SIMWORKS by Panaracer Volummy 700×32c が良かった話

最近、お気に入りのタイヤがあるのです。

今回はそんな話をば。

SIMWORKS by Panaracer Volummy

SIMWORKS by Panaracer
Volummy


旅に、ツーリングに、このタイヤ。

タイヤのレビューって本当に難しい。
それまで使ってきたタイヤの経験値や本人の嗜好、体重、乗り方、求めるものetc. 
そういう個人の経験・知識による部分があまりに多く、一般的な意見にはなりにくい(ように思う)。とはいえ、このタイヤが良いと思ったことは事実。それを備忘録的に書いておく意味も少しはあると思うので、いつもどおり主観マシマシで書いておこうと思う。

ちなみに主な比較対象は、同じバイク・同じホイールで使っていたContinentalのGP5000 32c、VITTORIAのCorsa control 30c。いずれもチューブド運用。Volummy はチューブレスレディ運用なので純粋な同一条件じゃないけれど、ある程度は参考になるかな、とは思う。

VITTORIA Corsa control 30c

Continental GP5000 32c

あと、オンロードタイヤ系で使ったことがあるのは、Continental GATORSKIN・WTB EXPOSURE・TERAVAIL CANNONBALL・RIVENDELL Jack Brown・DONNELLY Strada LGG。若干グラベルっぽいのもあるけど、オンロードでも良く使ったからここに挙げた。この辺は別のバイクや別のホイールで使っていたので、純粋には比較対象にしにくいけど、こういうタイヤを選ぶ人間だと思ってもらえれば嬉しい。

◆スペック



使っているのはBLACKの32c。
製造元はパナレーサー。
重量は360g。


注意しないといけないのは色によって重量が違う事。ピーナッツバターウォールの名付けられた、茶色のサイドのモデルは「ダイエット」、つまり前のモデルより軽量化しており、重量が黒の物よりも軽くなっている(32cで281g)。

ブラックモデルも「ダイエットす」るのかなあ、とは思っているのだけれど2023年1月現在は情報は無し。耐パンクはそのままで軽くなれば、それは嬉しい事なので首を長くして待ちたいところ。

以下、使った感じを。

◆転がり



Volummyのトレッドはグラベルキングと同じ。
つまりそこそこのハイグリップタイヤ。
なので、感じる転がり抵抗のイメージとしては

GP5000>Volummy>>>>Corsa Control

みたいな感じ。
実際にタイム計測とかしたことは無いので、あくまでイメージ。

Volummyの巡行感は、GP5000のそれとは明らかに質が違くて、GP5000のそれを紙一枚分くらい浮いているような滑空感と称するならば、Volummyのそれは地面を舐めるように進む接地感が特徴的。チューブ引っこ抜いてTLR化しているおかげか、GP5000と比べて、ハイグリップ&杉目のトレッドのわりに、そこまで無駄に力を吸い取られている感じはない。


紙一枚浮いているくらいかっ飛んでいくGP5000は、特に下りでは怖さすらあったので、むしろこのくらい接地感がある方が好き。


この辺の好みは体重とかも関係ありそう。軽量級ライダーの自分としては、タイヤにある程度の接地感がないと怖いけれど、体格いい人だと、ベタベタで全然進まないタイヤという印象があるのかもしれない。分かんないけど。

Corsa control は…あれは…あんまし進まないタイヤだった…。

◆グリップ



これって、評価するのが難しい。
純粋なグリップって普通に乗っているだけじゃわかりずらい部分がある。
例えば、ハードブレーキしてタイヤロックするまでとかの感覚として感じる「絶対的なグリップ力」ならこんな感じ。

GP5000>Volummy=Corsa Control

でも、走っているときの「グリップ感」としてはこんな感じ。

VolummyCorsa>>ControlGP5000

つまるところ、Volummy の絶対的なグリップ力はGP5000には劣る(気がする)けれど、実際のグリップ感としてはVolummyの方が上。


杉目のトレッドだし、まあ絶対的なグリップ力が劣るのもむべなるかなと思う(つるつるスリックの方がグリップするらしい)けれど、下りで接地感やグリップ感を得られるので個人的には杉目のほうが好き。

あと絶対的なグリップよりも、下りでのグリップ感のほうを自分は重視している。こういう道に吸い込まれる性格なので……。


この辺はCorsa control もグリップ感はそこそこ良かった記憶がある。特に濡れたときとか。GP5000は怖かった。速かったけど怖かった。怖かったけど速かった。


◆乗り心地



イメージはこんな感じ。

Volummy>Corsa Control>>GP5000

まあ、チューブ引っこ抜いてるからなあ。

乗り心地のいいと言われるCorsa controlとはちょっと質的に違くて、Volummyはもっとゴムのクッションっぽい感じ。「ボヨーンボヨーン」みたいな。Corsa のほうが(宣伝文句に引っ張られている可能性は大いにあるけれど)布っぽいフニャッとした柔らかい印象があった。

自分としては、この乗り心地ってのは結構重視するポイント。さっきも書いたけど、綺麗な舗装路延々走るよりも、荒れた舗装路を一人走る方が好きな人間で、そういうことを楽しくしていくには、乗り心地を良くした方が良いに決まっている。たとえ漕ぎ出しが若干重くなったとしても、間違いなく乗り心地を取る。個人的はそういうポイント。


GP5000の乗り心地に不満はなかったけど、今更戻る気にはならない、という印象。悪くはないというか、むしろいい部類だろうけど、でもレーシングタイヤだな、と。自分の求めるものとは若干違った印象。

ちなみに、Volummyの運用空気圧は前3bar・後3.2〜3.5barに落ち着いた。以前はもう少し高めで乗っていたけれど、徐々に落として、「まあこんなもんかな」という感じ。このくらいでも腰砕けとかはない。GP5000やCorsa controlをチューブド運用してたときは4bar以上は入れていたので、乗り心地という面ではチューブレス化の恩恵はほんとに大きい。


◆耐パンク



そもそもVolummyを買った理由がこれ。


GP5000のサイドカットからのトレッドもアウト。
GP5000のサイドは結構ペラペラなので、「やる可能性はあるなー」と思っていたものの、 まさか本当にやるとは思わなんだ。

そういう経緯もあって、サイドカットに強いタイヤを探していて、それがVolummyだった。

”ツアラーに「タイヤのサイドが裂けてしまうアクシデントが悩ましい」と、これもたくさんの声を頂いたのです。軽いタイヤは心地良いのですがね、ざっくり裂けたりしてしまっては旅もつづけられませんよ、と。Circles オンラインストアより引用

自信が感じられる文章。

とはいえ、耐パンク性能ってかなり評価しずらい。
運要素もかなり大きいし、何より僕自身パンクしないタイプの人間(グラベル含め20000㎞乗って、パンクしたのは2回だけ)なので、正直、僕が評価する意味はほぼないと言っていい。事実を書くなら、Volummyでは1400㎞乗ってパンクは無い。けど、たったの1400㎞で分かるもんじゃ絶対にないし、そう言う意味でも評価は無理。


耐パンクで何か書くとするならば、よく似たグラベルキングシリーズとの違い。
前述の通り、Volummyのトレッドは無印グラキンと同じ。重量もかなり似通ったもので、グラキンプラスも含めて、もう兄弟くらいの関係と言っても過言ではないくらいだと思う。

で、この三兄弟の大きな違いは耐パンク、ということらしい。

グラキンプラスにはグラキンとVolummyにはない、「ProTite Shield Plus」というアンチパンク材が入っていて、突き刺しパンクに強くなっている。Volummyはサイドゴムの張られたガムウォール仕様になっているけど、グラベルキング&グラキンプラスはオープンサイド仕様なので、サイドカットには弱い。

まとめるとこんな感じ。


今回僕が求めていたのは、前述の通りサイドカットに強いものだったのでVolummyがベストマッチ。見ても触っても分かるくらいゴムが盛ってある。ちなみに、ちょくちょくトレッド面からシーラントが出たりしていることがあるので、使用上の問題はない程度だけれど、そこまで突き刺しに対しては強く無さげ。

さらにこれも余談だけど、グラキンと比べて、ビードがPBO繊維で強くなっているという地味なポイントもプラス。ほら、グラキンは「外に出たがるタイヤ」だから…。

暴発の理由としてはリムとの相性が一番デカいはずなので、PBO繊維になったからと言って暴発しにくくなっているとは限らないけれど、あって困ることではないはず。実際、暴発以外でも、グラキン特有のハードブレーキング時にずれていく現象だったり、緩すぎてビードが上がらないとか、ツイッターでチラホラ聞くめんどくさい状態にはなったことが無い。

緩すぎて上がらないことはない、と書いたけれど、フロアポンプだけじゃさすがに厳しくてビード上げにはシュワルベのブースターを使った。とはいえ、このくらいのタイヤ幅ならそれが普通だろうし、繰り返しになるけれど、特筆して上げにくいなんてことはなかった。

半年使って前後のタイヤをローテションしたときも新品に比べれば上がりにくくなってるものの(これはどのタイヤでもそうなる)、苦労するほどではなく割にすんなり上がった(もしかしたら、ここでもPBO繊維が効いているのかもしれない)。

耐パンクの項に書くことじゃないし、前述の通りリムとの相性が大きいので全員がそうなるとは限らないけど、一応参考までに。

◆耐久性



先述の通り1400㎞走って後輪はこんな感じ。


そこそこ削れている。
乗り心地と引き換えに耐久性はそこまで高くないと思う。1400㎞で前後ローテしたけれど、美味しいのは2500㎞までかな、という印象。GP5000やCorsaと比べると低寿命。とはいえ、地面をなめるように進む接地感を生み出しているのは、おそらくこの柔らかなコンパウンドなので、ここはトレードオフ。

まあ実際、自分の乗り方的にそのくらいの距離乗れば、シーラントの寿命的にもタイヤ毎交換した方が良い時期になるという部分もあるので、正直そこまで気にしてはいない。

ただ、耐パンクに惹かれて通勤タイヤにしようとかだと、ちょっと「思っていたのと違う」となる可能性があるとは思うし、僕なら使わない。通勤タイヤだったらコンチネンタルのゲータースキンを使う。あれが一番削れないしパンクしない。

あくまで、快適ショートツーリングタイヤだと思う。
大学生の頃みたいに、荷物満載で2000㎞以上のツーリングだと、どうかな…。
多分だけど、違うタイヤを手に取る可能性が高いように思う。

機材はなんでもそうだけど、あくまで使い手の「こうしたい」が先にあって、それに対してどういう商品を選ぶのかが大事。このタイヤで一番気持ちいいのは数日間のツーリング。このカテゴリーの中なら、今まで僕が使ったタイヤの中で一番に来る。

◆まとめ



一週間以内オンロードツーリングとしては花丸を上げられるこのタイヤ。可愛い見た目をしながらも、サイドカットに強くてグリップ感良くて乗り心地もいいという、羊のぬいぐるみを着た狼的タイヤ。

「レースです」「ロングツーリングです」「ダートミックスのルートです」となればもっといいタイヤはあるけれど、オンロードショートツーリング的なライドなら今んとこ、これが一番。他にもまだ使ったことのない良さげなタイヤはまだまだあるから、「絶対にこれが一番なんだ」とは思わないけれど、今後使っていく中で致命的な「何か」が無い限りこのタイヤでいいかな、と思っている。

そんな、割と長い付き合いになるかもなあ、という限りなく感想に近いレビュー的な何かの記事でした。
おしまい!





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