『真夏の高知・愛媛旅』 1日目 高知~中村



2023年のお盆は高知・愛媛を走った。

お盆が台風の季節となったのはいつからだろう。
今年も低気圧の渦巻きが太平洋から近づいていた。
それでも天気が良さそうだったのがそこだった。


夜に岡山へ動き一泊。
夜明けとともに瀬戸大橋を渡る。
朝の青い空気の向こうに坂出の工業地帯が見えた。


坂出からは「特急しまんと」に乗り換え。
高知市の西側の土佐市のさらに西、須崎へ向かった。


……が、車両は高知駅で止まった。
停まったのではない。
止まったのだ。信号トラブルで。

「信号トラブル 復帰時間」とスマホの検索窓に打ち込み、復旧には時間がかかると書かれたページをいくつか確認した後で、高知駅から走ることを決め輪行を解除。仕方がない。高知駅から須崎駅までは35kmほど。自転車で走っても2時間もあればつく。2時間も待ちぼうけしてる方がずっと馬鹿らしい。


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須崎につくまでは予想通り2時間だった。
準備運動と割り切って走ったので写真は1枚もない。
それに、走ってきたR56号線に写真を撮りたくなる景色もなかった。

ここからは予定ルート。


須崎駅よりさらに少し西、安和より県道320号線(久礼須崎線)に入る。


海に張り出した山の半周をぐるりと回るような県道320号線。
第一印象は「よくもまあこんなところに道を通したな」。
海も近ければ崖も近い。





たびたびロックシェッドが現れる。



とにかく海が近い。
3日後に上陸する台風が太平洋沖にいたからだろうか。
大きくうねる波は崖に打ちつけられて白い飛沫を高々と上げ、腹の底まで響く和太鼓の様な音をずっと響かせていた。



トンネル内は波の音がより響く。


基本は1.5車線。
カーブも多く、そもそも見通しが悪い。
快走路というわけではない。
でも、のんびりと走るにはちょうど良い。
そんな道だった。



久礼川の河口を渡ると久礼の町に出る。
久礼大正市場というのが町の中心にあった。




観光地なのだろう。
そういう人が多くいて、そういう場所特有の活気があった。

そこかしこから美味しそうな匂いがしたので、昼ご飯でも食べていこうかと思ったが、しかしお盆。ゆっくり食べていけそうな場所など皆無で、人混みにも疲れてしまってそそくさと退散した。


人混みに辟易として退散したとて、腹が減ってはなんとやら。
時刻は昼。
道の駅でご飯を食べていくことに。
とはいえ、道の駅の飲食店もそれはそれは大層な活況だったので、道の駅の総菜コーナーで適当に見繕って食べた。

高知に来たら鰹でしょ。


…鰹でしょ?


「ハランボ」はマグロでいうところの「トロ」にあたる部位のことらしい。脂の乗った鰹のトロを唐揚げにしているのだから不味いわけがない。旨いものは脂肪と糖でできている。

暑いのでかき氷。うめえ。


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午後も海岸線を走る。




県道25号線を行く。
海岸線よりも山が多い。
山を抜け海岸と集落へ降り、再び山。
そういう道だった。





今しがたいた志和の町を望む。
上っては下り、下っては上り。




山を越えると同時に田んぼが現れる。
つまり地べたが平坦。
さっきまで海沿いの山を走っていたはずなのに内陸に入ると平坦だなんて、なんだかちょっと不思議な気持ちがする。




「○○小学校で、本日、花火大会が開催されます。皆さん……」という防災無線のアナウンスを遠くに聞きながら、強い日差しに照らされて動きを見せない集落と、どこまでも青々とした田んぼを抜けていく。「どうしようもなく夏だなあ」なんて思ってしまう。

窪川でR56号線に接続して、土佐佐賀より先は海沿いを走る。
傾き始めた陽に照らされて伸びたこの季節特有の濃い影が、山と海のコントラストを強くしていて、素晴らしい景色を作り出していた。






四万十川が見えたところでこの日は終わり。
宿は中村駅近くの民宿。
ほとんどがサーファー客で「なるほどお土地柄」と思った。


晩飯は、かつおのたたきに日本昔話盛りのご飯。

つづく。


実際走ったルート。

走行距離:126㎞ 獲得標高:1131m


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