朝起きて宿を出る。
曇り空だ。
涼しくはない。
もわっとした6月の曇りだった。
この日のルートは上の通り。
「個人的もっと西側にあると思っていた街ランキング」の上位に入る鳥取がスタート。関西に来て1年半。関東育ちの人間としては、この辺の位置関係があんまりまだ分かっていない。
鳥取周辺の海沿いは混みそうなのでまずは山へ向かった。
6月の緑が目に優しい。
急斜度ではないけれど、じわじわとずっと登り。
里山ともいうべきだろうか。
山と生活の近さが山陰の特徴の一つだよな、といつも思う。
気が付くと思ったよりも登っていた。
汗ばむ陽気。着ているTシャツの色が汗で濃くなるこの季節。
サングラスの中に汗が入り込んでくる季節ともいう。
鳥取県道37号線を下る。
山をぐっと下って海の香りがし始める頃には、朝のどんよりとした空の色味が少しずつ明るくなり始めていた。
道の駅きなんせ岩見にて。
こういう方言看板が気になるのは性。
そういや昨日の晩、晩御飯を食べたお店で「ようきんさったね」と言われたの、ちょっとテンション上がったり。
あと、道端のおっちゃんに「さっき殿ダムのあたりいた?」と声かけられたけど、イントネーションの上がり下がりが全く違う上に「N」の発音が聞き取れなくて、三回くらい聞き返してしまったり。
方言はあまりきちんと学んでこなかった分野だけど、ちゃんと勉強するのも面白いだろうなと思う今日この頃。
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…と、その前に道にたたずむ、錆びついた旗持ち人形。
錆びつき方に懐かしいものを感じる。
これは完全に海の町のそれ。
旗持ち人形ではないけれど、こういう錆び方した看板は地元に結構あったなあ、なんて。
意外と色んな所にいる。
漁港に出る。
漁灯がずらっとぶら下がった漁船が並ぶ。
イカ漁船だろうか。
城原海岸。
写真の通り、荒々しい岩が広がる。
「日本海だあ」という感慨と、日なたに出た瞬間に痛覚を刺激するような厳しい日の光が差し込む。暑い。というか痛い。まだ6月だぞ。
その後もゆるゆると荒々しい海岸線と、漁港を交互に見ながら進む。
気が付けば兵庫。
鳥取市街同様、兵庫の東西の位置もいまいち理解できていない。というか、いまだに兵庫のデカさがしっくりこない。兵庫、デカい。「あそこも兵庫、ここも兵庫、あれ、そこも兵庫?」感がある。
30.5℃。あついいいい。
兵庫に入り少し進むと居組港。
とても綺麗な港。
北但層群八鹿類層に属する安山岩質の溶岩や火砕岩(2000万年)が侵食された小島の点在する磯浜。山の緑と白島や夫婦岩などの小島が磯に浮かんでいます。俵状の節理の流紋岩の岩脈が岬や小島をつくっています。付近には離水海食洞門のハナズル洞門があります。
……なるほどさっぱり分からん。
こういう時に地学強い人と一緒に走ってみたいな、と思うし、このブログでもおんなじこと何回も書いている気がする。
……そろそろ、自分も勉強した方がいいのか?
地学的な説明は分からなくとも、景色が素晴らしいことはよく分かる。
昼は浜坂付近のお店で海鮮丼を。
これはこの時の気分。観光地値段だったけど、まあそれはそれで。
腹も満たされたところで再び山へ。
というより、海へ出るための山へ。
この辺りに行ったことがある人は分かるだろうけれど、この辺は本当に海と山が近い。そしてかなり入り組んだ海岸線になっている。ので、山を越えなければ海へ出られないということがしばしば起きる。
そうして、えっちらおっちら山を越えたあとに見えてきたのが、この三尾の集落。
谷筋に細く縦に延びる集落は、三方山に囲まれ前には海。
佐渡の大野亀のようにぽっかりと海に浮かぶのは三尾大島。
看板を見てなるほどと思ってよく見てみると、たしかにしっかり柱状節理が見えてくる。この写真じゃ拡大しないと見えないだろうけど、現地ではこの距離でも肉眼でしっかり見えるレベル。
さて、この美しい集落を後にして、さらに進も…
“歩行も危険です”
というわけでリルート。
山陰本線沿いに走る県道261号線で東へ向かう。
…が、これもだめ。
「いざ但馬漁火ライんんんん?」
— 103 (@Tomy_viajar) June 18, 2023
「別ルートで但馬漁火r…あ?」
「帰る!」 pic.twitter.com/QVW6UrrEan
調べてみれば、かなり大回りしないとこの先の余部に進めない。
いろいろ考えたけど季節外れの厳しい日光が日焼け止めを貫通して、「お風呂入ったら痛くなるちょっと手前」くらいになっていたのと、それなりの満足感があったので、浜坂で切り上げて帰ることに。
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すぐに浜坂駅で輪行してしまっても良かったけれど、まだ午後2時半。
帰るには早すぎる。
さてはてどうしたもんか、と思っていたところに「浜坂先人記念館 以命亭」という看板が見えたので行ってみることに。
以命亭は、江戸時代に浜坂村の庄屋を務めた七釜屋森家の屋敷を改修したもののよう。入ると穏やかなゆっくりした空気が流れており、厳かで気合が物凄く入った展示物が燦然と並ぶ、というのではなく、手作り感や雑然とした雰囲気もある割と緩やかな空間だった。
「よし見に行くぞ」と肩の力を入れるよりも、「ああ時間あるな、ちょっとゆっくりしていこうか」ぐらいの気持ちので寄るのがちょうどいい感じ。
手前にピントを合わせたかったのに合わせる位置を間違えて奥の木にあってしまって、しかもそれに家に帰ってくるまで気づかなかった悲しい一枚。
以命亭を後にする。
かなりゆっくりしても、なお外の太陽はまだまだ高い位置にいて「これから夏かあ」という感じだけれど、それでももう満足したので本当に家に帰ることに。
駅前の道路にこういう看板がある街に悪い町などない(自分調べ)。
浜坂駅から10km弱、岸田川沿いに進むと湯村温泉郷がある。
今度はここ浜坂を起点にして「歓迎」されてみたいなあ、なんて思った。
帰りは山陰本線で鳥取まで行って、そこからは一度乗って見たかったスーパーはくとで京都へ。今回走ったルートを逆再生した形だけれど、気が付けば京都に帰っていて文明の利器ってやっぱり速い。
さて、「山陰地方が好きだわ」と再確認した今回の旅。
分かりやすく目を引く景色ではないかもしれないけれど、どこまでも美しい景色が広がる山陰地方は引き続き繰り出していきたいところ。
まずは、今回走れなかった浜坂以東の但馬漁火ライン(山陰ではないのでは? というツッコミはありそうだけど、山陰海岸国立公園は京都から鳥取なので山陰ということで)。それから反対に伯耆大山もまた行きたいなあ、なんて思ったり。
次は、いつ行こうかしら。
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