冬北海道ツーリング2024 旭川~和寒~士別

飛行機は羽田を飛び立ち機体を大きく傾け、北へ向かった。
窓にはスカイツリーが聳え立つ。
旅の始まりだ。

社会人2年目も自由に有給を取らせてくれる会社の方へ、心の中で全身の力を込めてピースサインをした僕を乗せた飛行機は、朝日を受けながら北海道へ向かった。
行き先は旭川だ。

道北の玄関口、旭川。
そう、今年は道東ではない。
道北だ。


眠気に身をまかせ、うとうとしていると北の大地が見え始めた。
外は朝のてっぺんまで白い雪国だ。

窓の外ずっと眺めていたかったけれど、隣の席の若い女性が迷惑そうな顔をしていたので、紳士的な顔をして着陸を待った。


輪行を解除して走り出す。
ルートはざっくり以下の通り。


ざっくりというのは、きちんとルートを決めていない、ということ。
何を隠そう、旭川より北の内陸部は春夏秋冬合わせても自転車で訪れたことがない。
「ああ、あそこ冬良さそう」なんて記憶を一切持ち合わせていなかった。

と、言うことで、いい道を見つけたらそこへ凸! というスタイルで走ることにしていた。天候や交通量諸々考えると、案外冬の北海道ではそれがベストだったりする、というのは2年間の経験が証明している。


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ひとまず交通量の少なさそうな道を選び北へ向かった。
雪道の車ほど怖いものもない。

旭川空港は旭川中心地からみて南東にある。
つまり北へ行くには市街地を通る必要があるけれど、どうしたって市街地では車が多くなる。バックミラーに目をやりながら、しばし歩道を使いつつ「はやくここを抜けてしまいたいなあ」と思いながらのろのろと進んだ。




石狩川を越えると、静かな雪原が増えてきた。
求めていた景色を前に、心がほころぶ。




この日は、本当に天気がころころと変わる日だった。

”女心と秋の空”も尻尾を巻いて逃げるような変わりよう。
空港では晴れていたのに、すぐに雪雲が現れ辺りを暗くし、ヘルメットに雪が積もるような勢いになる。とおもったら、いきなり青空が現れる。
なんなら青空の下に雪が降る。

キタキツネは嫁入りに雪を降らせるものらしい。
何か化かされたような気もするが、しかし小雪舞う青空は見惚れるほど綺麗な景色だった。





さすがは豪雪地帯



旭川の北側に位置する鷹栖町を、道道99号線で北西に進む。
道道99号線を暫く進むと辺りが雪原ではなく、山の景色に変わり始めた。



雪をかぶった山を見ると、なぜだろうテンションが上がる。
北海道らしいどこまでも広がる平野というのもいいもんだけれど、自分はこういう山道が好きなんだなあ、と改めて思う。



ほどなくして鷹栖峠についた。
上川盆地と名寄盆地を隔てる、標高274mの鷹栖峠。
東側を走る国道40号線には、かの有名な塩狩峠があるからか、こちらは交通量は多くはなく比較的走りやすい。






下りの途中、橋がある所は景色が良くてよい。



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鷹栖峠を下りきると名寄盆地の南端の和寒に着く。

名寄盆地は南北に細長い盆地だ。
ここから宿のある士別までは、その盆地をひたすら走ればほとんど平坦路でたどり着く。
なんなら並行して宗谷本線が走っている。
何かあったら輪行すればOK。
のんびり行こう。



雪雲に追いかけられた



この日は、北風が厳しい日でもあった。
一面の雪原では、当たり前だけど風よけになるなるものがない。
天気がころころ変わるのは、この北風のせいだったかもしれない。が、それにしても、真正面に受ける北風ほど心ににくるものもない。

「風が強いいいいいい」と心の中で叫びながら、ちょくちょく大きめの声で読み上げながら北へ北へ風を切って進んだ。






改めて思うが、どこまでも道が白い。

そこそこの交通量がある道道545号線はさすがに黒い地面が顔を出していたが、一本裏道に入るだけで白い線が美しく伸びてゆく。

一昨年、昨年と訪れた道東では、ここまで白いことはなかった。
さすがは雪が多い地域だけのことはある。
今年はこれを求めて道北に来たので嬉しい限り。






心行くまで雪道で遊んでから、士別の宿に投宿。
今回は、この宿に4連泊した。
いつもの冬チャリと同様、拠点を置いていろんなところに繰り出すスタイル。
さて、明日はどうしようか。


つづく。


実際走ったルート

走行距離:78km 獲得標高:316m



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