『冬北海道ツーリング2023』 2日目 川湯温泉・摩周湖・奥春別

北海道ツーリング2日目。
天気は曇り。
朝6時。宿を出る。

気温は−10℃ちょっと。
うん、暖かい。

「いや十分寒いよ」という言い方もできるかもしれないけれど、冬の道東内陸部にしては間違いなく「暖かい」。前回の記事にも書いたけれど、パキパキと空気が鳴るんじゃないかと思うぐらいに気温が落ち込んだ時だけに見られる美しさがある。そういう意味では、やや残念。

昨晩から今朝にかけて分厚い雲が空を覆っていた。放射冷却という言葉を覚えたのは、確か小学生の頃だったと思うけど、確かに曇りの日は気温が落ちないなあ、と思いながら走り出した。

さて、この日のルートは以下の通り。


国道391号線で南下しつつ、裏道を上手く走りながら摩周湖方面へ進む。
摩周湖第一展望台へ続く道道52号線には雪はほぼ無く。去年は地吹雪に見舞われたけど、今年は穏やか。

摩周湖展望台への道は、4kmで300mほどの登り坂。つまり北海道の道としては割とグイグイ登るほう。片方1㎏のスパイクタイヤの重さを感じながらグイグイ登る。


予報としては一日中くもりだけれど、朝なら雲は薄め。
一縷の望みをかけて朝早めに出てきたけれど、無情にも予報は外れて空には分厚い雲。

やや恨めしそうに空を見ながら、えっちらおっちら登っているといつの間に登りきりの展望台だった。


最後の最後まで曇り。


はい。
若干強がりだけど、そう思う部分もある。
そう思った方がいいときもある。



摩周湖畔とカムイヌプリを望む。



色がギリギリまで剥ぎ取られた景色に宿る神々しさが、そこにはある。








摩周湖展望台のある摩周湖カムイテラスは、昨年訪れたときよりもかなり綺麗でオシャレになっていた。


ちょっと疲れもあったので、カムイテラスで休憩。
食堂というか、軽食が食べられるようだったので、試しに「いもだんご」を注文。


「いもだんご」がどんなものか全く知らなかったので、「どんなもんかいな」と思って待っていると、ひらぺったい四角の揚げた団子が出てきた。おそらくじゃがいもをつぶすなりして何かを混ぜて団子状にしたものっぽい感じ。ちょっとモチッとしていて、醤油系の甘じょっぱいタレと相まってとっても美味しかった。

美味しいものを食べれて元気も出たのでリスタート。


釧路方面を望む。
元気は出たけど、景色は…。



摩周湖の下りカーブ。
下りはじめのすぐにある素晴らしいカーブなのだけど、景色の大半は雲の中。去年はバキバキの晴れで、阿寒方面までバッチリ見えたなあ、なんて思いながら下った。去年あまりに天気が良くて好きになってしまったカーブだったのだけど、今年は残念。





摩周湖から下りきったあとは弟子屈の町をかすめて、奥春別エリアへ。位置としては弟子屈市街から少し西(阿寒湖寄り)のところ。ここは去年訪れてないエリアなので楽しみにしていた。


牧場と遠くに山が見える静かなエリアだった。
残念ながら基本雪はなかった。
もう少しあるかなーと思っていたけれどほぼなし。
これは本当に残念。



日陰ならちょっとだけある。



川も凍る。





こちらは国道241号線よりも北のエリア。
こっちのほうが雪があって楽しい場所だった。


牧場の前を通る。北海道らしく、牧場は多い。番犬が強めに吠えているのが聞こえる。たぶん僕に向かって。それ以外は風の音しかない。空は白い。山も白い。道も白い。「ほおおおお」っと吐いた息も白かった。


北海道らしいどストレート



あとは適当に裏道を走りながら弟子屈の町へ。
雪道あるかな、と下心を持って走ったけれどまったくなかった。
訪れた2月末だとやはりシーズンは最終盤。もとから雪の多くない地域だと厳しいものがあるなあと反省。


弟子屈についたら、訪れたい場所があった。
それは、摩周駅前のpoppoteiさん。
それはそれはとても美味しい定食屋さんである。
去年の今頃、あまりにも美味しかったので一週間ほぼ毎日通った。その記憶が強烈で「今年も必ず」と思っていた。



あえて多くは語るまい。
今年も美味しかった。
その一言で十分だと思うから。

お店の方が、僕の顔を覚えていただいていたようで、「お久しぶりです。今年も自転車ですか?」なんて声をかけられて、色々と話をした。最終的に「漕ぎ疲れたら食べてください」とお菓子までいたただいてしまった。お料理もそうだけどお店の人を含め、お店の雰囲気が好みなのも、何度もここを訪れる理由の一つ。必ずまた来よう。



さて、午後もリスタートして走ろうか、とも思ったけれど、曇りでテンションが上がらなかったのと、既にそこそこ走っていて疲れていたので、摩周駅から輪行することに。

ここで重要な情報に出会う。
次の日の運休情報である。
どうも、釧網本線は明日終日上りも下りも動かなさそうだぞ、と。


当初の予定としては明日美幌峠を超えて、女満別から帰る予定でいた。
が、それが無理なことはこの時点で明らか。

いやまあ100%無理ではない。
多少無理して峠越え(美幌でなくても、野上なり藻琴なり)をすることは絶対に無理な訳ではないし、そのまま帰れる可能性はある。その考えは一瞬頭をかすめた。が、一瞬で諦めた。あまりにリスクが大き過ぎる。路面的に走れたとしても、風が吹いてホワイトアウトしてしまえばかなり危険。自分の存在に気が付かなかった後続車に轢き殺されて、春まで氷になる可能性は十分すぎるほどある。

僕はまだ死にたくないし、旅にエクストリーム要素は求めない。

となると、選択肢は2つ。
1:今日中に女満別空港近くまで行って明日帰る。
2:有給を追加で突っ込む。

頭がものすごい勢いで回転する音がする。こんなに回転するのはいつぶりだろうというくらい色々な考えが去来する。ここまで高速回転するのは、たぶん大学受験以来だろう。就職面接でもこんなに頭回ってなかったはず。仕事?そんなことあるわけないだろ

苦悩の末に導き出された結論は、有給!!

まあ、当然と言えば当然。
今日はすっきりしない天気で、この不完全燃焼な気持ちを抱えたまま帰る訳にはいかないし、今は仕事は忙しくないし(仕事のできない僕がいてもいなくても大して変わらないし)、明後日の天気はいいし、逆に考えれば電車が動かないなんていう大義名分を得てしまっている。条件が揃いすぎている。

怒られる程度で有給もらえるなら上等よ。


腹くくって心安らかに釧網本線に揺られる。


川湯温泉に着く頃には腹が決まった。


宿に着いてすぐ追加の宿泊予約を取ってこれで完璧。
あとは会社への言い訳を考えておくだけ。

晩御飯は川湯温泉街にある味楽寿司さんへ。




常連のお客さんと板前さんと色々と話し込んでいたら、いつの間に2時間以上経っていた。話していた内容はここで書くことではないので割愛。もっとも、書いたところで「は?」と言われるような大したことない話ばかり。でも、旅先の誰かとしか話せないことってのは、必ずある。そういう時間が必要だから旅にでる。旅にはそういうものが必要だったりする。


本当に良い時間だった。
外に出ると雪がしんしんと降り始めていた。


続く。




実際走ったルート
走行距離:65㎞ 獲得標高:823m


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