に言えば、ルート作成に関してもう全面的にお任せでいい、ということである。

ルートを引くことは楽しいけれど、毎回毎回となると面倒になることもある。走りたい道があっても、実際にアプローチを逆算しスタート・ゴール地点を決め、複数日に跨るライドなら宿を取り、などと現実的な手段に落とし込んでいくのは、それなりに労力がいる。

もちろん、それがつまらないわけではない。
もしそうだったらとっくのとうに自転車なんてやめている。

だけど、ちょっぴりそれが面倒だと思う時がある。
毎日の献立を考える、あの面倒くささに少し似ているのかもしれない。

かさんのバイク、アンカー。

カンパ良さそうで気になる


でも、今回はイナさん主催のライド。
楽しむ準備さえしていればいい。それだけでいい。
そういうわけで、楽しむ準備だけ全力でして、走り始めた。
もうワックワクしながら走り出した。

この日のルートは以下の通り。


イナさんの頼もしき背中。
結構な向かい風の中、先頭を切っていた。
松阪からはR166と、その側道を走りながら西へ。


珍布峠(めずらしとうげ)。
峠と言いつつ、そこまで登るようなものではなく何巻きかしたらつくような小ぶりな峠。スパッと切れた切通が素晴らしい。R166の近くにある小道にある。



「布」で「し」と読ませるのはあまりない気がするけれど、送り仮名つけて「しく」と読ませることはあるから、「く」が落ちたものなのかもしれない。

書いていてふと思ったけど、まさか、形容詞シク活用「メズラシク」からきたなんてことはないよね…?(「しく」は「敷く」なんかと同じ動詞なので多分違う)(シク活用の活用語尾を「布」で当てる例ってどこかにあるのかしら?)

”撮る覚悟”





珍布峠のある小道から戻ったところで昼飯。

お昼ご飯を飲食店で食べる時間のせいで走れない場所が出てくるなら、お昼は補給食とかでも問題ないか、みたいなことを話すのが楽しい。いや、こうして書くと、別にどうってことないし、文字にしなくてもいいのだけれど、こういうどうでもいい話こそが、複数人数のライドの醍醐味の何割かは占めている。

Photo by イナさん

お昼ご飯を済ませてリスタート。

いきなり写真のテイストが変わったけど、これはイナさんが持ってきた「写ルンです」の写真。バキバキの高解像度の写真の方が、必ずしも”良い”といえるわけじゃあない。むしろ”記憶としての記録”なら、こっちのほうがいいんじゃない、と思うほど好き。

フィルムカメラ、買ってみようかな…?



交通量の少なくなってきたR166を走る。
ここまでくるとかなり快適。
この辺から高見峠への登りが始まる。


標高350mから630mほどまで、国道らしい緩やかな坂を登ると、高見トンネルにたどり着く。旧道に行くと標高900m弱まで登れるけれど、今日はまだ先が長いので見送り。すでに旧道も走っているイナさん曰く「景色がいい」そうなので、2023年中には旧道の方も行きたいところ。


ただ、新道のトンネル区間まででも十分景色が良い道だった。



Photo by イナさん

看板の通り、この峠を越えると三重県から奈良県に入る。



遠くには山々を。
良き眺め。
次は別の季節に旧道も含めて来よう。

Photo by イナさん

未走ルートに対する執念が凄すぎる

R166を別れを告げて、県道を経由してからはR169を走る。
紀伊半島は東西の移動よりも南北の移動の方が発達している。R169はその南北間を走る国道の一つ。そのためか、交通量が少ないわけではなかったけれど、でも思ったほど多くなかった印象。

Photo by かさん

かさんが撮ってくださったこの写真。
かなり好き。
「フォトアタックしまーす」と自分が前に出た瞬間を、その踏み込んでいる雰囲気を、ばっちり写真に収めて下さるの本当に嬉しい。


カメラ持っている人と一緒に走るの、ほんと楽しいのよ…!


ゆるゆると緩やかにアップアップダウンアップくらいの割合で登りながら南へ進む。この地点で既に90㎞以上走っている。疲労感はそれなり。残り40㎞ほど。ゆるゆると。淡々とペースを刻みながら走るのにぴったりという道だった。


特徴的なループ橋に到達するくらいで辺りはだいぶ暗く。
12月は日が落ちるのは早い。山間部ならなおさら。ここまで来ればもうあとは少し。

Photo by かさん

一人のナイトサイクリングだと、道によっては心細さが勝ることもあるけれど、今日は3人。しかも経験値も抜群。心強さと楽しさしかない。ナイトサイクリングでしか味わえない非日常感って絶対ある。

辺りが真っ暗になってしばらく走った頃に宿到着。


この日の宿はフォレスト上北。


ぼたん鍋!





晩御飯はどれも美味しく。

普段ならそのまま後は寝るだけだけど、少し話をしてから寝た。
そういうのが、いい。

つづく。

走行距離:115㎞ 獲得標高:1621m





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