冬の北海道へとサイクリングをしに行ってきました。
冬に北海道なんてバカじゃないか、と知らない人は言いそうなことかもしれないけれど、どうせ僕のブログを読んでる人なら別に変だとも思わないでしょ(と勝手に思ってる)。
この記事はその計画について書いていきます。ハッキリと最初に書いておこうと思うのが、「冬の北海道はここに書いてある計画で行ける」と思わないでほしい、ということ。
あくまで行けたサンプルがあるというだけであって、天候や個人の感じ方、あるいは体力だって違うだろうから、他人の参考にすらならないことの方が多いと思います。あくまでこれは僕の備忘録というのが主であって、もしかしたら他の人にも参考になる部分がノミの大きさ位はあるかもしれないと思って公開しているだけ、という事を念頭に置いて以下の文章を読んでほしいのです。
・野宿する?宿に泊まる?
まず計画するに当たって何をしたいかが一番大事。
で、僕がしたいのはいわば「ゆるポタ」。
つまりこの計画の肝は「いかにハードルを下げるか」でした。
冬季北海道というと年越し宗谷が有名だし、大体「自転車」「冬」「北海道」で検索すると、ほとんどこれ系の記事がヒットします。けれど、僕がしたかったのは挑戦系ライドじゃないし、限界ツーリングでもなかった。人権のある、ゆるゆるのいつも行っているようなツーリングがしたかったのです。
大体の人が最初に決めるのは宿かテント泊(野宿)かだろうし、僕もそこから考えました。が、実際を言うと3秒くらいしか考えていなかったりします。そのくらい宿泊一択でした。
まずもって、お金の問題として、野宿装備を買うなら宿に泊まってもあんまり変わらなくないか、ということ。
一応モンベルの#1と#5のシュラフを持っているので組み合わせれば行けなくは無さそうだけど、それでだめだったときを考えるとシュラフ代だけで宿代が払えて、お釣りまで来てしまいます。今回は素泊まりにしたので、実際かかったのは8泊で36000円。マットや夜用のダウンジャケットとダウンパンツなんか考え始めるとお釣りがどんどん膨れ上がります。
次に、野宿したとして体力がきちんと回復するか、という問題もあったり。人によってはこの辺りの感覚が違うらしいけれど、僕は春夏秋でも大体9割回復すればいい方。つまり0.9づつ回復するので2日後には元々の8割程度。3日目は7割程度になる感覚だったりします。寝やすいシーズンでなおその状態。況や冬の野宿をや。
そして荷物が飛躍的に増えます。
つまり重い。
当然辛くなります。
夏なら雨に打たれるくらいですが、冬で天気が悪くなると危険度は跳ね上がります。そのときにどれだけ機動力があるかが重要になりますが、重たい荷物を持っている時点でかなり走行中の機動力は下がります。輪行するにしても面倒な事が増えますし。
テントを持っての旅の楽しい
でもそれが冬の北海道でできるかは別
野宿場所を探すのも夏でも割と面倒。雪山の経験があればまだしも、全く無い僕にとってどこでどんな風にテントを張ればいいとかは知りません。当然この季節にやっているキャンプ場なんてほぼ無いし、道の駅に泊まるとしても、毎日そこまで行けるような工程を天気とニラメッコしつつ組むのも大変。
さらに当たり前ですが、北海道の冬は氷点下になります。つまり濡れたものはほぼ乾かない訳です。すべての持ち物を濡らさないように管理するというのは、なかなかに労力がかかるはず。やったことないから言い切りはしないけど、宿で暖かい部屋で乾かしてリセットできてよかったということはやっぱりありました。
朝は-20℃になるし、昼もマイナス温度帯。
まだまだ挙げればあるけれどこのくらいで、もう考えるのをやめていました。もちろん「それは夏も同じだろ」という事もあるけれど、それが雪国出身ではなく、なんなら雪が降ったら授業が無くなって雪遊びしても良しとなる温暖ぬくぬく気候出身人間が初体験の冬の北海道で出来るか、というとかなり厳しい。すごく厳しい。経験値の無い僕にとっては、ハードル走なのに棒高跳び並の高さのハードルが並べられているような難易度でした。そしてそれを乗り越えてまで野宿したいか、となるとそれはNOでした。
というわけでハードルを下げたい僕にとっては実質宿泊一択でした。
・数珠繋ぎ?滞在?
さて宿に泊まるとして、ツーリングの仕方は2つ考えられます。1つが宿という点を繋いでいくツーリングの仕方。この記事では数珠つなぎ型、と呼んでおきます(今決めた)。多分これが一般的。もう1つが拠点としての宿を決めてその土地を巡るもの。僕のよく読んでいるつむりさんのブログに滞在型とあったので、ここでもそう呼んでおきます。
結論から言えば今回は滞在型を選択しました。
これもハードルを下げるため。
まず、別々の宿を取るのが面倒だし大変。
数日ならまだしも、一週間以上の旅の場合、出発前に全ての予約を取ってしまうと、どうやってもそこまで行かなければなりません。天候の良い場所に行きたいと思っても叶わないし、何かあったら鉄道あればいいけれど、大抵の場合詰んでしまいます。まあ、まずそんな長期ツーリングの仕方をする人は多分僕のブログなんて読んでないと思うますが(偏見)。
となると、旅をしながら宿を取らなければならないけれど、寒い中スマホをいじくり回して探すのは労力がかかるし、結局道中に何かあったら終了なのはあまり変わらないわけです。
そう考えたときに、滞在型の強みが生きてきます。
まず、毎日寒い中、宿を取らなくていいわけです。当たり前ですが。
出発前に「何日間泊まります」と宿を取ればOK。簡単でいいね。
今回、弟子屈に拠点を決めた1つの理由でもありますが、道中に何かあったら鉄道でワープできるというのも一つの強み。数珠つなぎ型だと、どうしても鉄道が無いところを走るような場面も出てきてしまうけれど、滞在型で鉄道ワープできる場所を選んでおけばこの問題もかなり解決できるというわけです。
そして、これは最悪の最悪の最悪だけれども、宿の人にヘルプをお願いすることもできます。いやまあ、本当にこれは最悪の最悪の最悪の最悪の場合しか使っちゃいけない手段だし、そんなのを当てにしては、本当はいけないだろうけど死ぬよりはマシです。遊びに他の人の助けを求めるのは禁じ手だけど、経験値の無い僕はセーフティネットが欲しかったのです。実際、宿の方に「出来る範囲で協力はします」と言ってもらえた時はかなり心強かったです。
もちろん数珠つなぎでも助けてもらえるかもしれないけど、毎日泊まって顔を合わせている相手と、はじめましての相手だったら、と考えたら、どっちが助けてもらいやすいかなんて書かなくても分かるかと。
そして滞在型はその土地をじっくり回るわけで、どの道に行けば楽しめるのか、反対に危ないのかという事も段々と分かるようになります。北海道を走り倒していて、裏ステージとして冬チャリするなら話は別だけど、そうではない僕にとっては線で繋いで毎日初見の場所を走るよりも、面で攻めてじっくり回る方が結果としてハードルが下がる、と考えた訳です。
ということを考えて今回は滞在型ツーリングに決定しました。
・場所はどうする?
そこまで決まったらあとは拠点の場所を決めるだけ。
今回は弟子屈にしました。
まず、前回の北海道ツーリングで2回訪れていて、街の中も散策したのでどんな街か分かっているということが1つ。知らない場所に行くよりも安心感が段違い。
夏の摩周湖
青が綺麗で好きな場所
それから2つ目が先述の通り、釧網線という経路があるおかげで、鉄道で南北への移動が容易なこと。エスケープという側面もありますが、天気がいい方へ動けるということと、ルートバリエーションが豊かになるというメリットもあります。何ならこっちの方が大きいかも。全自走なら帰りを考えなければいけないけれど、帰りは輪行するなら倍走れるし、そもそも行きも輪行してしまえばさらに走れる場所は広がります。
今回は自転車旅でありながら、電車旅でもあるんです pic.twitter.com/euBBrsotee
— Tomy (@Tomy_viajar) February 3, 2022
3つ目が比較的天候が安定していること。「北海道はでっかいどう」というように、北海道は思ってるよりも広いし、もちろん気候もまちまち。天候が良ければ走れる日が多くかつ難易度も低くなる(吹雪や積雪による走行不能の確率も減る)ので、ハードルを下げたい僕にとっては道東が良かったのです。
4つ目は、近くに魅力的なツーリングスポットがいくつもあったから。結局行かなかったけれど美幌峠、その他にも藻琴山、摩周湖、屈斜路湖、硫黄山、900草原(冬季通行止め)、多和田平などなどがあって、場所によっては遠くには斜里岳や雄阿寒岳・雌阿寒岳が見られたり。どんなに輪行出来るからと言っても、毎日するのは面倒だし、滞在型ツーリングのメリットが薄れてしまいます。その点、自走圏内に魅力的なスポットがいくつもあるのはありがたいこと。
5つ目が町としてそこそこのサイズがあることがあります。コンビニはセブンとローソンが近くに、少し離れればセコマが2店舗、スーパーやドラッグストアもあって街として必要な要素が十分そろっていたというのもあります。何があるか分からないことを考えると現地調達できるのはメリット。24時間営業しているコンビニがしっかりあるというのはかなり心強いものがあります。
以上の理由で弟子屈にしました。
・地図の勧め
今回、ルートを書き込んだ地図を用意しました。
これは僕にとってはかなり珍しいことですが、これはサイコンが死んでスマホも死んでも、自分が死なないようにするためのセーフティーネットです。低温下ではバッテリーが減るのが早いし、最悪強制シャットダウン&再起動しないなんてことも可能性としてはあり得ます。曲がる場所を全部記憶できるような優秀な頭脳を持っていれば話は別ですが、僕はそうではなかったので外部の物を使うことにしたということです。僕の所属していたWCCでは未だに地図を用意して、部員全員読めて走れるように一年生の時に叩き込まれるのですが、やっぱり伝統には意味がある。結局アナログなものが一番強い(水濡れを除く)。
これが読めなきゃWCC部員じゃないぜ!
結局、-20℃程度では自分が使っているGARMIN
520jは問題なく使え、また胸ポケットに入れていたスマホも一度もバッテリー切れを起こさなかったので、地図を使うことはほとんどなかったと言えばなかったし、地図に書いてない道を走ったりもしていたのでなくても良かったっちゃよかったのですが、地図を書いていたお陰で地名や距離感が分かり、その分、計画外の道でも安心して走れたので、用意してよかったと思います。
最後に
僕のブログを読んでいる人なら多分読んでいると思いますがS.K.さんの冬北の記事は何回でも、何十回でも読んだ方がいいと思います。
自分の父は若かりし頃、北海道の中でも豪雪地帯で知られる朱鞠内で宿でヘルパーをしていたことがあるのですが、S.K.さんの記事にも書かれているように「もし自転車がいたとしてそれを抜こうとしたとしても、轍から出ようとすると車がぶれて危ない」と言っていました。それとあと、「ホワイトアウトしてしまったら前なんか見ないで(見ても何も見えないから)、横のガードレールを見て走っていた」とのこと。そんな状況で路肩にいたらかなりの確率で轢かれているだろうし、そのあたりを頭に入れつつ楽しんだりする方がいいんじゃないかと、そう思います。
最初にも書きましたが、これはあくまで自分の計画の備忘録であって他の人がどうとか参考にして欲しいとかではないです。もしかしたらこの中のほんのちょびっとでも参考になる部分があったりなかったりするかもしれないし、そうじゃないかもしれないという感じで書いているのであしからず。もし興味を持った人がいたら、これは冬の北海道に限らずですが、色んな記事を読んで、いろんな人の話を聞いて自分なりの計画を立てるのが一番だと思います。
次回は装備について書きます。
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