『初夏京都グラベルライド』

梅雨が来る前の6月の第一週。
夏の暑さを感じる。
でもまだ本格的な夏より暑くない。
一番「気持ちいい夏」を感じられるかもしれないこの季節。
WCC時代からの知り合いと、京都のグラベルライド。

相手はDCCのOBのしみみー。
前々から一緒に走りたいと思っていた。
知っている人は知っていると思うけれど、彼はかなりのバイクギークだ。
本人曰く「自分なんてまだまだ浅い」らしいが、彼が”浅い”のであれば、そこら辺の自転車乗りは間違いなく”干上がって”いる。少なくとも僕はカラカラの砂漠である。


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DCCの部室がある新町キャンパス前に集合。
大学時代にここに泊ったことがある。
そういやその時、しみみーのエクターの構想を聞いてた気がする。
それももう5年前。コロナ前という事実にビビる。
そんな感慨を感じつつ、とりあえず北へ向かった。
まずは、定番の補給スポット、市原のローソンだ。
ここでしみみーのバイクをチェック。


S-WORKSのCrux。
一言でいうなら、めちゃくちゃに軽いグラベルバイク。
もちろんそれだけじゃないだろうけれど、それがまず一番の特徴だと思う。
しみみー曰く、「この軽さは呪い」かも、とのこと。
「この振りの軽さが、今後の基準になると大変」と。

あと「S-WORKSなんてただのシール、そこに価値なんてない」と言っていたのが、彼らしいなあと思った。S-WORKSというシールじゃなくて、そのバイク自体が持つ魅力を感じられるかどうか。とても大事。


わざわざ言うあたり、ロゴシールに価値を見出している人が少なからずいるんだろうなあ、なんてのも思った。ロゴシールに価値を見出すことを否定はしないけれど、ロゴシールがなくても価値を見出すことができる人と一緒に走る方が、絶対に楽しい。


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花脊峠を登り、百井別れを右へ。
凶悪な斜度を誇る峠をいくつも擁する京都の中でも、ひときわ凶悪な斜度。あまりにしんどくてゆっくりゆっくり登った。カーブを曲がるころには、軽やかに登るしみみーの背中は見えなくなっていた。早い。


バイクの軽さじゃない。
感じる地力の差。
しみみーは速くて強くて、そして厄介なオタクなのだ。


百井峠を下り、百井川沿いに北へ。
先に書いた通り、彼はむちゃくちゃに自転車に詳しい。
ので、色々聞くし話す。

380のグラベルハンドル少なすぎ/ダイレクトマウントクランクでいいやつ/切削で形キモイのどこだっけ?/ダブルのダイレクトは全然ない/シングルとダブルのギア比/650bはマーケットの主流じゃなくなってきた?/27.5×2.1はもうない/MEZCAL人気/大学生は部室のパーツいじり倒しとけ/部室のパーツぶっ壊した経験/試験期間はシマノのマニュアル読んでた/振れ取り台買った/手組でいいハブ・リムetc.


…どことは言いませんが、Qファクター狭めのあそこです(多分、分かる人には分かる)。


百井から大見方面へ北へ北へ進む。


この季節特有の発光しているのかと思うくらい鮮やかな緑が眩しい峠を越え、人が住んでいるのかどうか分からない集落を抜ける。
その先がお待ちかねのグラベルだ。

空気圧ヨシ


登りでは若干砂利が沈むが、ガレ具合はちょどいい。
とても気持ち良く流せる林道だった。


途中にある褶曲の露頭。
場所が場所なら観光地の一つにでもなっていそうなぐらい立派なサイズ。なお、換算75mmの単焦点レンズ一本しか持ってきていなかったので、これ以上大きく写せなかった。気になる人は自分の目でどうぞ。今日は人を撮りに来ているので、換算75mm。それでいい。単焦点一本勝負では、そういう割り切りがいい写真を生む(と信じている)。


なお、褶曲の剥がれたやつは、殺傷能力高めの石になっていた。


時々開けたり、向こうの山が見えたりもする。
路面ヨシ、景色ヨシ、この日は気温もヨシ。

京都市街ではドライヤーのような熱風であっても、峠を一つ越えれば山の涼やかな風が吹く。それが京都という町なのだと、ようやくわかってきた。そして、ここは標高900mに近い。6月のじめっとした湿度とはかけ離れた、実に爽やかな風が吹く。


グラベルの写真は、たいてい少ない。
今回も例に漏れず、少ない。

なぜなら「楽しすぎて撮る気にならない」か「しんどすぎて撮ることができない」のどちらかだからだ。アクションカムが流行るのもよく分かる。ちなみに、この日は「楽しすぎて撮る気にならない」だった。

標高900m弱から一気に500mほど吐き出して、砂利道をガタガタ下る。
気持ち良すぎた。


舗装路に戻って、再び京都市街へ向かった。

途中パンク修理

裏花脊を登る。


花脊峠には現役DCC部員が3人いた。
翌週にDCCの一大イベント、花脊TTを控え自主練に精を出していたらしい。


一緒に市街まで下って、その後DCCの部室でちょっと駄弁ってから帰宅。
よい一日だった。
しみみー、また一緒に走りましょう。


おしまい。




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